まるでその人の事件しかやっていないかのような仕事 [弁護士業について]
今日は,弁護士業そのもののことを書きます。
私の理想とする仕事の在り方は,このタイトルの通りです。
依頼者からみて,
「まるで,村上弁護士は,私の依頼した仕事しかしていないかのような仕事ぶりだ。」
という仕事を究極の理想とします。
もちろん,これは理想であって,現実には私の事務所に電話を掛けても「本日は村上は裁判所にでかけており不在で…」ということになるのですぐに「他の案件がある」と分かってしまいます(当然)。
ですが,依頼案件について,
・ 依頼者にレスポンス(返答)がすぐにできる。
・ 弁護士がすべきことについて,即座に対応できる。
・ 重要な点について,深く掘り下げられる。
ということによって,「まるで私が唯一の依頼者であるかのようだ」と感じてもらえたら,それが一番ということです。
それに近い在り方にしたい,と日々思い続けています。
ありがたいことに多数の事件の御依頼,また事件以外の仕事もたくさん頂いているので,私の日々の予定は大変充実したものなのですが,それでも,依頼者のみなさん一人一人にとっては「他にどんな立派な仕事をしていようが,自分の依頼した事件に(出来れば)最優先で取り組んでもらいたい」ということになります。当たり前ですね。
数年前に兵庫県弁護士会副会長を務めていたときに正直言って相当のプレッシャーを感じたのは,いくら公務があろうが,依頼事件に対する取り組みの質やスピードを落としてはいけない(でも,「物理的に」時間が足りない),ということを絶えず感じていたからでした。
私が心掛けているのは,とにかく
できることをすぐにやること(未処理の業務を残さないこと)
です。
弁護士の仕事では,書類(裁判所に提出する書面など)の提出期限などが次々にあって,いわば,「宿題をいくつか持っている」状態になります。
これを,理想としては,「常にゼロにする」というのが私のスタンスです。
実際には,そもそも一つの書面作成に数日かかるというものなどもありますから,なかなか「ゼロ」にはなりません。
ですが,裁判所に対する提出期限などには関わりなく,自分の仕事で完成させられる状態になれば即やってしまう,というのが,質のいい仕事をやるのに必要だと感じています。
というのは,仕事をやるときに,
今やりたいこと
あるいは
今これをするのが一番良いと心から思えること
をやるのが,質のいい仕事をするために最も有効だと思うからです。
そのために,自分の状態を常に「外部からの〆切り」からフリーにしておきたいわけです。
「外部からの〆切り」によって集中力が高まる,質が高まるという人もいると思いますので,そういう人の仕事のやり方を否定はしません。
ですが,「外部からの〆切り」というのは普通そんなに厳しく設定されていませんから,前倒しで終わらせることは殆どの場合誰にとっても簡単なことで,またそのデメリットもありません。
実際,私が「外部からの〆切り」に追われたと感じることは年間通しても1回あるかないかくらいのものです(どれだけ「すぐやる」を心掛けても,仕事がやたらと重なるときもあるにはあるのですね…)。
日常は「〆切り」フリーで仕事をしています。書面を早くに完成させておいて,〆切りまで修正があればできるように置いておく,というやり方です。
そして馬鹿みたいに単純な話ですが,仕事の効率がよく,質の高い仕事をし易いのは,
「課題が発生したとき,その直後にやる」
ということです。
鉄は熱いうちに打て,は好きな諺ですが,本当にそうです。
私も日々経験していますが,何か課題(たとえば裁判用の書面を書く)があったとして,課題が発生したときと,実際に取りかかるときに時間差があれば,「何をするんだっけ?」と思い出す必要がありますし,記録やメモを読み直すところから始めなければなりません。
依頼者から聴取などせず自分だけで完成させられる書面であれば,裁判の期日が終わって,裁判所から事務所に帰ってきた直後に作ってしまう,というのが,一番「簡単」です。
