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灘校土曜講座「私たちの憲法とは?」行ってきました。 [だから,今日より明日(教育)]

 先週土曜日 10月5日に、母校である灘高校の土曜講座(総合学習の位置づけだそうです)に、講師として行ってきました。
 
 前回3年前にも行ってきました。 http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2010-06-24

 今回は、灘校の先生からのリクエストもあり、憲法を取り上げました。

 次のようなコンセプトで1時間半お話ししてきました。

(案内に書いた講座内容)
最近、憲法改正問題が盛んに議論にのぼるようになりました。
「憲法を改正するのに賛成ですか?」という世論調査も行われていますが、実際には、そう問われても答えに困る人も多いようです。
この講座では、

「憲法の役割とは何か」  … 一般の法律と何が違うのか?
「日本国憲法の成立過程、歴史的位置づけ」 … アメリカの押しつけか?
「新しい人権」      … 日本国憲法では対応出来ないのか?
「憲法9条と自衛隊」 … 戦力不保持との矛盾?半世紀以上も?
「2院制」「首相公選制」  … 参議院は不要?決められない政治?
「憲法論と感情」      … 憲法を論ずると喧嘩になる?
「外国の憲法」       … 日本国憲法は特殊か?外国の憲法改正は?
  
  以上の点などについて、憲法を議論するための基礎と「切り口」をお話しします。
そのうえで、理知的に、異なる意見の者同士が、論点を整理し、一致する点と対立する点、対立は何から生じているか(例 価値観の相違など)を整理して、よりよい憲法(と国家及び国民)の在り方を探る議論ができるようにする、というのが本講座の狙いです。
                                                    (以上)

 1時間半の講座にしては、欲張って論点をたくさん入れすぎたので、かなり駆け足になりましたが、憲法を建設的に議論するための基礎と視点を提供できたか、と思います。

 「憲法を論じて喧嘩にならない方法」も私なりに考えて、お伝えしてみました。
 理性的に論点を絞り、考えられるメリット・デメリットを冷静に上げてみる、そして自分はどういう理由でどのような要素を重視するかを考えて意見交換する、そんな憲法議論ができれば、ということをお伝えしました。

 灘校は、今現在、理系進学傾向がとても強い学校ですが、憲法についての話を受講者のほとんどの皆さんは真剣に聴いていました。

 最難関の入試を突破して入学した灘中高生のみなさんの、実証済みの論理的思考力や発想の柔軟性・創造性を活かせば、これまでにない建設的な憲法論議ができるはずだ、と思います。
 「試験のため」という狭い範囲ではなく、もっと広く自由に持てる力を発揮する、というのが、昔からの灘校生の良いところであり、昔より更に今の生徒さんのほうが活躍の範囲を広げておられる、とのことです。
 きっと、受講者の何人かは、私の「駆け足の講義」をきっかけにして(あるいはそれとは無関係に)、私の想像を超えて、憲法についても研究を深めて、より深く精緻な考えを創っていかれるのでは?と期待したりもします。

 ところで、私の講座を、私が現役生徒時代の物理の先生が聴いていて下さいました。
 もともと講義や授業をする経験は弁護士にしては多いのですが、10数年経ってもいつまでも「師は師」であり、先生の前で自分が授業をするというのは特別の感じがありました。
 
 
 「憲法を論じて喧嘩にならない方法」(!?)については、また後日書いてみたいと思います。
 
 
                                 村上英樹(弁護士、神戸シーサイド法律事務所
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shira

 いいなあ。こんな講師を「先輩」として呼べる学校に通っていることの幸せを高校生に感じて欲しいですよね。
by shira (2013-10-08 20:50) 

hm

shiraさん ナイスコメント有り難うございます。
 果たして、生徒さんの要求に応えたものになったかどうか、と、やり終えてからも思うのですが、「憲法を考えるきっかけ」にでもなったなら、と思います。
by hm (2013-10-09 11:45) 

