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後藤田さん(水野真紀の夫)が辞めると言うのはなぜか~サラ金規制問題 [消費者事件]

 真面目にサラ金規制をして消費者保護をしようと考えた後藤田氏には,「サラ金規制見直し」は名ばかりで,結局サラ金の利益を守ってしまいそうな金融庁の動きが,どうしても耐えられない…という心境だったのでしょう。そして自分が進退をかけるほどの重大問題だと,世の中にアピールしようと考えたのだ,とも思えます。

(以下,日経ニュースより引用)後藤田政務官が辞意、金融庁の貸金業制度見直し案に抗議
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060905AT3L0505P05092006.html
 内閣府の後藤田正純金融担当政務官は5日夕、6日に政務官の辞職を申し出ることを文書で表明した。辞職を表明した理由として、5日に金融庁が公表した貸金業制度の見直し案が、同庁内の有識者懇談会や与党などの考え方と「ほど遠い案」になっていることを挙げている。

 後藤田氏は金融庁案に対し「核心部分については妥協した案となっていることに金融担当として責任をもてない」とし、「(有識者懇談会の)委員の方々に心から辞任をもっておわびしたい」としている。〔NQN〕  (20:00)(引用終わり)

 サラ金の利率29%は高すぎるし,殆どの場合法律が「とってよい」とする条件を満たしていないので,利息制限法の18%以上は「取りすぎ」になる。けれども,刑罰がないので,実際には,高利が取られていることについて, 以前の記事 http://blog.so-net.ne.jp/h-m-d/2006-06-20 で述べました。

 そりゃおかしい!ということで,当初,与党(自民党,公明党)も有識者の集まりも,利息制限法の利息(18%)かそれよりちょっと上くらいを限度にして,それ以上利息を取ったら刑罰の対象になる,という見直しをしようとしました。

 しかし,おそらく,サラ金業界ががーーっと圧力をかけてきたのでしょう。結果,金融庁は,

最大9年間はグレーゾーン金利が存続するとともに、「少額短期特例」、「事業者向け特例」として、いずれも年利28%を認める

というような,「見直し」案を出してきてしまった。これ,「改善」になりません。今の法律では,基本的には年利28%など認められていないのですから,実質的には,逆に今より悪くなるという,本末転倒の金融庁の案です。

 そんな中で,後藤田さんは「もう責任が持てない。ヤメる。」と言われたのです。

 私は,こう言う後藤田さんには,

「そのポストにいる以上,また,消費者保護の信念があるのならば,辞めずに最後の最後まで闘って欲しい。だって,消費者は消費者をやめることはできないんだから。」

と言いたい気持ちですが,後藤田さんはそういうことも重々よく考えた上で,それでも,「もうどうしようもない。辞めるしかない。辞めて抗議の意思を示すしかない。」と考えたのだ,と思います。

 サラ金業界は,高利の貸金について

消費者の選択の幅を広げる

自由主義,自己責任だ

と言います。

 ものは言いようです。が,もともとお金のない人が年利28%の金利で50万円一年の短期でお金を借りるとしたら,毎月返済しても約5万円返済になるのです。毎月5万の支払って,普通のサラリーマンでも増えたらキツいですよね。お金に困っている人ならなおさら。で,月末足りなくなって,他からも借りたら,すぐ返済額は月10万,20万…。返済不能です。

 蟻地獄とはよく言ったものです。借り主がこういう風に蟻地獄にはまっていくことを,承知の上で貸しているのが,業界です。

 

 お金がないならお金をつかっちゃいけない=借金はダメ

というのは,ごく当たり前で,多くの人が親から何度も言われてきたことでしょう。

 でも,お金がないという人の苦境に付け込んで,「つかっていいよー」と甘い声でお金を貸して,高利でお金儲けをする業界が今まで野放しでした。

 そしやって,人々の金銭感覚をおかしくして,上記の「親からの言いつけ」を破るように勧めてきた業界には,社会的に大きな責任がある,と思います。 

 

 「私は借金なんかせーへんから関係ないもん!」っていうアナタ!

