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教育の国家的統制をめぐる諸問題~日弁連雑誌「自由と正義」12月号特集 [だから,今日より明日(教育)]

 昨日,私の机の上に,日弁連の雑誌「自由と正義」最新号が届けられていました。

 いつもどおりめくると,今回の特集2というところに「教育の国家的統制をめぐる諸問題」という特集があり,国旗国歌法に関する野中広務氏のインタビュー記事や,西原博史氏(早大社会科学部教授)の「改正」教育基本法と憲法に関する記事などが40頁ほどにわたって書いてありました。

 今回は,日弁連の特集も,有意義なものになったなあ,と思って今見ているところです。

 興味のある方は日弁連のサイトで注文できるとおもいます。http://www.nichibenren.or.jp/ja/publication/jiyutoseigi/

 

 ちょうど一年前ころ(正確には,2006年12月15日),教育基本法「改正」法案が成立しました。

 私も,普段全然政治的なことには関わらないのに,このときばかりは一生懸命反対運動をしました。

 私や私の子どもを含めて,知的な学び・育ちというものを考えたときに,それは本来かなりデリケートなものだが,まちがっても教育基本法「改正」側(特に安倍総理,教育再生会議の何名か)のような見識や考え方でそれをいじるのは危険すぎる,と思ったのです。何も,日教組はじめ教職員組合の立場が全て正しいとかそうとも限らないと思っていますが,何だか冷静ではない法「改正」だったとおもっています。

 学者や現場の教師も,立場の左右問わず,色んな方面から,「『改正』が正しいかどうかは別としても,この『改正』や安倍流『教育再生』なるやり方で,上手くいくはずがない」との声が上がっていました。

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もうそろそろズバッと本丸に斬り込んだらどうか。 [だから,今日より明日(教育)]

 最近忙しくて,ブログが更新できません。

 しかし,全国学力テストの結果が公表されたり,中教審が新しい学習指導要領の方針を発表したり,やはり,教育行政の問題がニュースになり,またこれらは教育基本法「改定」や教育再生会議,安倍流「教育再生」と関係してるので,短くても書かねばなるまい,と思って筆をとりました。

 まず,全国学力テスト。

 国語算数とも,基礎的知識を問う設問については大体良くできているが,応用力・問題解決能力等を問う設問については少し正答率が悪い。だそうです。正直言って…まあ誰も予想した通りくらいの話だし,そりゃそうでしょーという感じです。

 神戸新聞で,苅谷剛彦さん(教育社会学,東京大学教授)が「解像度の低い」テストと厳しく指摘されていましたが,苅谷さんの指摘はあたっているんじゃないかな,と思います。

 テストの結果公表は,文科省発表 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/index.htm がなされています。

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民主党「日本国教育基本法案」に対する意見および提言 [だから,今日より明日(教育)]

 先の日記http://blog.so-net.ne.jp/h-m-d/2007-08-22で書いたとおり,本日,私も含め13名の弁護士が,民主党議員に提出した教育基本法案に対する意見・提言の全文は以下のとおりです。

 特に重要だと思う部分は,

直して欲しい!! という点

前文に「日本を愛する心の涵養」などをうたった点は改めて欲しい。  

   … 意見書 第2の2 特に ③

18条「教育行政」のところ   「教育の自主性,独立性および政治的中立性」を明記して欲しい。

   … 意見書 第3の18①

16条「生命および宗教に関する教育」のところ  「宗教的感性の涵養」等の規定を見直して欲しい。

   … 意見書 第3の16

です。その他も,私が大切だと思うところに色をつけておきましたので,色づけのところだけでも,関心のある方は読んで下されば,と思います。  ↓

 赤色  … 民主党法案に問題があると考える点,改めて欲しい点。

 青色 … 民主党法案の提言が優れていると考える点。

 黄色 … 私たちの提言。

なお,民主党の元の法案および民主党の説明「教育のススメ」は, http://www.dpj.or.jp/kyouiku/index.html のとおりです。これに対して,私たちが意見を述べ,政策提言したのが↓の文書です。

              民主党「日本国教育基本法案」に対する意見および提言

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民主党に対し意見書を出しました~教育基本法案について [だから,今日より明日(教育)]

 参院選で,参議院第一党になった民主党に対し,私を含む弁護士13名で「意見及び提言」を出しました。今日,小沢代表,菅,鳩山氏ら執行部および参院民主党議員全員に郵送で送付しました。

私たちは,意見書を,

 安倍「教育再生」とは全く違う発想で,もっと現場が豊かになる,真に子どもたち一人一人のための教育を目指して,みんなが明日に希望が持てる教育の理念を打ちたてよう

 そのために,民主党には,昨年作った「日本国教育基本法案」をそのまま提出するのではなく,もう一度しっかり議論して,「日本を愛する心を涵養する」という文言などを見直し,「教育の自主性・独立性」をもっとハッキリと法律に書くという修正をしてほしい

という考えで作りました。

 内容は,昨年改正後の教育基本法および民主党が提出してきた日本国教育基本法案の両方に見られるいわゆる「愛国心」をうたう文言の見直し等を求めるとともに,一方,民主党法案のなかの「学ぶ権利」「教育予算確保」「幼児教育・高等教育の無償化」等の規定については実現を強く求めるものです。

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廣田照幸教授「ケチな改革が教育をダメにする」(日経ビジネスオンライン) [だから,今日より明日(教育)]

 教育改革問題について,とても,冷静で合理的な論考を見つけましたので紹介します。http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20070612/127133/

