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「繋がらない権利」の真の実現とは? [くらしと安全(交通事故その他)]

 前回記事に続いて、「繋がらない権利」の話をします。

 時間外の業務連絡について、会社内でのルール作りを!という話でした。

 じゃあ、例えばどんなの?というわけですが、連合は2020年に文書を出していて、その中で就業規則の例を次のように挙げています。

【連合の文書に挙げられる就業規則の例 引用】
第〇条(つながらない権利(勤務時間外の連絡))
1 会社は勤務時間外の従業員に対し、緊急性が高い場合を除き、電話、メール、その
他の方法で連絡等を行わない。
2 従業員は、勤務時間外の別の従業員に対し、電話、メール、その他の方法で連絡を
してはならない。ただし、緊急性の高いものはこの限りではない。
3 勤務時間外の従業員は、会社または別の従業員からの電話、メール、その他の方法
による連絡について、応対する必要はない。
4 会社は、会社または別の従業員からの電話、メール、その他の方法による連絡に
応対しなかった従業員に対して、人事評価等において不利益な取扱いをしない。
【引用終わり】

 定めとしては、この例のような内容となるでしょう。

 ただ、本当にその通りにできるか?実効性は?というところは、よくよく詰めていかなければ、絵にかいた餅になりかねません。

 たとえば、4項の、応対しないことに対して、人事評価等において不利益な取り扱いをしない、というのは、定めとしては良いですが本当にそうなるでしょうか?

 令和版の「24時間働けますか?」みたいな会社があったとして、夜間休日も返上でモーレツに社員が働くことによって、利益をあげている会社があったとします。
 この場合に、就業規則では、上のように「時間外は、業務連絡に応対しなくてよい」「人事評価等において不利益な取り扱いをしない」と書いてあっても、

Aさん 夜間もメッセージなどの連絡に対応してバリバリ働いているように見える人



Bさん 夜間は応対しない人

とがいた場合、人事評価で、Bさんにマイナスをつけなくても、「Aさんはがんばっている」としてAにプラスが付くということがないでしょうか。
 人事評価は相対評価という側面がありますから、この場合、Bさんが不利益に取り扱われたのと同じことではないでしょうか。
 この場合でも、もし、Aさん、Bさんが実際に挙げている業績が同じであれば差をつけてはいけない、というのが上の就業規則案4項になりますが、本当にそうなるか?です。

 もっといえば、夜間に来る連絡に応対しなくても、同じ業績を挙げれば評価も同じ、ということをAさん、Bさんの立場で「信じられるか?」という話になります。

 そうなると、結局、上記のような就業規則を定めるだけでは足りず、

 会社、経営者が、

「時間外はきっちりオフにしましょう」
「他人のオフを乱す行為は、一見熱心に働いているようにみえても評価しません」

というメッセージを明確に伝え、その考えを、各部署、人事評価をする立場の人からそうでない人までに浸透させていかなければ実現しません。

 一方で、オンとオフの分け方も人それぞれで、「業務時間外でも自分は仕事のことを考えていたい」「寝るまで仕事をしたい」という人もいます。
 そういう人から、時間が来たからといって、仕事を「取り上げる」のも、上手くいきません。それはそれで人を活かすことができなくなってしまいます。
 ですので、そういう人には、「あなたが夜を徹して働いてくれているのはありがたい。」とちゃんと感謝を伝えたうえで、「しかし、業務時間外に休んでいる人のオフを妨げるのはNGです。それぞれの在り方を尊重しましょう。」というメッセージも伝えることになります。

 こう考えていくと、「繋がらない権利」の実現と、それによる人材の活用には課題が多いです。
 ですが、各職場の実情を踏まえたうえで、

・ 働く者のオフラインの時間を守る
・ それぞれのペースがあることを尊重する

という考えを基礎に、その職場や、その職場にいる働く者それぞれの個性に合ったルール作りについて、(感覚的なもの含めて)じっくり話し合ってみる機会は、経営者にとっても労働者にとっても決して無駄なものにはならないだろう、と思います。
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「繋がらない権利」~時間外の業務メール、メッセージにルールを [くらしと安全(交通事故その他)]