もちろん,相手のある種類のことは自分だけではどうにもできませんので,「自分が出来ること」を残さない,つまり,サッカーなどに喩えれば自分のところにボールを持ったままにしない,ということを心掛けます(それでも,相手次第で時間が掛かることはあり得ます。余りイライラしないほうがいいところです。)。
私の理想とする在り方は,他人から見て「仕事が早い」と見える在り方ともいえるのですが,実際に「執務時間が短い」とは限りません。
むしろ,誰かが「〆切りに追われてやっつけた仕事」(そんなものがあるとすれば!)よりも,私は執務時間を長く掛けていることのほうが多いでしょう。
ただ,仕事をするタイミングが「早い」ということです。
タイミングに余裕があれば,必要なところに必要な時間をかけることができます。
このようにすることによって,できるだけ,
「すぐ動いて欲しい」
というニーズにも対応できる状態を作っておきたいのです(これも理想と現実の間で仕事をしていますが)。
そうしてはじめて,本当に「今」困っている人がおれば,「いつでも私に言って」といえるわけです。
という私にも「まあ,明日出来ることは今日やらなくても…」という人間らしい(!?)感情も当然湧いてくるわけで,そんな中で,自分のプロとしての在り方を引き締める意味も込めて,この記事を書いてみました。
この理想を追求することで,依頼者,相談者の皆様に対して,より質の高い仕事を提供できると信じています。
平昌オリンピックでアスリートたちの研ぎ澄まされた姿を見て日々感動しており,その影響のもと,本日の記事になりました。
この心掛けを貫いて,一人で多くの方に,真に役に立てるよう励んでいきたいと思います。
神戸シーサイド法律事務所 弁護士 村上英樹
私の理想とする仕事の在り方は,このタイトルの通りです。
依頼者からみて,
「まるで,村上弁護士は,私の依頼した仕事しかしていないかのような仕事ぶりだ。」
という仕事を究極の理想とします。
もちろん,これは理想であって,現実には私の事務所に電話を掛けても「本日は村上は裁判所にでかけており不在で…」ということになるのですぐに「他の案件がある」と分かってしまいます(当然)。
ですが,依頼案件について,
・ 依頼者にレスポンス(返答)がすぐにできる。
・ 弁護士がすべきことについて,即座に対応できる。
・ 重要な点について,深く掘り下げられる。
ということによって,「まるで私が唯一の依頼者であるかのようだ」と感じてもらえたら,それが一番ということです。
それに近い在り方にしたい,と日々思い続けています。
ありがたいことに多数の事件の御依頼,また事件以外の仕事もたくさん頂いているので,私の日々の予定は大変充実したものなのですが,それでも,依頼者のみなさん一人一人にとっては「他にどんな立派な仕事をしていようが,自分の依頼した事件に(出来れば)最優先で取り組んでもらいたい」ということになります。当たり前ですね。
数年前に兵庫県弁護士会副会長を務めていたときに正直言って相当のプレッシャーを感じたのは,いくら公務があろうが,依頼事件に対する取り組みの質やスピードを落としてはいけない(でも,「物理的に」時間が足りない),ということを絶えず感じていたからでした。
私が心掛けているのは,とにかく
できることをすぐにやること(未処理の業務を残さないこと)
です。
弁護士の仕事では,書類(裁判所に提出する書面など)の提出期限などが次々にあって,いわば,「宿題をいくつか持っている」状態になります。
これを,理想としては,「常にゼロにする」というのが私のスタンスです。
実際には,そもそも一つの書面作成に数日かかるというものなどもありますから,なかなか「ゼロ」にはなりません。
ですが,裁判所に対する提出期限などには関わりなく,自分の仕事で完成させられる状態になれば即やってしまう,というのが,質のいい仕事をやるのに必要だと感じています。
というのは,仕事をやるときに,
今やりたいこと
あるいは
今これをするのが一番良いと心から思えること
