勝訴率が100%に極めて近い事件~サラ金への過払い請求 [弁護士業について]
弁護士の仕事は,もめ事があれば,どちらかの代理人になって,話し合ったり,訴訟で戦ったりすること。
ものを見る角度が変われば景色も変わるものですから,それぞれの立場に立てば,それなりの「言い分」がある。
ですから,それなりに「正しい」者同士の戦い(少なくとも本人達はそう思っている)であることが多く,だから,「勝つか負けるかやってみなければわからない」ということが多い仕事です。
ところが,私が受ける中で,
100%に限りなく近い確率で勝つ事件(というか,私の経験だけでいえば100です)
があり,それは,
サラ金に対する過払い請求
「グレーゾーン金利」の計算し直し事件
です。
以前,グレーゾーン金利について日記を書きました。これ→http://blog.so-net.ne.jp/h-m-d/2006-06-20
私の所属事務所(神戸シーサイド法律事務所)のHPから抜粋↓
(弁護士による借金整理について)
サラ金業者は,利息制限法の制限利率(例えば30万円や50万円の借金ならば18%)を上回る利率を取っています。
弁護士による交渉により,同法の制限利率を上回った部分については,利息として認めないという主張を行って,借金を減額することを求めます。
10年くらいの長期の借金の場合には,残高がゼロになるだけではなく,払いすぎになっており,逆に顧客が業者に返還を求める額が,数十万円に上る例も珍しくありません。(抜粋終わり)
http://www.kobeseaside-lawoffice.com/saimuseiri.htm
近年に最高裁で出された判決によって,この問題については全サラ金会社について決着がついたと言っていい状態になりました。
つまり「とりすぎた利息は返せ」という結論が裁判所の態度としてハッキリしたということです。そして昨年の貸金業法改正を受けて,大手のサラ金も利息制限法の利率に変更する方針を打ち出しつつあります。これは本当にいいことです。
しかし,知らない人も多いと思われますが,その前から,殆どの業者について「とりすぎた利息は返さなければならない」という最高裁判決はあったのです。
つまり,
訴えられたら負ける可能性が極めて高い
ことを承知で,高金利を貸し付けていたというのがサラ金会社(大手含めて)の実態でした。そういう事件を担当してきた弁護士としては,これがいつわりのないところです。
私の事務所に来てくださる方の中で,10年以上も29%くらいの利息を頑張って支払っておられた方もいます。
事務所に来られたときはとても疲れた顔でおられますが,蓋を開けてみてビックリ,業者は法律・裁判所が認めない金利を取っていて返さなければならない。それで,逆に数百万円を取り戻すこともあります。それも,弁護士が入ればハッキリ言って数ヶ月以内に解決することが多いです。うそみたいな話です。
依頼者さんの顔は,最初と見違えて晴れ晴れされることが多く,それはとても嬉しいことです。
ですが…
こんなのおかしいのじゃありませんか??
そりゃ,弁護士として,人の役に立てたのは嬉しいけど…
この人は10年以上もただ「無知」だっただけで,お金に苦しんで,毎月返済でやきもきして,きっとそのせいで体調崩すことも,人とケンカすることもあったはずで…
そんな世の中自体が「だまし」じゃありませんか??
適法なルールの中の競争社会で上手く立ち回れないので苦労しました…これだって気の毒だけど,「過払い」利息の問題はそんなレベルじゃない。
ただ,無知なゆえに,ルールと違うことを「しかたない」と思わせられて,法律が認めない状態で苦労に苦労をして十年以上という人がいる世の中…異常ですよ。
法の支配が,全然行き渡っていなかったということ。
金融業そのものは銀行もしていることで,もちろん全ての借金が悪というわけではないとは思います。
ですが,一般消費者相手に金融業を営む(サラ金など)に対しては,今までの経営方針(無知な顧客から法や裁判所が認めないような高金利=グレーゾーン金利をとってよしとしてきた方針)について,猛烈に反省をしていただきたいと思います。
また,とりすぎた利息については,速やかに顧客に誠意を持って返していただきたいと思います。
お金が全てじゃありませんが,お金に困ると色んなことに支障が出ますよ。夫婦喧嘩も増えるし,悩みが頭にずっとあったら体にも良くないし,人に優しくなんか,なかなかなれない。
そんな社会を作ってきたのは一体だれでしょう?
「勝てるに決まっている」事件がこんなにゴロゴロあるなんて,異常なんですよ。おかしいんですよ。
こんなけったいな事件は早くなくさなければなりません。
それとともに,こんなおかしな「グレーゾーン金利」でも,必死にサラ金業者をかばって,裁判所も認めなかった「高金利」を守ろうとした人たちが,国会議員たちにも財界人にもたくさんいたことは重要なことです。
この問題のことなんかを考えると,異常なことをズバッと異常だ!と鋭く言い続ける。こういうことは社会にとって極めて大切なことだとおもいます。
あゆです。物事てどちらにもそれなりの物があり白黒つけるのはあまり気持ちのいいものでなさそうなんですが、サラ金関係は違うんですねえ。
オセロゾーンとはうまいですね。
by ayu15 (2007-08-17 22:41)
この件は「知らないヤツが悪い」では済まされないですよね。
私が愛読してるNPO Posseのブログ(http://blog.goo.ne.jp/posse_blog)では、アルバイトでも有給休暇が取れること、雇用者はどーせ取らせようとしないからこのように話を進めれば100%取れますということを紹介していました。
これも法の支配が(意図的に)妨害されている一例だと思います。
by (2007-08-19 15:49)