 誰も一人では生きられない。
 なので、「繋がり」はとても大切なものです。

 しかし、みんなが、365日、24時間、「職場から連絡が来るかも?」という意識で暮らすことができるでしょうか。
 多くの人はNOだと思います。


(神戸むらかみ法律事務所 コラム)
「時間外の業務連絡」にルールを  ~「繋がらない権利」とは何か~
https://kobem-law.com/news/column/340/


 今は特に、仕事では「素早いレスポンス」が求められます。
 
 私自身も、顧客に対しては、敏速なレスポンスを提供することをモットーにしています。

 
 ただ、社外の取引先、顧客に対して、営業時間内において敏速なレスポンスを行うことと、働く人が24時間連絡にさらされていることとは全く別の問題です。

 人が良い仕事をするために必要な要素。

 職種や立場によっても違いますが、

・ 心身の健康。栄養、睡眠。
・ オフの時間は完全にリラックスすること。
・ そのうえで、やるときにはやる。そのための「集中力」を維持できる環境。

 これらはとても大切な要素でしょう。

 仕事によって、夜中も休日も動きのある仕事もあります。
 また、大掛かりなプロジェクトなどは連日深夜労働をして仕上げる、ということもあります。
 それがいけないわけではありません。

 ただ、「業務時間外」の人が休めるようにする必要があります。

 ですので、たとえば、

1 業務時間外のメール・メッセージは原則禁止

2 送るほうは送ってもよいが、上司・部下・同僚問わず、返信は次の業務時間開始後でよい
 ※ 特に、経営者や上司の側が「即レス」を求める圧力(無言のもの含む)をかけないように注意

3 「通知」が気になって休めない人には、業務時間外は「通知オフ」を推奨

などのルールを作ることが、労働者(あるいは経営者も)の心身の健康を守るために必要だと思います。

 こうしたルールが欧米では「繋がらない権利」として法律にもなっています。

 これから、こういうルールがきっちりしている会社でないと、若者に選ばれなくなる恐れがあります。

 スマホを常時チェックしていなくても、スマホの存在が気になるというだけでも、目の前のことが楽しめなくなります。
 せっかく、休日に家族と美味しい食事を食べていても、「上司からメールが来ていないか」と「心ここにあらず」では、幸せの機会を損失してしまいます。

 私は、この「繋がらない権利」はじめ、デジタル時代でも、人が、そのときそのときに得られたものを集中して楽しんだり、目の前のことに打ち込んだりできる環境を確保できることがとても大切だと思っています。
 こういう環境づくりにも「工夫」が必要な時代ですので、色んな人々の知恵を借りながら、それぞれの人ひとりひとりの「人間本来」、真の自由を取り戻すことを探求していきたいと思っています。
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オフラインの時間を大切に [くらしと安全(交通事故その他)]

 4月に、久しぶりにメールのやりとりをした人(弁護士)のメールの「署名」について、とてもいいな、と思ったことがありました。

 普段、多くの人がメールの最後に

***************************
神戸むらかみ法律事務所
弁護士 村上 英樹
〒650-0021
神戸市中央区三宮町1丁目1番1号
新神戸ビル9階
TEL 078(381)5821  FAX 078(381)●●●●
***************************
 
