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松岡農水相が亡くなられたニュースについて [時事ニュースから]

 人が自殺するまで苦しむのは余りに可哀想だ。故人の親御さんなどからすれば、さぞや自慢の息子であったろうに。 

 不明朗な会計処理はたしかに悪いだろう。 辞めもせず、また事を明らかにしない態度も潔くなかったけれど,それは,「美しい国づくり内閣」の閣僚という立場がそうさせたこと。    

 本人としたら,きっと,すべてをさらけ出して,すみませんと言って,辞任したかっただろう。はっきり言って、あの程度のスキャンダル・疑惑ならば(確かによくないことだろうが、正直、今の政治家にはザラにあるだろうというレベルであって)、いったん退いて、また閣僚になる機会をうかがうことは十分可能だったと思うし、松岡さんなら十分それくらいは見通しておられたのではないか。

 あるいはもっと大変な疑惑になりそうだったのか。それでも、仮にもう隠居して悠々自適の生活を送ってもよかったのではないか、と思う。  

 でも,実際、簡単に辞めさせてなどもらえるものか。  

 支持率もやっと下げ止まったばかり,参院選を控え,閣僚の交代など絶対に避けたいのが,政権維持を考える側の意向であったと容易に推測される。  

 だが,それにしても、人ひとりがそのなかで自殺に追いやられるほどに、余りに無理が,ひずみが大きすぎたと思い,そのことに対する怒りの気持ち,わいてきてどうしようもない。  

 考え方や主義主張が私と違うかも知れないけれど,松岡さんはここまで登りつめるくらいだから,立派で優秀な方だったのだろう。  

 高い志も持ってこられたことだろう。  

 「重体」と報じられたあと、一縷の望みを持って、回復されることを心よりお祈りしていた。

 だが、亡くなられた。

 安倍首相は、この訃報に接して、「当然首相として、私の内閣の閣僚の取った行動に対して責任を感じている」と仰ったというニュースである。私が今混乱しているせいもあるかもしれないが、この首相の言葉の意味するところが本当に私には分からないのだ。批判しているのではない。意味が理解できないのだ。

 決してその人自身が望まないことをやらされ続け、自殺にまで追いやられることが、あちこちで起こっている。

 果たして、これが痛みに耐えて「美しい国」を作る過程だとでもいうのか。

 仲間の自殺という本来余りに辛い出来事に接して、いい加減「無理は取り返しのつかないことを起こす」という単純な原理に気づかないか。

 松岡さんは、何に殉じられたのだろう?残された私たちは、その心中を推し測ることしかできないが、しかし、あれだけの方の自殺である。そこに、松岡さん自身が真剣に向き合おうとされた「何か」があるに違いないと思い、私はそれを知りたいと思う。それに迫ったうえで、いろんな物事、「私たちは『どう生きるべきか』」を考えたいと思う。

 生前、松岡さんの国会答弁などに私もいい印象を抱いてはいなかったが、されど、死を選ぶほどの苦しみがあったということにも気づかなかった。人ひとりがそんなに無理を強いられていたということへの怒りが、(なんとか還元水の問題に対する怒りなどと比べ物にならないくらい)大きな今の私の怒りである。


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コメント 3

hm

続報の一つです。

鈴木宗男氏、松岡氏に「おわび勧めた」とHPに記す
http://www.asahi.com/politics/update/0529/TKY200705280494.html
by hm (2007-05-29 11:55) 

プチ

本当なぜ「死」を選ばれたか、不思議です。
国会の答弁ではそのような感じ全然なかったのに。
きっと政治家にしかわからない、何かがあったんでしょうね。
by プチ (2007-05-29 18:35) 

tamara

まいさんのブログからこちらの記事を拝見いたしました。
何年か前、日の丸君が代に反対する教職員と、強制する教育委員会の板挟みとなって、学校長が自殺されたというニュースが報じられました。校長会などというものも、市によっては平然とつるしあげのようなものがあると聞きます。(いずれにせよ、その直後から、うむを言せぬ日の丸君が代の強制が強まりました。)個としての確立ではなく組織の中にいかにうまくおさまるか、が出世の道だとしたら、このような事はなくならない、という気がします。
by tamara (2007-05-29 22:40) 

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