をやるのが,質のいい仕事をするために最も有効だと思うからです。
そのために,自分の状態を常に「外部からの〆切り」からフリーにしておきたいわけです。
「外部からの〆切り」によって集中力が高まる,質が高まるという人もいると思いますので,そういう人の仕事のやり方を否定はしません。
ですが,「外部からの〆切り」というのは普通そんなに厳しく設定されていませんから,前倒しで終わらせることは殆どの場合誰にとっても簡単なことで,またそのデメリットもありません。
実際,私が「外部からの〆切り」に追われたと感じることは年間通しても1回あるかないかくらいのものです(どれだけ「すぐやる」を心掛けても,仕事がやたらと重なるときもあるにはあるのですね…)。
日常は「〆切り」フリーで仕事をしています。書面を早くに完成させておいて,〆切りまで修正があればできるように置いておく,というやり方です。
そして馬鹿みたいに単純な話ですが,仕事の効率がよく,質の高い仕事をし易いのは,
「課題が発生したとき,その直後にやる」
ということです。
鉄は熱いうちに打て,は好きな諺ですが,本当にそうです。
私も日々経験していますが,何か課題(たとえば裁判用の書面を書く)があったとして,課題が発生したときと,実際に取りかかるときに時間差があれば,「何をするんだっけ?」と思い出す必要がありますし,記録やメモを読み直すところから始めなければなりません。
依頼者から聴取などせず自分だけで完成させられる書面であれば,裁判の期日が終わって,裁判所から事務所に帰ってきた直後に作ってしまう,というのが,一番「簡単」です。
もちろん,相手のある種類のことは自分だけではどうにもできませんので,「自分が出来ること」を残さない,つまり,サッカーなどに喩えれば自分のところにボールを持ったままにしない,ということを心掛けます(それでも,相手次第で時間が掛かることはあり得ます。余りイライラしないほうがいいところです。)。
私の理想とする在り方は,他人から見て「仕事が早い」と見える在り方ともいえるのですが,実際に「執務時間が短い」とは限りません。
むしろ,誰かが「〆切りに追われてやっつけた仕事」(そんなものがあるとすれば!)よりも,私は執務時間を長く掛けていることのほうが多いでしょう。
ただ,仕事をするタイミングが「早い」ということです。
タイミングに余裕があれば,必要なところに必要な時間をかけることができます。
このようにすることによって,できるだけ,
「すぐ動いて欲しい」
というニーズにも対応できる状態を作っておきたいのです(これも理想と現実の間で仕事をしていますが)。
そうしてはじめて,本当に「今」困っている人がおれば,「いつでも私に言って」といえるわけです。
という私にも「まあ,明日出来ることは今日やらなくても…」という人間らしい(!?)感情も当然湧いてくるわけで,そんな中で,自分のプロとしての在り方を引き締める意味も込めて,この記事を書いてみました。
この理想を追求することで,依頼者,相談者の皆様に対して,より質の高い仕事を提供できると信じています。
平昌オリンピックでアスリートたちの研ぎ澄まされた姿を見て日々感動しており,その影響のもと,本日の記事になりました。
この心掛けを貫いて,一人で多くの方に,真に役に立てるよう励んでいきたいと思います。
神戸シーサイド法律事務所 弁護士 村上英樹
2018-02-14 18:18
nice!(5)
コメント(2)
出来る人は進め方・処理能力も優れているのかもしれません。
多分標準ではありませんがうちなら
他に依頼人がいて複数案件抱えていても気にしません。
どれだけ話を聞いて受け止めて問題解決に力を尽くしてくれたかです。
by ayu15 (2018-08-30 19:51)
ayuさん お久しぶりです。コメントありがとうございます。
>どれだけ話を聞いて受け止めて問題解決に力を尽くしてくれたかです。
本当にそうですよね。すべての案件で、そう感じていただけるように力を尽くしていきたいです。
by hm (2018-08-31 13:02)