 こんな感じの「署名」をすると思います。
 大抵、メールソフトで、自分の「署名」を用意していますよね。

 私が「とてもいいな」と思ったメールの送り主さんは、こういう住所、電話、メールアドレスなどの基本情報に続いて、

「このメールを受け取ったのが、あなたの『業務時間外』ならば、無理に返信しようとしないでくださいね。」
「ご自身のオフラインの時間を大切になさってください。」

という意味のメッセージを、署名に入れておられたのです。

 これは素晴らしいと感じました。

 メールを送る側は、送ろうと思ったときに送っておかないと忘れるので、夜中であっても休日であっても送るかもしれません。
 が、受け取った側は、「見てしまった」以上、放置することに罪悪感を感じたり、返信しないとという義務感を感じたりしてしまうことがあります。
 送った側も、そんな負担をかけるつもりはなかったのに、というパターンがあります。

 仕事も、社内・社外問わず、

メール
チャットツール
SNS

を駆使して、24時間365日、常に連絡が来る(可能性がある)状態が多くなりました。

 便利になった反面、自分の時間、プライベートの時間、心から休める時間が侵食されています。

 それに対して、個人の休息時間を守り、心身の健康を守る動きもあります。

・ 繋がらない権利
  業務時間外の社内連絡を禁止するルール
  (欧米では法制化されています。)

・ 昨年来のiOSのバージョンアップ
  「時間帯によって通知オフ」する機能をかなり細かく設定できるようになっています。

・ 各チャットツールの機能の進化
  既読の表示が出るかどうかの選択
  「軽いリアクション」で読んだことを示せるような機能追加

などなど。 

 「権利」「法制化」も必要ですし、テクノロジーによって人の休息時間を守れるようにする工夫も重要。
 
 そのうえで、やっぱり、個々の場面で大切なのは

「相手の立場への想像力」

です。

 そういう意味で、「オフラインの時間を大切に」というメッセージをメールの署名に入れる工夫は素晴らしいな、と感心した次第です。

 自分も、相手も大切にしたい、そういうその方の価値観も伝わるので、名刺代わりのような「署名」という本来の機能からみても素晴らしいと感じました。

 
 それにしても、本当に、「オフラインの時間」は貴重だと思います。
 
「スマホを触っていない」時間

というだけではなく、

「スマホの存在を全く意識しない」時間

を確保することが必要。

 自分で意識して、たとえば、

野球をしてボールを無心で追う時間

山の中で、風や木の音に耳を澄ます時間

を確保するとともに、他人のそんな時間を邪魔しないよう、また、そんな時間を確保しやすいように配慮する工夫もしたいものです。
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ラジトピ「4月から成人年齢が18歳に 弁護士に聞く、成人として身につけておきたい契約トラブル回避法」 [くらしと安全(交通事故その他)]

 ラジオ関西のweb配信記事でコメントしています。
 3月に、ばんばひろふみさんの番組に出たときにお話しした内容をもとにまとめていただいています。

https://jocr.jp/raditopi/2022/04/14/421057/

 「大人になる」というのは素晴らしいことです!

 ただ、民法の成人年齢になると、契約したものを原則として取り消すことができなくなります。
 ですので、悪い業者にひっかかる、不本意な契約を結んでしまう、というおそれも出てきます。
 
 ということで、改めて

・ 自分がわからない契約は結ばない
・ もし良くわからない契約を結んでしまった場合、お金を支払う前に、専門家に相談する

などのアドバイスをさせていただいています。

 また、消費者被害は若者だけでなく、これまで、高齢者の被害も多くありました。
 コツコツ貯めた1億円以上のお金を失ってしまった先物取引被害の例などもお話ししています。

 ちょっと逸れますが、記事の中では、私の活動・抱負として、「働き方改革・DX」にも触れています。
 働く者の自由が活きる、もっともっとベストパフォーマンスを追求できる、そんな世の中の実現に弁護士としてどう関わっていくか、などのことも話していますので、ご一読いただければ幸いです。
 
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交通事故案件のページ [くらしと安全(交通事故その他)]

