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朝青龍を追い回すよりも [時事ニュースから]

稽古中の力士死亡事件のほうがよっぽど重大なニュースだったはずだ。

 実際に,力士斉藤さんが亡くなったのは6月のことだった。

 その後今まで約3ヶ月。こんなことがありながらこの斉藤さん死亡事件についてほとんどマスコミも取り上げないのに,連日テレビカメラが朝青龍をモンゴルまで追い回し,横綱の品格がどうのこうの,朝青龍の精神病は仮病ちゃうかどうのこうの,ホジルトという温泉施設はこんなのとかどうのこうの,とか何とかこんなことばかりテレビ番組でやっていた。

 こんなおかしな世の中があるものか,と私は思う。

 私はこの間、マスコミでこの力士死亡事件のことを目にしなかった。

 唯一,江川紹子さんのHPhttp://www.egawashoko.com/c006/000234.html で江川さんが9月6日にこの力士死亡事件のことを取り上げ,「朝青龍追い回すより重大事件がある」と主張されているのを目にしただけだ。(江川さんHPによれば,英字新聞ジャパンタイムズと週刊現代だけが,このニュースを報じていたとう。)

 この江川さんの記事を読んでときから,私も,ホンマにおかしな世の中や,大事なことがアベコベや,と思っていた。

 (読売ニュースより引用)

急死直前に30分も“ぶつかりげいこ”、時津風親方は黙認

 愛知県犬山市の大相撲時津風部屋の宿舎で今年6月、序ノ口力士、斉藤俊(たかし)さん(当時17歳)=しこ名・時太山(ときたいざん)=がけいこ中に急死した問題で、亡くなる直前の斉藤さんに対する長時間のぶつかりげいこを時津風親方(57)(元小結双津竜)が黙認、兄弟子らが斉藤さんをバットで殴るなどした暴行を制止しなかったことが27日、県警の調べで分かった。

 県警は、親方が黙認したことで、暴行がエスカレートし、斉藤さんの死につながった可能性があるとみて捜査している。

 調べによると、斉藤さんが死亡する直前の6月26日午前中に行われたぶつかりげいこは約30分に及んだ。この間、兄弟子らは、斉藤さんが倒れると、金属バットや木の棒で殴るなどの暴行を加えたという。斉藤さんはその後、体調不良を訴えて病院に運ばれ、死亡が確認された。

 ぶつかりげいこは、兄弟子らの胸を借り、体当たりした後に投げられて受け身を取るもの。県警の事情聴取に対し、兄弟子らは「親方はけいこを見守っていたが、制止はしなかった」などと話しているという。

 関係者によると、ぶつかりげいこは体力の消耗が激しく、通常は3分程度が限界。県警は、死亡前日に、親方がビール瓶で額を殴ったり、兄弟子らが殴るけるなどしたりした行為とともに、当日のぶつかりげいこが長時間に及んだ経緯などについて、さらに詳しく調べている。

2007年9月27日14時32分  読売新聞)             (引用終わり)
 
  
 今、この力士死亡事件がマスコミでちゃんと取り上げられているのはもちろんいいことだ。だが、長い間、この事件をほっといて、朝青龍を追い回していたことはマスコミが、何が一番大切かを十分見極めずに、ただ興味本位で報道をしていたと非難されても仕方ないだろう。
 はっきり言って、猛烈に反省していただきたいと思う。
 
 それに引き換え、上で紹介した江川紹子さんの意見は、本物のジャーナリストの意見だと思った。この件で、江川さんを尊敬するようになった。
 
 さて、相撲界でもそうだが、いまだに、学校の部活などでも、「しごき」「特訓」等と称して、リンチまがいのことや、また炎天下で水分補給もさせず連続ノックを受けさせるような非合理的なことが行われていることを聞くし、実際にたまたま少年野球の現場などで「これは科学的に見ていかがなものか」というような精神主義的な(また事故の危険があるような)練習風景を見ることがある。
 
 ある種日本の悪い方の伝統かもしれないが、(科学的には不合理な)しごきに耐えることが「甘ったれた根性をなくす」のに必要だなどというわけのわからん理由で、あちこちで割りと正当化されてきたことなのかもしれない。
 
 だが、私は、こんなおかしなことがまかり通ることは許せないと思う。
 
 スポーツの鍛錬においては、(指導者が)ちゃんと頭を使って合理的科学的に上達が見込まれる方法を選択すること、また、指導者や先輩が感情をコントロールして紳士的な態度で弟子や後輩に接することこそが、最低限必要なことだと思う。
 それすらできず、相手の健康状態を考えない危険なしごきをすることや、感情をコントロールできず指導と称して暴力を振るうような人間こそ、よっぽど甘ったれだとおもう。
 
 スポーツは人の人生を豊かにしてくれる。私もスポーツができる喜びに日々浸って生きている。仕事への活力もくれる。
 幸せになるためのスポーツで、こんな形で人が死に追いやられたことに対する怒りを禁じえない。
 スポーツの原点、スポーツマンシップの基本について、さもわかった顔をしている指導者たちこそ、もう一度見つめなおすべきではないか。
 
 そうして、この世の中で、スポーツの現場で、こんなひどい「しごき」「暴力」が一切なくなるようにと、強く、強く思う。


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ayu15

うちも読みました。以前「病人の横綱を追い掛け回す暇と予算があるなら何故この事件の直接取材にむけないのか?」というの提起しましたが、横綱のことは反響あってもこの件は反応ほとんどなく、知られてないようでした。報道の問題考えてしまいました。
by ayu15 (2007-09-28 08:54) 

 角界のリンチ体質は昔から指摘があったんですが、その度に中くらいのスキャンダルで終わってますね。
 そう言えば九重親方も、千代の富士のしこ名で大人気だった現役時代に暴行疑惑がありましたっけ。あれも結局すぐに沈静化しちゃいましたが、これを2つに微分して拡大すると朝青龍問題と今回の問題になりそうですな。
 余談ですが、私、最近、いじめとリンチは日本の伝統文化なんじゃないかと思い始めてるんですよ。学校・スポーツ・会社・軍隊・芸能界・宗教界・政界・・・ほとんどどんなところにも、昔っからいじめとリンチが広く根付いてるんじゃないかと。
by (2007-09-28 21:09) 

ムッシュ

最近の偏向?したマスコミ報道。全く同感です。
最近は、テレビを全く見ません。

どうでもいいことばかりでなく、社会をよりよくする良識ある報道を望みたいです。
by ムッシュ (2007-09-30 08:32) 

心如

マスコミ自体が、誰かを槍玉にあげていじめのような報道をして憚らないところが有りますので、困ったものだと思います
特に民放や新聞は、広告主に対する批判は殆んどないと思います
ジャーナリズムという言葉はありますが、ジャーナリストと呼べる人は限られていると思えてなりません
by 心如 (2007-10-01 01:40) 

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