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続 その契約大丈夫ですか? [弁護士業について]

 虫歯になる前にとにかく歯磨き!と一緒で、やはり、契約上のトラブルになる前、契約前や代金支払前にトラブルを予防するのが肝心です。

 前回記事に続いて。

 「その契約大丈夫ですか?」のポイントを列挙します。基本的には、消費者側からみたチェックポイントですが、事業者の契約にも相通じるところはあるはずです。

1 相手
 まず、圧倒的に、相手が誰か、が重要です。
 
 つまり、契約相手が大丈夫ですか? という点。

 契約とは約束ですので、約束したことが守られるだろうという信頼関係が重要なこと、言うまでもありません。

 従って、契約相手が信頼に足る業者かどうか、それが一番大切です。

 特に、高額であったり、自分の健康に関わることとか、長期間にわたる契約をしようというような場合、失敗が許されないのですから、契約相手についてよく考えなければなりません。

 そもそも、

あなたは契約相手のことをどれだけ知っているか? 

 このことが大事です。

 よく分かりもしない相手との契約は、裏切られる可能性を多分に含んでいますので、要注意です。


2 その契約、必要ですか? これ、極めて重要です。

 特に消費者被害の多くはこのポイントです。

 例えば、金融商品など

あなたが「先物取引」をしたり、「社債」を買ったりして、たくさん儲けようとする必要がそもそもありましたか(もともとそんなこと考えていなかったのに、業者の営業マンが、うまいことをいうから、その気になったのではありませんか)

 また、高級布団など

あなたは元々の布団でも満足して暮らしていたのではありませんか


という、「もともと」に立ち返ることさえできれば、被害に遭わずに済むケースが非常に多いです。

 1回きり、低い金額なら「衝動買い」も結構ですが、自分の生活を苦しくするかもしれないような「高額」契約の場合は、「その契約、必要ですか?」の点に立ち戻って下さい。

3 値段 これ、もちろん重要です。
 既に、1,2で述べた通りであって、高額のものであれば、相手の選定も、契約するかしないかも、より慎重にしなければなりません。

 さらに要注意なのは、

一括で払えないような金額の契約

1回当たりは低額だが、長期にわたり全期間トータルすると高額になる契約

です。

 住宅ローンや、スマートフォンの契約なども、この例に入る場合があるでしょう。

 結局、何十年又は何年単位で見たら、トータルで幾らかかるのか、それでもよいのか、を自分で考えなければなりません。

 そして、自分にとって、支払う金額に見合うものを得られるのか?がポイントです。

 「初期費用0円」的な広告に乗せられてはいけません。
 トータル幾らかかるのかの説明を相手に求めましょう。
 又は、自分で、資料を読んで計算しましょう。
 資料の理解が難しく、相手も説明してくれないなら、契約をやめるのが無難ですが、それでも、「やめるかどうか判断が付かない」なら、判断力のある人(高齢の方なら息子さんや娘さん、又は、弁護士など専門家)に相談しましょう。

4 契約内容(物やサービスの内容、期間、違約金など)の細部 これ、もちろん大事なんです。

 ですが、チェックポイントとしては、内容の細部以前に、

1 相手 2 大まかに言ってその契約が必要か 3 金額

を考えるのが先だと思います。

 ここまでの3点で立ち止まった上で、それでも、契約をしようかな、となれば、細部のチェックです。

 出来る限り自分でチェックして、おかしなことになる恐れがないかを点検しましょう。
 
 それでも不安や分からない点があれば、弁護士に相談して下さい。

 具体的には、

契約書に書いてあることの法律的な意味



契約書に書いてあることが文字通りにそうなるのか

といった点は、日本語を知っているだけでは分からないことがあります。

 たとえば、違約金(キャンセル料)の定めなどは、いくら契約書に高額な違約金が書いてあっても、消費者契約の場合は、法律によって「事業者に生ずべき平均的な損害を超える」部分について無効と定められています(消費者契約法9条1項)。

 あるいは、心配性の方の場合、逆に「どの程度まで気にするべきか?」という場合もあるかも知れません。その場合でも、一度、専門家を尋ねることは有効です。


5 最後に

 私が感じる一番大事なことは「賢い人でも契約に失敗することがある」ということです。これははっきり言えます。

 つまり、人間の判断力は一定ではないからです。判断力がちゃんとある人でも、契約したタイミングや状況によって、落とし穴にはまることはあります。

 大事なことは、契約しようとしている自分を、第三者の目で見ることができれば、極力失敗を防げます。
 一番いいのは、上記のチェックポイントを頭に置いて頂いて、大事な判断の場面では、「自分で自分を客観的にみる」(契約書にサインしようとしている自分を、そばに立ってみていると想像しましょう)ことを実践して頂くことでトラブルを防げれば、ということです。
 ただ、さらに大きな契約になれば、必要に応じて、弁護士や、あるいはその契約分野の専門家に、チェックを依頼したり、セカンドオピニオンをもとめることが必要です。どんな賢い人でも、自分を過信することは危険だからです。

 以上、資本主義社会、契約社会は、人に便利をもたらしてくれますが、怖いことが一杯です。
 上記記事を参考にして頂いて、みなさまが悔いのない経済生活を送って頂ければ、と思います。

 
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コメント 3

shira

 1番は私的には盲点で、すごく納得です。確かに相手がどんな人(会社)であるかというのはまず最初に重要なことですよね。
by shira (2012-01-18 22:35) 

ayu15

いい助言ですね。
ただ個人的不安を書くと・・

1は判断難しいです。ほんとは良心的なのにこちらが疑いの目もち判断曇らせたりその逆もありそうです。
先入観偏見???も関与しそうです。


2は特にありませんが必要度低くても契約してよかったと思う場合も。
3は特にありません。

4は難しそうです。

本一冊分の約款とかもあります。営業の方ですら把握しきれないことがあります。(うちの経験上)
お客様センターにといあわせてもひとにより答え違ったり・・。
契約書提示する側も十分理解してない場合があります。(経験上)

借りに理解していても説明理解にすごく時間と労力がかかることもありそうです。
(そうでない場合もありますが)


長文すみません。しかも逸脱してて・・。

つまり現行制度では限界が見えてくるんです。
1契約書作成時に消費者不在なこと。(できた契約書にイエスかノーかに)
2営業担当ですら理解しきれない膨大で複雑な約款
3契約内容に意義があると契約できず社会生活に支障きたす場合
4登記上の所在地にいない法人(連絡とれなくなる法人)
契約終了までに先方に伝えず移転する法人

by ayu15 (2012-01-19 13:57) 

hm

>shiraさん
 ありがとうございます。
 1の点、ネット社会では、より重要になってきていますね。
 誰によらず、よく知らない相手との契約はネット上でも「最悪、詐欺でも構わないや」と割り切れる場合のみ行うのがよい、というところだと思います。

>ayuさん

 ありがとうございます。
 あゆさんの視点、大変参考になります。いつかフォローできる記事を書きたいです。
by hm (2012-01-19 15:19) 

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