父親の永遠の課題? [だから,今日より明日(教育)]
娘を持つ父親がもっとも恐れ,悩み,なんとかしたいとおもう,娘の反抗期。
女の子に限りませんが,子どもの思春期,反抗期に,親子はどう過ごすかを考える興味深い書!
本当にためになった!
また,尾崎豊,NANA,ケータイ依存症,coccoの歌詞,村上隆…などについても,おもしろい記述が一杯でした。
日々ニュースを賑わす事件の数々。
そのなかで10代の子が起こす殺人などもたくさん報道されますね。
じゃあ,今の10代の子は,みんな心が乱れて,日頃から暴れ回ったりしているのでしょうか?
どうもそうではないらしい。
以下,この本で印象に残ったことを私なりに(余り正確ではないかもしれませんが)記してゆきます。
尾崎豊の歌のように,盗んだバイクで走り出して自由になれた気がするような「反抗期」は,もう古いらしいです。
そういう子は一般に減っているらしいです。
そればかりか,殺人などの凶行,あるいは自殺に至った少年少女の多くが,そういう尾崎型の反抗を世の中に示すことなく,たとえば部屋にこもってネットの世界で生きようとしながらも,結局そこでも満足におられず,(世間から見れば唐突に)凶行や自殺に至っているらしいのです。
若者は,どうしようもない「生きづらさ」を抱えていることが以前より多くなった。これは80年代以降に生まれた子に顕著だそうです。理由は,成長段階におけるインターネットの作用です。情報量が格段に増え,「ここではないどこかへ行けば,今はダメでもなんとかなるかも」という希望すら持てなくなったことが大きい,と。
さらに,精神科医香山さんの分析によると,
「自分」というものののリアリティを失ってしまっていることが多い(それで,自分を確認するために,リストカットや身体改造など,あえて,肉体的な痛みや変容を伴うことをする)
ということです。その「自分」現実感のなさ,認識したくても出来ないこと,が極めて,つらいことであるということです。
たとえば「ゲーム感覚で殺人」という無邪気なものとは随分違うようです。
一つには,子どもや若者を追いつめる大きな原因について
(本より抜粋)
もっとも重要な理由だと私が考えているのが,社会全体が少数派の人たちに対して「いつかどこかで」を想像させるだけの余裕を失っていることです。
「個性が大切」と口では言いながら,異性の目を意識して「モテるスタイル」をした人だけに人気が集中しているわけです。…
(抜粋ここまで)
本当に私もそう感じるのです。
個性尊重とはいいながら,没個性だな~。JJなどの雑誌が悪いというのではなく,受け止める私たち大衆の側が,自分からすすんで,お手本スタイルをどんどん倣っていっているよな~,と思います。
繰り返しますが,雑誌が悪いわけではありません。雑誌を参考にして,自分の個性の発揮をするというのは素敵です。
前にも書きましたが,「読者モデルの○○ちゃんみたいでしょ~」と言って自分個性を売り渡して喜ぶのではなく,「読モの○○の髪型を盗んでやったぜ!」と自分の個性に加える心の持ちようがいい,と思います。行動そのものとしては同じでも。
さてさて,しかし,香山さんは,だから
少数者を迫害する社会のせいだ!社会が悪い!
と言うことで社会のせいにして終わり,ではなく,
(本から抜粋)
「自分をわかってもらえない。モテない。逆を飛ばすことができない。親や先生としっくりこない。住んでいる町がきらい」。
そういう悩みを抱えた若者たちに,私は言いたいのです。
いま,うまくいかないからといって,イライラやあせりを衝動的に他者や自分に向けないでほしいのです。
「ここではないどこか」「いまではないいつか」
にかすかでもいいから希望を託して,いまをしのいでもらいたいのです。
(抜粋ここまで)
というメッセージを残しています。
スッキリする若者への答えじゃないけれども,確かに,そういう風にしかしようがないな,という感じで,とても正直で率直で伝わりやすいメッセージのように思いました。
さて,気になる,娘を持つ父親がどうすればよいか?について。
ここはタメになりました。灯台もと暗し,とは良く言ったもんだという感想。
って,何が書いてあるって??
が,ここを書いてしまうとネタバレが過ぎるので,娘ラブのパパさんは,是非お近くの書店で,この本を買って読んでみられることをオススメします。
でも,ちょっとだけ,明かすと,娘とコミュニケーションしたければ,まず妻と十分コミュニケーションしなさい,だって。その姿を子どもは見ているから,って。
2006-10-11 17:23
nice!(1)
コメント(0)
トラックバック(1)
コメント 0