12月7日(日) 高次脳機能障害 リハビリテーション講習会 [くらしと安全(交通事故その他)]
今回の記事は、添付ファイルのイベント、「高次脳機能障害リハビリテーション講習会」のお知らせです。
「リハビリテーション講習会」という題ですが、内容は、専門的なリハビリ技術の教習のようなことではなくて、「脳に損傷を受けて後遺症を持つ人をどうやって社会で支えてゆくか」という内容の講演などが予定されています。
なので全然予備知識のない方でも参加していただいて十分分かると思います。
以前、ドキュメンタリー番組に関連して書いた日記 http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2007-05-09 で、交通事故などによって脳に損傷を受けた方の後遺症で、高次脳機能障害というものがあることを紹介させていただきました。
高次脳機能障害というのは、事故や病気の後遺症として、記憶力や注意力、判断力、集中力などが衰えたり、感情コントロールができなくなったりする症状のことをいいます。
社会で暮らしておれば、私たち誰でも、自分や家族が、何かのきっかけで高次脳機能障害をもつことになる可能性があります。
昔よりはだんだんよくなっていますが、それでも、高次脳機能障害を持つ人をサポートする社会体制(リハビリ、成年後見など法的な支援、職業的な環境整備など)をつくることは未だ始まりだしたばかりという状況です。
自身や家族にまさにこの障害が当てはまる方、介護福祉等に携わる方、そのほかでも少しでも興味・関心がおありの方、都合が合えば、ご参加下さい。
一度、高次脳機能障害というものがあること、その障害を取り巻く環境についてどのような現状なのか、知っていただくことは決して損にならないと思います。
申込用紙等はこちらのサイトにあります。↓
http://www5a.biglobe.ne.jp/~jiro-kun/lecture/20081207higherbrain.pdf
サッカー試合中の落雷事故で高校などに賠償命令 [くらしと安全(交通事故その他)]
今朝起きて神戸新聞朝刊一面を見て、このニュースを見て、嬉しかった。以下にあげるのは読売の記事です。
http://www.so-net.ne.jp/news/cgi-bin/article.cgi?gid=soc&aid=20080917-570-OYT1T00446
サッカー試合中に落雷で障害、高校などに3億円賠償命令
大阪府高槻市で1996年8月、サッカー大会の試合中に落雷に遭って視力を失い、手足が不自由になるなど重度の障害を負った高知市の北村光寿さん(28)と家族が、在籍していた私立土佐高校(高知市)と、大会を主催した高槻市体育協会に約6億4600万円の損害賠償を求めた訴訟の差し戻し控訴審判決が17日、高松高裁であった。
矢延正平 ( やのぶまさひら ) 裁判長は「落雷発生を予見することは可能で、サッカー部の引率教諭や市体育協会、大会の会場担当者らは注意義務を怠った過失がある」などとして、原告敗訴の1審判決を変更、将来のリハビリ費用を含む計約3億700万円の支払いを命じた。
学校の課外活動中の落雷事故で賠償が認められたのは初めて。
判決は「教諭や会場担当者らは生徒の安全にかかわる事故の危険性を予見し、防止する措置をとる注意義務を負う」と指摘。その上で、試合開始前に雷鳴が聞こえ、雲間の放電も目撃されていたことなどから、「雷鳴が大きな音でなかったとしても、教諭らは落雷の危険を具体的に予見できた」とした。
- 読売新聞 [09/18(木) 02:31]
この事件は、
地方裁判所 原告(北村さん)敗訴
↓
高等裁判所 原告敗訴
↓
最高裁 高等裁判所に裁判のやり直しを命じる
このときの私の日記 http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2006-03-13
↓
高等裁判所 原告勝訴
という経過をたどりました。
最高裁が、原告敗訴の判決はおかしい、と言って高裁にやり直しを命じて、その結果、高裁が、原告勝訴(学校や体育協会の賠償責任を認める)判決を出したので、これで、原告勝訴の線で決着することになります。
すばらしい決断!~サッカー 代表試合 [くらしと安全(交通事故その他)]
日本 対 アルゼンチン。
日本は強豪相手に実にいい攻撃をしていて、惜しい場面が何度もあった。
しかし、アルゼンチンの速く巧みな攻撃の前に一点を失う。
何とか追いつきたいという後半35分過ぎころから、雨が激しくなり、雷鳴が轟くようになる。
そこで。
ゲームは審判の指示で中断。
それから数分後、ゲーム中止が決定された。
