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裁判員、法科大学院、検察審査会…内田樹氏のブログで取り上げられています


ブログ 内田樹の研究室 から

裁判員制度の「成功」について
 http://blog.tatsuru.com/2013/01/23_1137.php


 内田さんらしく、司法制度改革について、クールに分析されています。
 私も、内田さんのご指摘はほとんどごもっともだという気がします。

 法曹人口の増大は、ある時点までは、確かに、サービスの向上に役立つメリットがあったと思っています。(ですが、少なくとも現在及び将来においてこのペースで増大すれば、弊害のほうが大きくなると思われます。)

 また、裁判員制度の導入、検察審査会に強制起訴の権限を与えたということは、いわゆる「ショック」効果はそれなりにあり、それまでの裁判所、検察庁、それに対峙する弁護士が、陥っていた悪弊のようなものが、「市民の眼が入る」ことを意識することによって正された側面はあるとおもいます。
 しかし、例えば裁判員を今後も続けるにあたって、「費用対効果」はどうなるか?等、内田氏の指摘に対する十分な答えはないのではないか、と私も思います。

 法科大学院については、内田氏は、

(引用)
ずさんな制度設計の結果、高額の授業料(私学だと、卒業時まで1000万に達する場合がある)を払った末に、30歳で無業者となる人々を量産するこの制度改革について、「私が悪かった」と言って陳謝した人のいることを私は知らない。
                           (引用終り)

という手厳しい指摘をされています。
 法科大学院導入の考え方自体は、医学部タイプ(つまり、4大+2,3年の教育の期間を経て、経た者の大半は国家試験に合格する形)の養成を企図したはずのものでした。それはそれで、1つの養成方法の在り方であって、上手くいけばいい方法かも知れないと思います。
 しかし、そういう方針のはずだったのが、どういうわけか、法科大学院ができるときに、明らかに多すぎる学校、多すぎる入学者を前提とした認可を文科省が与えてしまったことによって、内田氏が指摘するような事態になってしまいました。
 国全体としては確かに「ずさんな制度設計」と言われて仕方ないことになってしまったわけです。
 そのことが原因で、学生も、現場の教員も、法科大学院も、多くの人が今や非常に困っています。


 以上のようなことを、いっぺんきっちりと整理して制度設計をやり直す必要があるのは間違いないところです。

                              村上英樹(弁護士、神戸シーサイド法律事務所

 
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コメント 5

心如

「愚かな学者は、愚かな無学者よりもずっと愚かである」
(モリエール/フランスの劇作家)
という言葉があります。
 法科だけでなく大学院全般に言えることですが、高度の専門教育を受けても、その分野で飯が食えないとしたら… 中卒や高卒で働いて、手に職をつけたほうが増しな人生を送れるかも知れません。
 学生の為の大学院ではなくて、学校経営のための大学院が多すぎるような気がしてなりません。
by 心如 (2013-01-23 19:10) 

mai

素人すぎる?疑問で申し訳ないのですが、裁判員制度は例えば行政訴訟(でよかったでしょうか)のように、市民が権力側に対して、その権力を正当に利用しているか、国民が幸福になるような政策を行っているかというような点についてチェックする方がずっと有益なような気がするのですが、いかがでしょうか。今のように犯罪の事実のほぼ明らかな個人の裁判で、市民対市民という図式にすることにどれだけの意味があるのか、よくわかりません。
by mai (2013-01-23 23:38) 

hm

心如さん

 ナイスコメントありがとうございます。
 大学が生存競争にさらされているために、まさに、おっしゃるとおりの状況になっているといえます。

maiさん

 ナイスコメントありがとうございます。
 「今のように犯罪の事実のほぼ明らかな個人の裁判で、市民対市民という図式にすることにどれだけの意味があるのか」の点、同感です。おっしゃるように、市民の声を反映することがより有効な場面を見極めて、そういう制度にしていくという方向性が重要ですね。

shiraさん

 ナイスありがとうございます。

 
by hm (2013-01-24 12:05) 

ayu15

以前から疑問だらけなんですが、条文だけでなく、公式に制度の趣旨と理由を発表したものはあるんでしょうか?

いろんな有識者と言われる方が書かれた分はありますが、国の公式の説明は??

まずそこが明確でないと成功云々どころじゃないです。

後からでなく導入前

憲法に接触しないか?
国民の義務??
義務でないならなぜ行かないと法的処罰
(処罰する以上義務と考えます)
なぜ陪審員制度(休止中)再開でないのか?
裁判員制度の目的は?
仮に某有識者の方々のいう「国民の注目する裁判・・・」
ならなぜ死刑のある容疑が対象?行政訴訟の方が適切では?

主権者の生命を「正義の名」で奪うことに国民参加でいいの?


万が一誤審で最高裁で確定すれば取り返しのつかないことに。
生涯判断ミスで人殺しをしてしまった苦しみを負うことに。その責任は誰もとれないでしょう。

民間人にどこまで守秘義務?漏らすことは大問題と思えるのですが当事者のプライバシーと裁判員の負担を天秤にかけてしまうことの問題。
{職業的訓練を受けたプロでなく素人が背負う)

なんか次々出てきます。




これが???のままなので制度がどうだったのか内田さんのみても???のままなんです。
by ayu15 (2013-02-05 09:20) 

hm

ayuさん

 ナイス・コメントありがとうございます。
 
 挙げられた疑問点は全てもっともなことばかりです。

 それでもなおメリットがあるのか、あるとすればどの点か、これから検証して、制度を続けるかどうか、一部変えるかどうかなどを考えなければならないと思います。


by hm (2013-02-05 13:04) 

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