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大学講義がはじまりました! [だから,今日より明日(教育)]

 神戸学院大学での講義「法と裁判Ⅱ」が昨日から始まりました。

 明石駅からバスに乗って20分?、大学キャンパスに。

 学生時代はなんとも思わなかったのですが、大学のキャンパスは広々していて開放的で大変気持ちがいい。

 新鮮な気持ちになりました。


 第1回目の講義は、学生さん100人弱を前にスタートしました。

 最初の内容は、「法とは何か」。

 以前このブログで書いた

 北斗の拳で「憲法」を!(その1 法とは何か) 
 http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2012-03-07

のような話からはじまりました。

 すなわち、「力の支配」を否定し、理性に基づくルールによって人のトラブルを解決しようとする「法の支配」の意味、なりたちを軽く説明しました。

 そのあと、「法」が体現する「正義」。
 「正義」と一口に言っても、必ずしも単純ではない、人それぞれに違った正義がありえるという問題やら、「道徳やマナーと法とはどう違うか」といった話をしました。

 
 以前から、私が講義・講演をするときに、いつも気になっていたのは、「私の話は、『一方通行』で進めがちである。内容は自分で練っているつもりだけれども、聴き手がどう思っているのかイマイチ分からない。」ということでした。
 そこで、今回の講義は、一応毎回、講義の中でやる内容に関係することなら思いついたことを何でも書いてよい、という趣旨の「ミニミニレポート」を全員に提出してもらうことにしました。

 正直、「何でも思ったことを書いてもらえたら」くらいの気持ちでしたが、もらったレポートを後で読んでみると、感心させられることがたくさん。

 いくつか講義のテーマがあったのですが、例えば、「インターネット上の誹謗中傷やわいせつ表現を法で規制することについてどう思うか」というテーマについて、単に法規制に対して賛成・反対というだけではない意見、「第三の解決」を自分なりに模索すること(具体例 フィルタリング機能の活用、サイト運営者による自主管理の強化など。それと法規制の程度とのバランス。)にまでしっかり踏み込んだレポートを出してくれた人が何人もいました。

 その他にも、例えば、嫡出子と非嫡出子の相続割合が違うという法の定め(民法900条4号。 相続人に、「嫡出子」すなわち、婚姻関係にある両親の子と、「非嫡出子」すなわち、婚姻関係にない男女から産まれた子とがいる場合、相続割合は同じではない。「非嫡出子」は「嫡出子」の1/2の相続割合しかない。)は、どういう「正義」を体現しようとしているか。あるいは、このことは、違った面から見た「正義」と対立してはいないか?というテーマでは、どちらの方向からの意見も頂きました。

 レポートを読むと、その他のことでも自分なりによく考えて書かれたものが多く、今の学生さんたちを十分頼もしく感じます。

 法学部の学生さんたちなので、基本的には、憲法、民法、刑法…といった科目を勉強されています。
 「法学部で勉強することをどう活用して、日々ニュースになることや身のまわりのことをどう見るか、どう考えるか」ということに役立つ講義を目指して、次回からも頑張ろう、と思っています。


                   村上英樹(弁護士、神戸シーサイド法律事務所
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shira

 法学部に進学した教え子の父君とお話しする機会があったのですが、サークルで現実のトラブルに対してみんなであれこれ調べて解決策を考えるという活動をやっているそうで、これがすごく面白くてかなりのめり込んでいるのだそうです。ちょっと羨ましい話でした。
by shira (2012-09-21 21:35) 

hm

shiraさん 
 ナイス・コメントありがとうございました。
 この分野は、考える題材は世に溢れかえっています。
 どういう切り口を持つか、あと、立場によってどのような見方がありえるのかを想像することなどがポイントで、人によっては、例えばニュースなどに対するものの見方が急に変わるということがありえると思います。


by hm (2012-09-24 17:15) 

hm

 心如さん

 ナイスありがとうございます。
by hm (2012-09-24 17:16) 

ayu15

先日テレビでドクターGというのをやっていました。問診で情報集めて、カンファレンスというみんなで原因考え患者の負担軽くして救済しようという考えみたいです。


医師も弁護士も画一的に「常識」で人は見れなさそうですね。
問診ならぬ面談重ねて
得た情報を元に困っている依頼人をどう助けるのか「カンファレンス」するのはどうでしょう??

カンファレンスは主訴(患者が一番来院の原因として訴えてること)だけでなく隠れ主訴も探すそうですよ。


hmさんがやるならぜひ見てみたいものです。
by ayu15 (2012-10-05 12:08) 

hm

ayuさん

 ありがとうございます。
 隠れ主訴。なるほど、なるほど。
 我々の相談でも、相談者の方が、上手く表現できないけれども実は言いたいことを推し量ることは大切だと常々思っています。
by hm (2012-10-05 13:12) 

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