相手に弁護士がつくのは「不利」なこと? [弁護士業について]
今日は、例えばトラブル案件をかかえているときに、
相手に弁護士がつくかつかないか
についてお話しします。
自分が弁護士をつけるかどうか?というのは自分にとって、法律のプロにアドバイスを受ける方がよいかどうかで決めればよいことです。
たとえば、トラブル案件が離婚とか、相続とか、交通事故などの損害賠償請求など内容があるものだったら、一般論としては、弁護士をつけてプロに相談しながら進めていく方が有利でしょう。
これは自分のこと。
今日の話は、「相手に弁護士がつくかどうか」の話。
これは、こっち側でコントロールできません。
向こう(紛争相手)が弁護士に依頼するか、本人で訴訟や示談交渉に臨んでくるか?です。
それによって何がどう変わるか。
私、弁護士にとっては、相手に弁護士がつくのは決して嫌ではありません。
弁護士同士のほうが、感情を抜きにして、何が争いか整理して話ができます。
法のルールは双方分かっているので、争いの範囲も絞ることができます。
なので、早く「あるべき幅」の中で解決できることが多くなります。
もちろん、
弁護士がついている人 vs 弁護士がついていない人
となると、有利・不利としては「弁護士がついている人」が有利です。
法律的なアドバイスや、これまでの裁判の経験を踏まえた判断を受けられるからです。
ただ、「弁護士がついていない人」が、あまり勝手が分からないままに、自分の思いで裁判や示談交渉に臨む場合には、どうしても感情的になりやすいし、直接関係のないことも長時間かけて全部話さなければ気が済まなくなります。
また、紛争を解決するには必要の無いようなことでも、細かい部分にこだわってしまって前に進めないということもよく起こります。
こうなると、相手側、「弁護士がついている」側にとっても、実際には、トラブルが長期化してしまって困る、ということが起こります。
もしかしたら、最終的な結果は相手が素人である分だけ有利になるかも知れませんが、早く解決をつけてスッキリさせたいのに、いつまでもトラブルが解決せずに長くストレスを抱えなければならない、迷惑だ、という場合があります。
こういう場合には、依頼者も私も「むしろ相手に弁護士でもついてくれたらいいのに」という心境になることがあります。
私たちの仕事(トラブルの解決)は、
・ 依頼者にとっての勝ち負け … 一円でも多く得をする結果を得る
という要素はもちろん大きいですが、それだけではなく、
・ ストレスフルなトラブルを早期に解決させる
ことや
・ お互いに禍根を残さないように(できるだけ少なくなるように)する
ことも大切になります。
そういうことを考えたときに、理想は、お互いに、「トラブルのあるべき解決」を考える弁護士がついて、もちろんそれぞれの弁護士が依頼者のために全力を尽くした上で、双方にとってそれなりに納得がいく解決が得られることだ、ということになります。
法律のプロとしては、依頼者の立場に立って主張すべきはするとしても、ある程度その事件の常識的な「落としどころ」を考えつつ進めていける、ということが大切なスキルになります(ただ、事件によっては「落としどころ」が見出しにくい案件もあります)。
この「落としどころ」を意識するというのは、「弱気に、相手に妥協することを考える」のとは違います。
むしろ、無茶なことをして依頼者を無駄に苦しめる(あるいは損をさせる)ようなことにならないように、方向性をしっかり見定める、という意味で重要なスキルです。
ですので、私が仕事をするときには、
・ 自分が良い仕事をする
ことが第一ですが、
・ 相手にも良い弁護士がついてくれたらいいな
と思っています。
そのほうが、私の依頼者にとっても、早期に、あるべき解決ができやすくなるからです。
ただ、最初に述べたように、相手の弁護士選びは相手のすることなので、私がコントロールできません。
言ってしまえばこれは「運次第」ということになります。
なので、実際には、どんな弁護士が出てきても、弁護士がつかず本人相手でも、それはそれで必要な対応をするのみ、ということになります。
まとめると、
トラブル、訴訟や示談交渉などの話し合いについて、相手に弁護士がつく、ということは「不利」なことだと思う必要はありません。
必要ならばこちらも弁護士を立てて、弁護士同士で整理した話し合いをして、早く、適切な解決を目指すことを考えるのが良いです。
相手が本人でやるより弁護士がついた方が話が進みやすい、という場合も多いので、そういう場合には、むしろ「良いこと」です。
以上、紛争になると相手方の動向は一々気になるものですが、そのうちの「弁護士がつくかつかないか」をどう捉えたらよいか、をお話ししました。
読者の皆様の参考になれば幸いです。
神戸シーサイド法律事務所 弁護士 村上英樹
