SSブログ

灘校土曜講座に行ってきました。 [弁護士業について]

 さる6月19日(土)に、10数年ぶりに、母校である灘高校に行ってきました。
 
 高校時代の知り合いが現在灘校(灘中と灘高校をあわせて、「灘校」と呼ぶ)で教員をしておられ、「総合学習」の一環として同校で行われている「土曜講座」の講師として講義をするということの依頼を下さったのです。

 昔(私の頃)はそんなものはありませんでしたが、現在、学習指導要領上定められている総合学習として、灘校では、

OBを中心とした各方面の人の講義、講演

というのが行われるようになっているとのことです。

 昨年の同講座では、医師や学者などのほか、

囲碁プロ棋士の 坂井秀至 7段 (京大医学部出身で医師免許を持つ異色の経歴の棋士。まさに、今日、初めてのタイトル挑戦。碁聖戦で、日本棋界最強の張ウ碁聖と対局中)

も講師として来られていたそうです。

 ということで、このような仕事のオファーを頂くこと自体、光栄なことなので、二つ返事で承諾し、行って参りました。


 講義のテーマとしては、2本立てで、

1 前編  スポーツルールにたとえる法学・法律実務入門
  
  野球でタッチアップが許されるのは、「公認野球規則」のどの条文から説明できるのか?
 
 というようなたとえから、法律の条文解釈等について案内する、という内容。

2 後編  司法改革と弁護士への道の変化

  弁護士になることについて、昔よりは合格するための難易度は下がっているが、ロースクールに行く時間的な負担、経済的な負担は大きくなっているし、司法修習生の給料もこのままでは出なくなることや、弁護士の就職難など、決して楽ではない状況になっている。
  
  しかし、弁護士として活動することは、多少なりとも世の中を良い方向に変えようと思えば、そういう方向で社会の色んな方面に関わることが出来る。
  
 司法の世界全体の激動はこれからも続くと思うが、この世界にはいって、司法制度改革についても少しでも良い動きに変えていこうという気持ちをもって入ってきてくれる灘校出身法律家がいたらうれしいとおもう。


といった話をしてきました。  


 30代の半ばになって、母校の中高生をみると、失礼な言い方かも知れませんが、本当にかわいくみえてしかたがなかったです(もちろん、男子ばかりですが)。

 私たちのときよりも、授業を聴く態度が真面目だったと感じました。
 というより、

授業を聴くことを、自分の力にすることが上手い

のではないか、と感じました。

 私は特にそうだったのですが、

授業=抑圧

のように感じ、いわば、尾崎豊みたいな感じで「この支配からの卒業」をひたすら待ち望む気持ちでいたので、なかなかナチュラルに授業を聴くことを自分の力の向上に繋げられませんでした。

 もちろん、人それぞれで、今の中高生にも「授業=拷問」と感じて日々耐えている人はいるでしょう。
 が、きっと、今は、

先生も教え方がうまくなり
生徒も聴き方がうまくなった

のではないか、とごく素直に思いました。
 
 学問の身につけ方は色々で、色々な方法によって一長一短あるので、授業を聴く「耳学問」だけでなく、「独学」的要素(自分で本を読み、問題をといて身につける)もあって本当の力になるのでしょうが、しかし、「授業を上手く活かせる」ことは素直にプラス要素だとおもいました。


 さて、時間がなくて、灘校のみなさんに十分に伝えられなかったことがありました。

 自分も灘校に行き、同校を卒業して、大学に進学して、社会に出て、仕事もし、結婚して子どももできて、今に至るのですが、私の一番大切にしていることは、

出世
預金残高

などということではなくて、

いかに人間本来の喜び、幸せを実現するか
(自分も他人もそれを実現できればよい)

ということでした。

 今自分が感じるのは、たとえば、

人同士の愛情とか、

自分の活動に関するやりがいとか、

知的好奇心が満たされる、とか、

身体的な心地よさ、とか、 

未来に関わっていることの喜び、とか、

そんな言ってしまうと単純なことなどですが。
 私は、日々の生活でそういったものを実感できることが最高の贅沢だと思っています。


 
 灘校生にも色々なタイプの人がいると思いますが、できれば、そのうち何人かでも「人間本来の喜び、幸せ」の追求にとことんこだわって生きるみたいな人がいてくれれば嬉しい、と個人的には思います。
 
 さらに、出来れば、

「人間本来の喜び、幸せ」の追求を、できるだけ広い範囲の人が、とことんやっていけるような世界をつくろう!

という考えで、各方面で活躍する人が一人でも多く生まれたら、と願っています。
 
nice!(1)  コメント(3)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 3

shira

 「ようこそ先輩」って感じですね。まさに村上先生。(弁護士さんは普段から先生ですけど。)
 高校生、可愛かったでしょう。何か記事の端々から高校生へのエールが伝わってきて、高校の先生として嬉しくなってきちゃいました。
 
by shira (2010-06-25 21:24) 

hm

>shiraさん 

 ナイス・コメントありがとうございます。

 行ってみて、やっぱり直に触れあうことは、そうでないのと全然違うと思いました。

 たぶん誰しも、自分の若者時代を美化したくなるので、直接の触れあいがないと余計に、「今の若者は…でダメ。昔はこうだった。」ということを言いたくなる人も多いのでしょう。

 「日本の教育が腐敗している」という人のうち多くの人が、もしかしたら、全く、教育現場を直に見ていないのではないか、と改めて思います。

by hm (2010-06-28 10:18) 

shira

 再コメ失礼します。
>日本の教育が腐敗している」という人のうち多くの人が、もしかしたら、全く、教育現場を直に見ていないのではないか、と改めて思います。
 というのは、実にご名答です。佐藤学が学級崩壊に関する数冊の本について評価をしてくれと言われて確認してみたら、著者たちのただの一人も自分の目で崩壊学級を見てはいなかったというのです。すべては伝聞情報。
by shira (2010-06-28 23:24) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0