聞き手役の斎藤哲也さんはこう言います。

(引用)

 広田先生は、当時も現在も教育基本法改正反対論者ですが、その理屈が面白い。

 世の多くの反対論者が口走りがちな「日本を軍国主義にするつもりか」という論調に対して、先生は「そんなふうにはなりませんよ」と冷静に語っていました。そして、基本法改正が想定している国家像や愛国心は「時代遅れ」なのだ、と一刀両断。

 「この人はタダの抵抗勢力じゃないぞ」と思って、あれこれインタビューすると、「教育に期待しすぎてはいけない」とか「13歳のハローワークは早過ぎる」とか、常識の逆を行くプラグマティックな「教育論」が次々と繰り出され、教育報道の空騒ぎぶりに辟易していた僕は、溜飲の下がる思いをしたのでした。

                                                   (引用終わり)

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ヤンキー先生と夜回り先生 [だから,今日より明日(教育)]

 教育再生会議の「親学」などについて,興味深いニュース記事があったので,紹介します。

 興味のある方,是非見てくだされば…

http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/p20070521ddm003070062000c.html

 「ヤンキー先生」義家先生が言うような,子守歌とかそういう育児ができるように,知識や知恵をみんなで共有しようということそれ自体はいいことだと思います。

 が,問題は,そのスローガンだけで本当に物事がうまくいくかどうか。

 いわゆる「家庭力」を発揮して,雑誌プレジデントファミリーの記事のような「理想的な」子育てが出来ている層というのが,どうみても「恵まれた層」に偏っているなという現状から見ると,やっぱり「夜回り先生」水谷先生が言うように,思うような子育てが出来ない状況が生じる原因に目を向け,対処する必要があります。

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全国学力テスト復活について [だから,今日より明日(教育)]

 今日、神戸新聞に、24日実施された全国学力テストの問題・回答が掲載されていた。

 この件について、私の考えを述べたい。

 まず、テストの問題そのものの感想としては、そこそこ平易であるし、また、狙いもある程度よく分かるものであって、大体は良問ぞろいであるという評価が出来るのではないか、と思った。
 つまり、この程度の問題について、小6・中3ならばみんなが満点に近い成績を取れる程度の学力を身につけさせるような教育が全国的に保障されるべきだということについては異論はない。

 しかし、それでもなお、全国学力テストを一律すべての子に実施しようとするあり方には疑問が残る。

1 全員調査の「必要性」は、全員調査のデメリットを上回るか?

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こぼれ原稿~戦後教育を知っていますか? [だから,今日より明日(教育)]

 パソコンのデスクトップを整理していて,ふとこの原稿に気づいた。教育基本法「改正」問題に関連して,このブログにアップしようと思って書いた文書ファイルだが,アップしそびれていた。

 日にちをみると昨年11月上旬のもの。きっと,同時期に「タウンミーティングやらせ発覚」のニュースがあってアップせぬ間に飛んでしまったようだ。

 教育基本法「改正」はされてしまったけれども,教育の現場の力,創意工夫の力をみなが信じ,それを育ててゆくのが,子どもたちのため,私たちの明日のためだという考えは私は全く変わらない。

 その意味で,現場の創意工夫がいかに力を持っているか,それを私が本を読んで感じた内容を記した原稿なのでここにアップしたい。

 もちろん,この本は「偉大な教師」のエピソードをまとめたものであって,反面,戦後~現在の教育現場に様々な問題点があることも確かだ。が,それでもなお,教師が現場で知恵を絞ること,創意工夫をすることの力が計り知れないことを,国民も文科省も信じ,その力を引き出さなければ教育は豊かさを失ってしまうと思う。現場における「負の出来事」にもやはり,現場での知恵・創意工夫によって対処するしかないのであるから。 

 豊かな知恵と創意工夫が産まれる条件,それが何かを見つめ直したうえで教育改革論議をすべきだ。

(以下,こぼれ原稿) 

「戦後教育を知っていますか?」

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NHK「学校ってなんですか」~伊吹文相について [だから,今日より明日(教育)]

 21日NHKスペシャル「学校ってなんですか」を見ました。2部構成の大型スペシャル番組でかなり気合いの入ったつくりでした。

 私の感想としてはかなり良質の番組だったように思います。これをきっかけに,子どもたちの現実をよく見た冷静な論議が深まれば,と思いました。

 特に後半の討論は内容に深いものがありました。

 私の考えとしては,藤田英典(国際基督教大学教授)さんのいう「学校におおらかさを取り戻すことが必要である。管理強化の教育改革は間違いである。」との考え,そう考える理由がとても説得的に丁寧に説明されており,幾つも頷ける点があると感じました。

 ですが,藤田教授と反対の考え方かと思いきや,伊吹文明文部科学大臣が,かなり冷静で良い意見を述べていたと感じることがあったのが,嬉しい誤算でした。私が良いと思った,伊吹文相の発言は,

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東大にはいるのになぜお金がかかるのか [だから,今日より明日(教育)]

 さてさて、今年はブログのコンセプトをすこし変え、私の思っていることをご批判を受けることも覚悟の上、自由に本音のところをもっと過激に出していこうとおもう。

 さて、教育言説について、私が前々から違和感を感じていたことに,

お金持ちの子は勉強が出来るようになるが,貧乏だとダメだ

とか

東大にはいるのは金持ちしか入れない

という説がある。

 今日は,このことについて論じてみたい。私の素朴な思いと,私のしていた(たぶん)勘違いも含めて。

1 「金が無くても勉強はできるやろ」は正論であり暴論!?

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