 今年から新たに交通事故案件のホームページを作りました。

 https://www.hideki-m-k.com/

main2.jpg

 交通事故案件について,弁護士がついたらどんなことを手助けできるか,私の取り組み方を書きました。
 一言で言えば,そのときの状況を正確に分析して,一番,その人のためになる方法を考えるということに尽きますが,その一つ一つを適切に丁寧に,またスピーディに進めるというのが私のモットーです。
 また,一番大切なポイントを見極めて,そこをしっかり掘り下げる,これが適切な結果を導く鍵だと思っています。

(同HP プロフィール欄より)
 交通事故については,「弁護士をつければ賠償額が上がる」「弁護士によって賠償額に差が出る」と色んなホームページで謳われています。
 どちらも確かに正解です。ただ,私は,本来ならばそうあるべきではないと思っています。
 弁護士をつけてもつけなくても,どの弁護士に頼んでも,適正な被害弁償がなされるべきだし,もっと言えば交通事故が早くゼロになるべきだと思っています。

 しかし,その「理想」に至る道のりの中で,やはり交通事故被害に苦しむ方がいるのは事実であって,また,事件を受ける弁護士の力量や努力によって結果に差が出ることも紛れもない現実です。

 私は,自分が幼少のころから培ってきた「思考力」「分析力」「判断力」,また,「人をわかる」力,「伝える力」,これらの力を,一人一人の交通事故に遭われた方々のために活かして,少しでも良い生活を取り戻して頂くことに役立ちたいと思っています。
                                   (抜粋終わり)

 私たち弁護士は,他人のために色んなことを言うというのは日々の仕事で慣れていますが,自己アピールのようなことは普段あまりしません。
 言うよりも堅実に仕事をすることの積み重ねで信頼を得たい,と思うものだからです。

 ですが,こういうホームページを作るときに書くことは,いわば「所信表明」のようなもので,やっぱり気が引き締まります。
 今の時代,やはり,「自分はこのようなことで人のお役に立ちたい」ということをちゃんと表明する,というのは必要なことだと改めて感じています。


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台風21号被害 [くらしと安全(交通事故その他)]

 先週の台風21号被害はすさまじいものでした。

 停電もあり,家屋が損壊する被害や,物が飛んでいって何かにぶつかるなどのこともあり,台風関連の相談も何件か受けています。

 
 関空の被害,孤立化は思いもよらなかったことです。事務所HPの私のコラムで

「台風21号被害,神戸-関空ベイシャトル(弁護士 村上英樹)」
https://www.kobeseaside-lawoffice.com/staff/2817/

を書きました。

 2012年に私が神戸-関空ベイ・シャトルの運営会社の民事再生申立事件を申立代理人として担当したときに,ベイ・シャトルの存続理由の一つに「災害時の海上ルートの確保」という意見があったのを覚えている。ただ,本当に今回のようにベイシャトルが関空からの唯一の移動手段になるなどとは,そのときは私も正直余り想像しなかった事態だった,という内容です。

 ベイ・シャトルのレギュラーの2艘の船「うみ」号「そら」号のほかに,予備船「かぜ」号もフル回転して,非常時の関空からの移動手段として動いている現状は,災害時に海上ルート(船,航路)を維持しておくことがとても役立つことがあることを示しています。

 ただ,一方で,船便・航路は維持するのにとてもお金のかかることですから,結局,社会全体として「災害時の備えとしてどれだけのコストを受け入れるか」という問題です。

 
 また,今回の台風の場合では,JRの運休発表が非常に早かったのも印象的でした。
 仕事をしなければならない立場としては,電車の運休はバッドニュースで,「できるだけがんばって運行してほしい」と思うものですが,実際の台風21号の威力,被害の度合いからすれば,早期に運休とした措置は適切だったと思いました。

 台風・地震ともにそうですが,平常時には「そんなこと起こらない」と考えたほうがコストも削減できるし,世の中効率的に回ります。
 が,やはり,平常時から「備え」に一定のコストをかけていくことが回復不可能な被害を防ぐことになるし,それを受け入れる心が必要なのだ(社会全体に,ですが,私自身にも)と感じました。