私は、本当にすばらしい決断だった、と思う。
テレビを見ていて実に嬉しかった。
ピッチの選手もおれば、多数の観衆がいる。
五輪前ということでイヤでも盛り上がるが、だが、命には替えられない。
今回、落雷の恐れがある事態から観客を遠ざける決断が早かった。
テレビを見ている、つまり、物事を客観視している私たちは、「危ないから早うヤメ!」と普通に思う。
だが、その場にいる人、選手や観衆は熱中しているのだ。
しかもサッカーは終盤になれば時計との戦い。特にリードされているゲームでは、1分、いや1秒でも惜しい。だから、後半39分でゲームセットなどといわれたら納得できないことだ。
という気分で、落雷の音などがあっても、中には、ゲーム続行を望んでしまうのも、人間心理である。あと6分くらい大丈夫だよ、やってくれよ、せっかく大枚はたいてチケット買ったんだから・・・
でも、そんなときに、一生を左右するような事故が起こりかねない。
あとで悔やんでも、もとにはかえらない。
訴訟になっている高校サッカーの落雷事故について以前にも記事を書いた。→ http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2006-03-13
そういった状況で、選手や観衆を危険からいち早く遠ざけることは、運営者の責任。だが、その決断だって勇気が要る。
今回の早い決断は見事だった。
少なくとも非常に良い例をつくった。
また、私たちが心にとめたいのはこういうことだ。
上記したサッカー中の落雷事故に関する訴訟で関係者のみなさんやそれを支援する皆さんが、一生懸命活動され、安全への配慮を求める声をあげておられることなど、要は、個人個人が安全第一の在り方を求めていくことが、運営者の正しい判断を後押しし、多くの人の生命身体を危険から救う。
代表のゲームでも落雷の場合は中止でも仕方ない。命にはかえられぬ。
こういうものだ、と多くの人が認識することによって、わが国の安全意識は確実に高まる。
採血器具使い回しの刑事罰 [くらしと安全(交通事故その他)]
日頃私たちが信頼している医療機関で、このようなことがあるということは実に信じられないことでした。
血液感染するウイルスの中には、HIVウイルスのように、感染すれば、その人の人生を大きく変えてしまうようなものがあります。もっとも、今日、HIVにしても、ちゃんとした治療を受ければ発症を長期間防げるなど、医療技術の進歩によって、きちんと正面から今の体の状態に向き合いさえすれば、どうにもならないというものではなくなりましたが。
以下、刑法より抜粋。
(業務上過失致死傷等)
第211条〔1項〕 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
糖尿病の患者のための採血器具を使い回すことも、それを知ってやって病気や悪い症状を招くウイルスを他人に感染させたりすれば、この業務上過失致傷罪にあたります。
「致傷」というのは、「傷害を負わす」という意味で、「傷害」とは「人の生理的機能を害すること、並びに身体の外形に重大な変更を加えること」とされていますので、例えば、ウイルスに感染させれば「生理的機能を害する」ことになるので、「致傷」にあたります。ケガを負わせたのと同じことになります。
それにしても、安全意識、それから、暮らしの中での(患者さんなどの)安全に対する安心というものについて、責任ある立場の方はもっと相手の立場に立って考えてもらわなければならないことだと思います。そして、それは怠れば自分も刑事罰を受けるかも知れないのだ、という法律知識も確認しておいて欲しいものです。
さて最近タクシーに乗ったら、「後部座席もシートベルトをお願いします」のステッカーがあり、昔と違ってちゃんとシートベルトが使えるようになっていました。以前の記事 http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2006-07-14 から、この点では、日本の安全は進歩しているといえるでしょう。
今回の採血器具使い回し騒動を機会に、より一層、みんなの安全意識を高まり、みんなが他人も自分も一度しかない人生を大事に生きられるよう配慮をしあうことをより大切にすることに繋がるよう願ってやみません。
西宮えびす神社 福男選びレース は安全改革を! [くらしと安全(交通事故その他)]
今日、TBS朝ズバで見た。
西宮えびす神社の福男選びレース。
230mの神社の境内を千人以上の人が走り、一番を競うというもの。
みのもんた中心に、めでたい行事として、わいわい報道していた。めでたい。それはそれでいい。
でも、私はこの行事には大いに疑問がある。