 それは本当にあなたに関係ないでしょうか?

 お金に困った人が起こす犯罪(強盗,強盗殺人,ひったくり,万引き,空き巣,車上荒らし,横領,詐欺…)が世の中にどれほど多いか?その被害にあなたや家族が遭わないと言いきれますか?実際に被害の話ききませんか?(私も去年車上荒らしに遭って,クルマの窓ガラスを木っ端微塵に割られました。小銭数百円をとるためにクルマを破壊されました。犯人はつかまっていません。)

 犯罪ではなくても,何かというとすぐお金・お金と要求してくる人の裏に「サラ金からの借金」があって,みんな迷惑するというケースも非常に多い。要は,社会がおかしくなっちゃう一つの要因なのですね。

 

 貧しい者をますますどん底に突き落とすシステム(高利金貸し)に厳しい規制を!そして,弱者を,社会を守ろう!お金のことについて健全な社会にしよう!と後藤田さんは考えたのでしょう。

 でも,お金儲けの味を知る人たちの抵抗は予想外に激しく…という人間ドラマが垣間見えそうな気のするニュースでした。

 もし,この件について,エラい人たちに,何か言ってやろう!と思う人は↓

 ここから「自民党に物申す」ことができます。
http://meyasu.jimin.or.jp/cgi-bin/jimin/meyasu-entry.cgi

(私も,「例外を認めず,金利を厳しく規制してください!業界ではなく,弱者を含めた国民個人個人の利益を守るのが,国民の多数の支持を集める政党の責任です。」ともの申してみました。すると,すぐ返信メールが来ます。この返信メールの文章に
ちょっと感動します。)注*この記事は特に自民党を支持する趣旨の記事ではありません。できれば全政党に物申したいですが,やはり政権党に送るのが一番か,と思いました。それでも,こういう「御意見箱」を設けているのはいいことだ,と思います。


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nina

こんにちは。
TBさせていただきましたのでご挨拶を。m(_ _)m
by nina (2006-09-06 23:18) 

hm

>ninaさん
 はじめまして,有り難うございます。
 いろんな方法を積み重ねて,悪い方向にいかないように,みんなで力を合わせ声を上げなければ,とおもいます。
by hm (2006-09-07 12:15) 

hm

 「自民党に物申す」について。

 実際に,物申す意見を出された方から,

返信メールに別に「感動」せえへんかったけど!?

という声を頂きました。

 私が,「ちょっと感動」と書いたのは,「自民党の懐刀はあなたです。」という返信メールの文句について,でした。
 「懐刀かぁーーー」と面白い表現だなぁ,「物申す」といい,時代劇調なんやなぁ,と面白かったので,「ちょっと感動」と書いたのでした。
 とまあ,それくらいのことです。

 なので,「懐刀」の称号がもらえますよ!ということで,本当かどうか確かめて見たい方は,是非「物申し」てください。
 
 そして,「懐刀」はどうでもいいが,サラ金規制をちゃんとやってほしい!!という人,是非「物申し」ましょうよ!!
by hm (2006-09-07 12:19) 

robou

物申してみました。
物申すのに、不勉強だから、調べなければいけないことがたくさん。
勉強になりますね。
サラ金についての小説、映画、見てると悲惨な気持ちになります。
やくざの抗争に巻き込まれるのは稀かもしれませんが、
サラ金はいたるところでお手軽にーって感じですからね。
怖いです。
by robou (2006-09-07 14:34) 

nina

私も何度も物申しているのですが・・・
一般国民の声ってのはなかなか届きそうにないなと感じてしまいます。^ ^;
by nina (2006-09-08 01:00) 

hm

>みなさん

 物申したのが通りましたね!
 高金利特例無し!
 市民の声が実現することもあるんだぁ,と感慨深いです。
by hm (2006-10-26 12:09) 

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