 災害についての法律相談というのも各弁護士会でやっています。
 
 また,被災者向けの相談でなくても,私たち弁護士の場合は日常の依頼者からの相談であっても「災害がらみ」ということがあります。

 たとえば,顧問企業からの相談でも,「被災地の工場が稼働できないため,被災地外の工場の稼働時間を増やす必要がある。その場合の労働条件変更について相談したい。」というようなことがあります。
 こういう課題を解決していくことでも,災害復興に寄与していくことができます。

 災害があったために生じたトラブルの相談でも,人の不安な心をいくらか軽減することができます。

 私は被災地に直行することができませんが,自分に出来る形で,災害被害の回復に役立っていければと思っています。
 
 
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ネット犯罪・SNSイジメから子どもを守る! [くらしと安全(交通事故その他)]

 先日(11月21日,私の42歳の誕生日)、西宮市内の小学校に行って、保護者の方々を対象にタイトルのお題で1時間お話をしてきました。

 神奈川県座間市の9人殺害のニュースもあり、このテーマは今すごく重要な問題になっています。

 私もお話しするにあたって,書籍などを調べて,色々勉強して臨みました。

 午前11時からという時間帯でしたので,お母さん方が30名ほど聴いて下さいました。

 私たち大人からみて,子どもたちのネットの世界での活動が見えにくいけれども,それにどう関わっていくか?
 
 子どもたち自身の自主性,やりたいことを尊重しながらも,一方で,生命身体の危険もあるネット世界に対して,親は何が出来るか?

 皆さんとても熱心に聴いて下さいました。

 
 ネットの世界は危険だから子どもを余り近づけたくないなあ,というのが多くの親の本音。

 ですが,Twitterなどを介した繋がりというのは,現代の高校生などからすれば,もうネットというよりリアル(現実)での活動の領域,とも捉えられます。
 アカウントも用途によって1人が複数持つ,というのも当たり前の時代。

 そういう現状,また,今の現状さえもどんどん変化していく中で,「親子」がどうネット社会と向き合うのか?
 それを突き詰めて考えていくと,

親子,家族間のコミュニケーション

というのはものすごく大切だ,という考えに至ります。

 ネット利用のルールや,ネット上で子どもがどんな活動をするか,どんな人と交流しているかを話せる関係の大切さ。
 子どもが迷ったとき,親に相談できる状況の大切さ。

 根本は,ネット社会到来前と同じ,家族,親子の絆。
 そのうえに,現在特に大切なのは,親の側が,どんどん変わりゆく世界,子どもたちの在り方をよく見て,柔軟にものを考えて,子どもを見守ること,だと思いました。

 以下に,当日のレジュメ内容を掲載します。話しの助けにした簡略なものなので,これだけを見ても分かりにくいかも知れませんが,興味のある方はご笑覧ください。


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延命処置どうする?~「エンディングノート」の話 [くらしと安全(交通事故その他)]

 私は,相続の前後の法律相談を受けることや,成年後見業務で高齢の方の仕事をすることが多々あります。

 家族も,成年後見人も,病院スタッフ(医師,看護師)も直面する課題に,

本人(高齢者など)の容体が悪くなり,意思がない状態で,「延命措置」を行うか?

というのがあります。

 具体的には,

続きを読む


成年後見シンポジウム 配付資料pdf [くらしと安全(交通事故その他)]

 2月25日に私が参加して行った成年後見シンポジウムの配布資料が,神戸市社協のHPにアップされていますので紹介します。

https://www.with-kobe.or.jp/wp-content/uploads/2017/03/H29sinpo.pdf

 障がい者の権利擁護の話(先日紹介したマーサズ・ヴィンヤード島の話,条約・新しい法律など)
 成年後見の実際問題について

など内容盛りだくさんです。

 興味のある方は上のリンクから参照していただければと思います。

神戸シーサイド法律事務所                             弁護士 村上英樹

書籍「インターネットにおける誹謗中傷 法的対策マニュアル」第2版~弁護士中澤祐一先生著 [くらしと安全(交通事故その他)]

