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「個人版 リーガルチェック」 [弁護士業について]

 私は、春には、軽く人間ドックをすることにしています(今年もしなくては)。
 何もなければしてもしなくても同じことなのですが、やはり、早期発見によって防げる病気もあるので、やっておくことが日々の心を強くしてくれる効果があるように思います。

 そのたびに思うのですが、「法律問題」というのも、やはり、小さな種からにっちもさっちもいかない状態(トラブル状態)まであって、可能ならば、小さな種のうちに適切な対処をしておくのに越したことはないと思います。
 
 それで、「法律」の人間ドック、というのがないだろうか?というアイデアが毎年この季節に湧いてくるのです(これはもう10年以上前から。でも翌月には消えていました。なので、今回は忘れないためにブログ記事にしておきます)。

 
 さて、抽象的な話では分かりづらいので、具体的に書き出してみましょう。
 まず「セルフチェック」で良いかもしれません。その中で心配な項目があれば弁護士へ、という感じです。

 
1 コンセプト

 個人に起こりやすい法的問題、法的問題となる原因をチェックし、早期発見により、より有効で(時間的、費用的にも)コストの低い対処をする。

2 イメージ 
  会社のリーガルチェック(M&Aの際の法務デューデリジェンスにも重なる部分あり)  の個人版
  人間ドック の法律問題版

3 項目
 (1)家族  婚姻      何の心配もなければいいのですが… 
         子       子の養育、学校関係など
         親       高齢になれば、扶養、成年後見など
        死後の問題  予想される相続問題(遺言、遺産分割など)

 (2)財産  現金       余り問題にならないでしょう
        預金        問題は少ない。名義人と実質の預金者が違う場合などは問題があり得る。
        不動産     所有、共有関係、隣との関係、賃貸関係その他 
        証券など    金融商品に関するトラブルは最近非常に多いです。 
        車       保険関係など 
        債権      貸金等です。返済される可能性、借用証の有無など問題が多いです。
        負債      金額、返済条件、順調に返済できているか、今後の返済の目処?
                 担保(抵当)はどうなっているか?
        保険      契約内容(保険料、保険金の支払条件など)を把握しているか?
                 自分の意向に合ったものか?(特に、生命保険など高額のもの)

 (3)社会的地位、職業   
        勤務先、給与     労務関係です。労働条件等は法にあったものか。
        社内積み立て等   内容を把握しているか。自分の意向に合ったものか。


 (4)住居  
        所有物か賃貸か   賃貸の場合、契約内容の把握が重要
        場所
        コスト          住宅ローンと賃料(や敷金)

 (5) その他        人間関係(隣人、友人、職場、同好会など)
                 継続中のトラブル
                 トラブルに至らないがその要素があるもの
 
 一般的な個人(サラリーマンを想定)としては、上記のようなところでしょうか。
 上記に例示した内容で、ちょっと心配な要素があるな、というものに思い当たる方は、何年間かに一度くらい弁護士に相談してみられては?と思います。

                              村上英樹(弁護士、神戸シーサイド法律事務所
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コメント 4

hm

shiraさん 心如さん
 ナイスありがとうございます。
by hm (2013-04-23 09:25) 

ayu15

さすがわかりやすくまとめられていますね。


ただ個人的に
 「契約内容(保険料、保険金の支払条件など)を把握しているか?」
は日記の「契約の自由」シリーズ?でも取り上げた気がしますが

最小限度はわかってもあの膨大な約款(契約の内容)は理解不能でう。
某政治家某メディア某世論
の「約束守れ!」というバッシングがおきたりしますが、
そもそも最初の約束自体???という感じです。

保険会社の人でさえ答えられないことがある約款ですもの。

また「条件」は消費者不在で一方的??に決められます。



これらの法は条文がふるめかしく意味不明(うちには)だったりするんですがいつのものでしょう??
いつ改正されたんでしょう?

法は終戦でどこまでみなおされたんでしょう?

戦後の人権憲法に戦前の法は適合してるんでしょうか??
by ayu15 (2013-05-01 22:16) 

hm

ayuさん

 ナイス、コメントありがとうございます。

 まさにそこが、契約の内容が一般には分かりにくいところが、専門家に聞くべきポイントかもしれません。

 「約款によればこんな恐ろしいことになっているよ」ということを知ることは大事です。
 その上でも保険料を払いますか?ということを考えて、それでも良いのならば継続する、いやなら解約する、そんな選択肢が生まれます。

 私たちの仕事の1つは、「ちゃんと選択肢が見えるようにすること」でもあります。
 それがその人らしい生き方の実現に近づくと思いますから。

                
by hm (2013-05-02 10:38) 

ayu15

提案ですが



契約の自由で書いてますが
契約文作成の時は片方の当事者はまだ不在です。

一方的に企業側が条文作成します。
それに対してイエス・ノーしか言えません。
ノーだとサービス受けられず生活に支障きたします。

消費者との契約書の条文作成時には、消費者目線でその方面の契約に詳しい弁護士さんや消費者団体の職員が参加できる仕組みができたらと思います。


そして個々の事情で契約に少し柔軟性もたせて個々の消費者の意向も少しは反映できたらと思います。
法的にできそうですか???
by ayu15 (2013-05-07 12:23) 

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