心如

憲法とはなにかを辞書で引くと、「国家存立の基本的条件を定めた根本法」と書かれています。国の統治権、根本的な機関、作用の大原則を定めた基礎法で、通常他の法律・命令を以て変更することを許さない国の最高法規とされる。という説明が書かれています。
問題なのは、国家存立の基本的な条件に対する認識に個人差があることかな。、、
by 心如 (2013-10-12 10:12) 

hm

koniさん ナイスありがとうございます。
by hm (2013-10-15 09:55) 

hm

心如さん
 ナイス、コメントありがとうございます。
 多様な価値観の存在を前提とするのが民主主義社会なので、その点にもいろんな見解があることを前提に、お互いの意見をよく聞き、建設的に議論をすることが必要だろうと思います。
by hm (2013-10-15 09:57) 

ayu15

いろんな人がいて「存在」をひていされることなく自分でいられる。
{うまくい言葉にできないです}個々が尊重される。


でも困った時手を差し伸べあえる。

憲法は国民(市民)が国に課したもののはず。

これらの人権は国から与えられたのでなく本来あるものなのに。



どういうわけか改憲(とくに護憲嫌い人に多い)にはこれをうすめたがるひとがめだちマジ怖いです。

政治の話はしたくないけど、自分に降りかかる火の粉は問題とします。



今の憲法はまだこれらが不十分(運用次第でマイナスにされるので)だとおもえますが


前向きで見てくれる人は一体何人いるのでしょうね??

ほとんど後ろ向きみたいに思えます。


ご紹介いただいた講座はどうだったのは気になるところです。
by ayu15 (2013-11-27 09:58) 

ayu15

具体例が出たので

「   「新しい人権」      … 日本国憲法では対応出来ないのか?
」 というところです。

欧州で最近「知られない権利」という概念が出始めたそうです。まだ確立していないようですが・・・。

現憲法は基本的人権というおおくくりと、言論の自由などのある程度具体性のある表記がありますよね。

本人確認法乱用??・マイナンバー法の漏れ・秘密保護法の乱用?などすでに書かれた基本的人権でさえ理念にそぐわない法律や制度から充分守れてていると思えない現状です。


この柔軟さ??はおかしくもなるけど、新しい人権を含める解釈もできるともとらえられるかと思えます。


具体的にあれこれ細かく明記すると一定期間で改正していく必要にせまられそうです。
でもそれがないと基本的人権は不十分だったり、新しい人権に対応してもらえないことも。

どうでしょう??
by ayu15 (2013-12-02 15:25) 

hm

ayuさん 
 ナイスコメントありがとうございます。

 日本国憲法の、例えば、憲法13条「幸福を追求する権利」というのはオープンな規定であり、時代の変化に応じて、

人格的生存に不可欠な権利

を保障する、という解釈ができる、といわれています。

 日本国憲法も合衆国憲法もそうなのですが、オープンな規定であるがゆえに長く使える条文が中心、というのが、一つの憲法のスタイルです(そうでない「細かい」憲法の国もありますが)。
 
by hm (2013-12-02 20:05) 

ayu15

ありがとうございます。ご多忙のようなので
気が向いたときでもご意見をと思います。
私もオープンな規定であるがゆえに長く使える条文が中心というのは理解しています。
これは人権意識が高い政治や社会だと前向きに解釈し
法律で新たな人権に対応の余地があると取れます。
でも○○党とか「保守」派とかネット世論には後ろ向きにみえるものが・・・。

新たな人権に不十分どころか今の人権すら否定はされないでしょうけど条件付きにされかねないと思えます。


でも細かく規定すると長持ちしませんよね。


うちは社会生活権の確立を夢見ます。

誰もが存在否定されることなく社会的に生存し生活ができる素敵な国89社会)にと思います。

でも現憲法は機能が十分でないようです。
先日もやっと非嫡出子「差別」がいけないとされる遅さです。
弁護士接見。(先日やっと判決)
父親と認定。(先日やっと判決)
どちらもまだ不十分の声も?
同性婚
(これに至っては両性の合意という条文欠陥が・・・。)
他にもいっぱいあります。


社会全体と違い当事者には10年20年なんてまてない差し迫った問題です。

これらでつらい思いされている人も救うには
憲法はどうあるものでしょう?

法の専門家の方から見てどうなんでしょう?


辛くて自殺を考え他なんて聞くたびほんと悲しくなります。もし法や制度に妨げがあるなら、「差別」を助長してる面あるなら、なんとか改善を
と思うんです。
by ayu15 (2013-12-13 18:25) 

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