 弁護士向けのマニュアル本を買って、読んでいます。
 とても勉強になる本なので、感想(★5つ!だと思います)を書きます。

 「誹謗中傷」なんともいやな響きです。
 ですが、インターネット時代に生きる以上、これも現実にあるリスクとして、対策を考えて生きていくしかありません。 


インターネットにおける誹謗中傷法的対策マニュアル<第2版>

インターネットにおける誹謗中傷法的対策マニュアル<第2版>

  • 作者: 中澤佑一
  • 出版社/メーカー: 中央経済社
  • 発売日: 2016/07/21
  • メディア: 単行本



 弁護士の仕事というのも、時々刻々と変化する世界の中で、新しく起こってくる「困った事態」に対応していかなければなりません。
 
 依頼する人は、普通は、「経験豊富な」弁護士に依頼したいと思うものです。
 ですが、必ずしもそうはいきません。
 特に、インターネットの分野などになれば、経験豊富の弁護士でも登録したての弁護士でも、どうしても「手探り」で進めなければならないものが多数あるからです。

 例えば、

ある会社の悪口をネット上の掲示板に書かれたことへの対処

というのも、比較的新しい課題です。
 少なくとも、この手の悩みが増えだした当初は、誰にとっても新しい課題でした。
 その中で、経験があろうがなかろうが、手探りで、ある弁護士は自分のインターネットの知識を活かしながら、ある弁護士はインターネットに関する基礎知識から自分で勉強しながら、また、「プロバイダ責任制限法」による請求や、裁判上の仮処分手続などの手段を活用して、解決を図ってきた、というのが2000年代以降のこの分野の話です。

 そうして、今、「手探り」状態から事件に取り組んできた弁護士の得てきたノウハウ・知識などの先進的な部分は、こういう風に「マニュアル」と題する弁護士用の書籍として出版されています。
 著者の先生がこれまでに蓄積してきたノウハウ・知識をまとめて記してあるほか、「よくある相談事例」に時系列的に対処していくケース解説など、インターネットに対して特別な知識を持たない多くの弁護士にとっても、非常に分かりやすい本に仕上がっています。
 
 私も、やはり、日頃おつきあいさせて頂いている企業の方、あるいは、個人でビジネスをされている方と話すと、多くの方がネット上での風評被害を意識されています。
 私も相談を受ければその都度色々調べてアドバイスや対処をしてきましたが、インターネット上の問題はそもそもグレーな領域も多く、もやもやの残る点がたくさんあったのですが、この本を読んで疑問が解消された点がありました(逆に、「ああ、やっぱりこの分野の第一線の弁護士から見ても曖昧な領域なんだ」と分かった部分もありました)。

 ネットだからと言っても、人の迷惑を顧みずに「言いっ放し」「書きっ放し」ということは良くないことだと思います。
 ただ、モラルの問題を訴えても、実際に起こったことに対処できなくては、害が続いてしまいます。

 そうそう、よくインターネットの「匿名性」と言われますが、この本では「インターネットには完全な意味での匿名性は存在しない」というのが法的対処を行ううえで一番重要な知識であると書かれています。
 簡単に言えば、ネット上で行動には必ず足跡が残る、ということですが、じゃあ、その「足跡」ってどんな形をしていて、どういう風にすれば見えるの?追えるの?という疑問にも、この本は答えてくれます。

 私も自分がこの種の相談を受けたときなどにこの本を活用しようと思いますし、また、弁護士以外の方でも、ネット上での困った書き込みに対してこんな方法があるということを知ることは良いことだと思います。
 
 (全く面識ありませんが一方的に)著者の先生に感謝したい一冊です。

 神戸シーサイド法律事務所                             弁護士 村上英樹



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