裁判にはどれくらい時間がかかるか [法律案内]
常に、この質問を頂きます。
当然ですよね。
訴訟を起こすのはいいとして、いつ頃解決するのかを知りたいのは、誰でもそうでしょう。
しかし、答えになかなか困る質問でもあります。
その理由は、もちろん、予測が難しいからです。
目安になるかどうか分かりませんが、裁判所の出している
裁判の迅速化に係る検証に関する報告書 http://www.courts.go.jp/about/siryo/hokoku_04_hokokusyo/index.html
によれば、
平成20年 の 一般民事訴訟の平均審理期間(第1審。通常は地裁) の統計は、 1件あたり6.5か月
だそうです。
平成18年 7.8か月
平成16年 8.2か月
とのことです。これは第1審ですので、そのあと控訴(通常は高裁へ)、上告
この統計を見れば、
裁判は早くなっている
また
年単位の時間がかかると思われがちですが、平均すれば半年とちょっと(意外と短い?)
とも言えます。
但し、平成20年の統計の際には、いわゆる過払い請求事件 (過去記事 勝訴率が100パーセントに極めて近い事件http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2007-08-17 サラ金への借金利息の払いすぎを取り戻す事件)が多く、これは審理期間が短いタイプの事件だった影響があるとされています。
なので、それを考慮すれば、やはり平成16年および18年ころの、平均8ヶ月くらいというところを標準とみるのが適当なところだと思われます。
平均値は上の通りですが、やはり、
事件の種類によって(かなり大きな)違い
があります。
審理期間が長くなるものについて、きちっとした分析をするのは難しいですが、①内容そのものが複雑な場合や②どうしても時間がかかる要因がある場合などが、長くかかる(1年を超え、2年近くになる。少数ですが2年を超えるものもある)ようです。
① 内容そのものが複雑な場合
これは、例えば、医療訴訟や金融商品が問題になる訴訟など、内容がややこしい場合です。
訴状、答弁書、準備書面などの記述はどうしても長くなるし、裁判官が、事案を把握するのにもそれなりに時間がかかります。
分量があり、内容的にも専門的なものを含む「準備書面」が提出されると、それに対する反論も、それに応じたものになり、時間がかかります。
② どうしても時間がかかる要因がある場合
例えば、交通事故事件など、事件そのものは典型的なもので特別複雑というほどではないですが、時間のかかりやすい要因があるものもあります。
交通事故事件では、事故で怪我をした被害者が損害賠償請求しますと、加害者側(保険会社側)は、被害者の医療記録(カルテ)などを取り寄せて検討することが多いです。
このカルテ取り寄せと検討には数ヶ月かかります。
被害者側としてはこの間待っているしかないのですが、これは、内容が特別に複雑というわけではないがどうしても時間がかかる場合の一例です。
その他にも、関係者(当事者)が多数いて、証人尋問(本人尋問)をするとすれば何回も裁判期日を開かなければならない場合も時間がかかります。
以上のように、裁判は、昔は「何年もかかる」と言われていたようですが、実際には平均して6~8か月程度であり、それなりの期間で終わるものが数としては多いのが統計上言えることです。
ただ、上記①②など時間のかかりやすい要因がある場合は長くなることがあります。
私も弁護士になりたてのときは、「いつ終わるのかなあ」という気持ちがありました。
当事者の方は常にそうだと思います。
経験上言えることは、手続が進行している以上は、エンドレスではなく、確実に終りに向かっているので、裁判官が「○年○月に終わる」とは言ってくれないものの、遠からず終わる(殆どが2年内には終わる)、ということです。
「どれくらい期間がかかりますか。」はよく質問され、これは本当に答えが難しいのです。
「およそ半年から2年」といった答えをすることは多いですが、この答えではあまりに幅があります。
しかし、これが本当であることが実に多いです。幅を大きめに言っているのではなく、本当に、その後の展開によって6か月で終わることもあり得るし、とことんいくと2年ということもあり得るというケースが多数です。
そんなわけですが、この記事で紹介したような客観的なデータ(平均審理期間)などは一応知っておいていただくと、多少の安心に繋がるかな、と思います。
村上英樹(弁護士、神戸シーサイド法律事務所)
当然ですよね。
訴訟を起こすのはいいとして、いつ頃解決するのかを知りたいのは、誰でもそうでしょう。
しかし、答えになかなか困る質問でもあります。
その理由は、もちろん、予測が難しいからです。
目安になるかどうか分かりませんが、裁判所の出している
裁判の迅速化に係る検証に関する報告書 http://www.courts.go.jp/about/siryo/hokoku_04_hokokusyo/index.html
によれば、
平成20年 の 一般民事訴訟の平均審理期間(第1審。通常は地裁) の統計は、 1件あたり6.5か月
だそうです。
平成18年 7.8か月
平成16年 8.2か月
とのことです。これは第1審ですので、そのあと控訴(通常は高裁へ)、上告
この統計を見れば、
裁判は早くなっている
また
年単位の時間がかかると思われがちですが、平均すれば半年とちょっと(意外と短い?)