相手に弁護士がつくかつかないか
についてお話しします。
自分が弁護士をつけるかどうか?というのは自分にとって、法律のプロにアドバイスを受ける方がよいかどうかで決めればよいことです。
たとえば、トラブル案件が離婚とか、相続とか、交通事故などの損害賠償請求など内容があるものだったら、一般論としては、弁護士をつけてプロに相談しながら進めていく方が有利でしょう。
これは自分のこと。
今日の話は、「相手に弁護士がつくかどうか」の話。
これは、こっち側でコントロールできません。
向こう(紛争相手)が弁護士に依頼するか、本人で訴訟や示談交渉に臨んでくるか?です。
それによって何がどう変わるか。
私、弁護士にとっては、相手に弁護士がつくのは決して嫌ではありません。
弁護士同士のほうが、感情を抜きにして、何が争いか整理して話ができます。
法のルールは双方分かっているので、争いの範囲も絞ることができます。
なので、早く「あるべき幅」の中で解決できることが多くなります。
もちろん、
弁護士がついている人 vs 弁護士がついていない人
となると、有利・不利としては「弁護士がついている人」が有利です。
法律的なアドバイスや、これまでの裁判の経験を踏まえた判断を受けられるからです。
ただ、「弁護士がついていない人」が、あまり勝手が分からないままに、自分の思いで裁判や示談交渉に臨む場合には、どうしても感情的になりやすいし、直接関係のないことも長時間かけて全部話さなければ気が済まなくなります。
また、紛争を解決するには必要の無いようなことでも、細かい部分にこだわってしまって前に進めないということもよく起こります。
こうなると、相手側、「弁護士がついている」側にとっても、実際には、トラブルが長期化してしまって困る、ということが起こります。
もしかしたら、最終的な結果は相手が素人である分だけ有利になるかも知れませんが、早く解決をつけてスッキリさせたいのに、いつまでもトラブルが解決せずに長くストレスを抱えなければならない、迷惑だ、という場合があります。
こういう場合には、依頼者も私も「むしろ相手に弁護士でもついてくれたらいいのに」という心境になることがあります。
私たちの仕事(トラブルの解決)は、
・ 依頼者にとっての勝ち負け … 一円でも多く得をする結果を得る
という要素はもちろん大きいですが、それだけではなく、
・ ストレスフルなトラブルを早期に解決させる
ことや
・ お互いに禍根を残さないように(できるだけ少なくなるように)する
ことも大切になります。
そういうことを考えたときに、理想は、お互いに、「トラブルのあるべき解決」を考える弁護士がついて、もちろんそれぞれの弁護士が依頼者のために全力を尽くした上で、双方にとってそれなりに納得がいく解決が得られることだ、ということになります。
法律のプロとしては、依頼者の立場に立って主張すべきはするとしても、ある程度その事件の常識的な「落としどころ」を考えつつ進めていける、ということが大切なスキルになります(ただ、事件によっては「落としどころ」が見出しにくい案件もあります)。
この「落としどころ」を意識するというのは、「弱気に、相手に妥協することを考える」のとは違います。
むしろ、無茶なことをして依頼者を無駄に苦しめる(あるいは損をさせる)ようなことにならないように、方向性をしっかり見定める、という意味で重要なスキルです。
ですので、私が仕事をするときには、
・ 自分が良い仕事をする
ことが第一ですが、
・ 相手にも良い弁護士がついてくれたらいいな
と思っています。
そのほうが、私の依頼者にとっても、早期に、あるべき解決ができやすくなるからです。
ただ、最初に述べたように、相手の弁護士選びは相手のすることなので、私がコントロールできません。
言ってしまえばこれは「運次第」ということになります。
なので、実際には、どんな弁護士が出てきても、弁護士がつかず本人相手でも、それはそれで必要な対応をするのみ、ということになります。
まとめると、
トラブル、訴訟や示談交渉などの話し合いについて、相手に弁護士がつく、ということは「不利」なことだと思う必要はありません。
必要ならばこちらも弁護士を立てて、弁護士同士で整理した話し合いをして、早く、適切な解決を目指すことを考えるのが良いです。
相手が本人でやるより弁護士がついた方が話が進みやすい、という場合も多いので、そういう場合には、むしろ「良いこと」です。
以上、紛争になると相手方の動向は一々気になるものですが、そのうちの「弁護士がつくかつかないか」をどう捉えたらよいか、をお話ししました。
読者の皆様の参考になれば幸いです。
神戸シーサイド法律事務所 弁護士 村上英樹
2016-11-09 18:49
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