TBSはカメラ15台を備え付け、色んな角度から映像を取っていた。
それによると、もちろん転倒があり、転倒した人に折り重なってまた転倒があり・・・というシーンも映されていた。
境内のカーブを曲がりきれず、出店に猛スピードで衝突する人の映像もあった。
わずか230mを、幅はだいたい2~3mの境内(石畳、カーブもある、途中に木もある、段差もある)を、千人以上が全速力で走るというのは危険きわまりない。
将棋倒しになり、死者が出る可能性も十分ある。
私は元来「怖がり」な性格であるから、絶対こんな行事に参加できない。
津久井進先生著「災害復興とそのミッション」 [くらしと安全(交通事故その他)]
- 作者: 片山 善博, 津久井 進
- 出版社/メーカー: クリエイツかもがわ
- 発売日: 2007/08/23
- メディア: 単行本
MBS番組 「映像07」(5/13(日) 24:30~) を見てください。 [くらしと安全(交通事故その他)]
このブログの読者のみなさんに是非見て欲しい毎日放送(MBS)の番組があるので,御紹介します。私が担当した裁判も取材されましたので,見てください。
今週の日曜日 5月13日の深夜(日付は14日月曜になります)24時30分~,毎日放送http://www.mbs.jp/神戸では4ch)です。(出来れば,今ご自宅でデジタル放送を受信しておられる方は,「予約」しておいてください。)
ドキュメンタリー番組で,タイトルは,
「見えない障害~高次脳機能障害者の苦悩~」
です。
交通事故やスポーツ事故等で,頭を強く打った人に起こる脳の後遺障害について,障害を残した人やその家族がその後の生活で大変苦労されていること,なのに,後遺障害が(例えば足を切断した等の身体障害と違って,脳の働きのことであるため)見えにくいので損害賠償の裁判の場面等でも実態どおりに認めてもらうには苦労する,そういう姿が伝えられる予定です。
これは他人事ではなく,私たちは誰でも,何かの拍子に,交通事故その他いろんな理由で頭を強く打って後遺症を残してしまう可能性があります。また,自分の家族が…と考えるとそうなる確率はもっと上がります。
そのことを想像の範囲に入れて,このような不幸な出来事に遭った人が,その後の人生において,(後遺症によって制限されてしまった中でも),出来るだけ自分の人生を輝かせることが出来るような,優しい社会へ近づけて行くのが良い。と,そういう視点を多くの人に持ってもらえたら,と思います。
飲酒運転は高くつく ~ お得で便利な運転代行をもっと活用しよう! [くらしと安全(交通事故その他)]
いつも,公務員の飲酒運転「不祥事」がたくさん報道されます。
飲酒運転はいけない! これは当たり前ですが,ちょっと切り口を変えて…
飲酒運転が一番高くつく! 運転代行はそれに比べるとずっと安い!
を今日は訴えたいと思います。要するに,私としては,私の住む国で酔っぱらい車両が道を走っていることがとても嫌だから。
飲酒運転多発 ひき逃げの厳罰化 について [くらしと安全(交通事故その他)]
以前の私の記事 http://blog.so-net.ne.jp/h-m-d/2006-05-23 で書きましたが,飲酒運転による事故とひき逃げの問題について書いてみます。
以前の記事で私が書いたように,「ひき逃げ自体の厳罰化」がなされる情勢となっています。
これによって,「飲酒発覚(→厳罰)をおそれて事故を起こしても逃走…というのが,法定刑の上で得だ」という問題は解消に向かうかも知れません。しかし,減らない飲酒について,どうしたらいいものか…?
(以下,ニュースより引用)ひき逃げ、厳罰化へ 警察庁「飲酒」発覚恐れ増加
飲酒運転の発覚を恐れて事故現場から逃走するなどひき逃げ事件が増加しているため、警察庁は、道交法違反(ひき逃げ)の懲役刑(現行5年以下)を引き上げる方向で検討を始めた。
生き死にの観点で,戦争と平和を考えること [くらしと安全(交通事故その他)]
安倍官房長官は,首相になったら,新憲法を作る,という。平和主義を定めた憲法9条の内容を改めるという方針であることは,明らかです。
私は「弁護士9条の会」に名を連ねている「護憲派」です。が,今日の記事では,9条を変えることの是非そのものを結論づける文章にはしません。
ただ,この問題を考える一つの大事な視点を,私は考えていますので,そのことをお話ししたいと思います。
護憲派のひとも,改憲派のひとも,どっちだろう?という人も一緒に考えてみませんか。本からの引用ですが、次の文についてどう思いますか?
「戦後の平和教育には一つの盲点があった。つまり,それは,戦争を善悪という倫理道徳の観点からだけ眺めて,生き死にの観点でみることを忘れていた。」