「おしゃぶり」で歯並び悪化、女児の親がメーカー提訴 [時事ニュースから]
おしゃぶりを長時間使用したため、長女(6)の歯のかみ合わせが悪くなったとして、横浜市内の女性(40)が31日、使用していたおしゃぶりを販売したベビー用品メーカーに、治療費など約1000万円の支払いを求める訴訟を東京地裁に起こした。 訴状によると、おしゃぶりのパッケージには使用時間についての注意書きがなく、母親は長女に毎日十数時間、おしゃぶりをくわえさせた。ところが、次第に長女の歯並びやかみ合わせが悪くなり、歯科医師から「おしゃぶりが原因」と指摘されたという。 原告側の弁護士によると、最近、国内外でおしゃぶりが歯並びに悪影響を与えるという研究結果が発表されており、メーカー側も今年から、注意書きを始めたという。 [ 05月31日 23時33分 ] |
(引用終わり)
おそらく,製造物責任法(PL法)に基づく損害賠償請求だと思われます。
① 「歯並び悪化に繋がること」が「長時間使用を禁止する『注意書き』がないこと」とあわせて,おしゃぶりという製造物の「欠陥」にあたるか?(ここでいう長時間使用は「通常の使用形態」といえるか?も)
② それが「欠陥」だとして,業者がおしゃぶりを引き渡した時における「科学・技術」からみて,認識できたか?
こういうところが勝負になると思います。
よく子育てについて勉強されているお母さんほど,逆に,「おしゃぶりの使いすぎで歯並びが悪くなるって,常識じゃん?メーカーのせいにして訴えるなんて,賛成できないわ!」となりがちな気がします。
が,世の中には,ママ友がたくさんいる子育て母さんもそうでない人も,また,子育て雑誌「赤すぐ」などをよく読む人もそうでない人も,おばあちゃんが色々面倒見てくれる人もそうでない人もいる。中には,貧しくて,十分な情報を得るだけの余裕のない人もいる。
製品の安全(「注意書き」を含めた)とは,そういういろんな人の利用を考えたものである必要があるのは間違いありません。
で,上の①②の問題点の結論がどうなるかの見通しは,微妙で,大雑把には「どっちに転んでもおかしくはないかな」と思います。微妙というのは,6年前「おしゃぶりの歯に与える影響」についてどれだけ科学的に解明されていたかの問題だから。
しかし,私のぼんやりした感想としては,こうです。
おしゃぶりで歯並び悪化という話は,そんなに新しい話ではない,結構前から言われていた話だから,メーカーが責任を完全に逃れるのは案外難しいのではないか…(具体的に6年前どんな研究発表があったか,雑誌に載っていたかとか,は私は知らないので確実なことは言えませんが。しかし,最近になって「注意書き」を加えたことなど,おそらくメーカーには厳しい要素になりそう。)
金額が1000万円かどうかは別として,女児の親が(一部含む)勝訴する可能性もありそうな気がします。
これは,メーカー(たとえばコンビ)は,有名メーカーとして莫大な収益を上げている反面の責任として大きな責任を課されているからこそです。製造物責任とはそういうものです。もともと厳しいものです。
が,訴訟で「勝つ」「負ける」以前に,本当に何より大事なことは,
まだ未発達な子どもの生育にかかわることについて,1人1人の親自身がもっともっと敏感に感性を働かせること(感覚的に言って,異物を赤ちゃんの口に長時間入れておくのは怖くないか?というレベルから)
だと思います。(でもだからといって,大企業メーカーの社会的責任が軽減されるべきとも思いません。逆に,勝訴しても,親の子に対する責任は減らない。これらは別次元の問題。)
(補足) 別次元の意味→お母さんも気をつけよう。メーカーも細心の注意を払おう。どっちかだけじゃなく,どっちも必要,という意味。「親とメーカーと『どっちが』悪いの?」という視点ではなく。
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