とも言えます。
但し、平成20年の統計の際には、いわゆる過払い請求事件 (過去記事 勝訴率が100パーセントに極めて近い事件http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2007-08-17 サラ金への借金利息の払いすぎを取り戻す事件)が多く、これは審理期間が短いタイプの事件だった影響があるとされています。
なので、それを考慮すれば、やはり平成16年および18年ころの、平均8ヶ月くらいというところを標準とみるのが適当なところだと思われます。
平均値は上の通りですが、やはり、
事件の種類によって(かなり大きな)違い
があります。
審理期間が長くなるものについて、きちっとした分析をするのは難しいですが、①内容そのものが複雑な場合や②どうしても時間がかかる要因がある場合などが、長くかかる(1年を超え、2年近くになる。少数ですが2年を超えるものもある)ようです。
① 内容そのものが複雑な場合
これは、例えば、医療訴訟や金融商品が問題になる訴訟など、内容がややこしい場合です。
訴状、答弁書、準備書面などの記述はどうしても長くなるし、裁判官が、事案を把握するのにもそれなりに時間がかかります。
分量があり、内容的にも専門的なものを含む「準備書面」が提出されると、それに対する反論も、それに応じたものになり、時間がかかります。
② どうしても時間がかかる要因がある場合
例えば、交通事故事件など、事件そのものは典型的なもので特別複雑というほどではないですが、時間のかかりやすい要因があるものもあります。
交通事故事件では、事故で怪我をした被害者が損害賠償請求しますと、加害者側(保険会社側)は、被害者の医療記録(カルテ)などを取り寄せて検討することが多いです。
このカルテ取り寄せと検討には数ヶ月かかります。
被害者側としてはこの間待っているしかないのですが、これは、内容が特別に複雑というわけではないがどうしても時間がかかる場合の一例です。
その他にも、関係者(当事者)が多数いて、証人尋問(本人尋問)をするとすれば何回も裁判期日を開かなければならない場合も時間がかかります。
以上のように、裁判は、昔は「何年もかかる」と言われていたようですが、実際には平均して6~8か月程度であり、それなりの期間で終わるものが数としては多いのが統計上言えることです。
ただ、上記①②など時間のかかりやすい要因がある場合は長くなることがあります。
私も弁護士になりたてのときは、「いつ終わるのかなあ」という気持ちがありました。
当事者の方は常にそうだと思います。
経験上言えることは、手続が進行している以上は、エンドレスではなく、確実に終りに向かっているので、裁判官が「○年○月に終わる」とは言ってくれないものの、遠からず終わる(殆どが2年内には終わる)、ということです。
「どれくらい期間がかかりますか。」はよく質問され、これは本当に答えが難しいのです。
「およそ半年から2年」といった答えをすることは多いですが、この答えではあまりに幅があります。
しかし、これが本当であることが実に多いです。幅を大きめに言っているのではなく、本当に、その後の展開によって6か月で終わることもあり得るし、とことんいくと2年ということもあり得るというケースが多数です。
そんなわけですが、この記事で紹介したような客観的なデータ(平均審理期間)などは一応知っておいていただくと、多少の安心に繋がるかな、と思います。
村上英樹(弁護士、神戸シーサイド法律事務所)
2013-02-15 10:24
nice!(3)
コメント(4)
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心如さん ナイスありがとうございます。
by hm (2013-03-13 11:25)
「裁判に時間がかかる」
一個人が救済求めた裁判で10年とかあまりにも長く感じます。仮に勝訴しても失った時間は大きすぎて。
他方裁判員制度の裁判で最初に3日とかスケジュールありきになるとスピードは速いですけど・・・。
by ayu15 (2013-04-19 08:20)
ayuさん
ナイスコメントありがとうございます。
同感です。10年も経てば、結論はともかく、その時間そのものが…という気がします。
by hm (2013-04-19 10:10)
きりたんさん
ナイスありがとうございます。
by hm (2013-04-19 10:11)