目の前にいる人の能力を [弁護士業について]
松本復興相の辞任の話題から、とても、重要だと思われることを内田樹先生(神戸女学院大学)が書いておられます。
http://blog.tatsuru.com/2011/07/05_1924.php 内田樹先生のブログ
復興相の発言の良い悪い、辞任の必要不必要そのものが中心論点ではありません。
私の読んだところ、内田先生が指摘するのは、松本大臣が被災地の首長に対して、「どちらがボスか」をわからせるような行動に出た点でした。
そのような行動に出た場合、相手は、萎縮し、その人本来が持っている知性の働きが鈍るものだ、とのことです。
なるほど、と思います。
自分も経験があります(萎縮した経験も、萎縮させた経験も)。
今、被災地の首長の心身の状態は出来るだけ好調であっていただくことが何より必要なのに。その通りですね。
これを翻って、私たち「専門家」も日々気をつけなければなりません。
「専門家」ではない素人と話するとき、
「素人は黙ってらっしゃい」
という態度を取っていないかどうか?
こういう態度は、相手の知的働きを鈍らせます。
弁護士業では、トラブルに巻き込まれてパニックになってる人などを相手にします。
つまり、知的な働きが本来よりも鈍っている状態の人を相手にすることも多いのです。
そうしたときに、例えば、
「とりあえず、思っていることを言ってみてください。」
「(聞いて)なるほど、では、それを順に整理すると、① ② ③ こういう問題になりますね。」
「そうしたところ、今とるべき方法はAとBがありますね。」
「どっちが正解か難しいですが、あなたがこっちの点を大事にしたいならAで、こっちの点を大事にしたいならBでしょう。」
「どっちが大事か、一度ゆっくり時間をとって考えてみられたらどうですか。」
というような感じで、問題点を整理して、自分で「自分は何を求めていて、どういう解決を望むか」ということを考えやすくして、そこで、その人本来の知的働きを取り戻して差し上げる、それがよい仕事だと思います。
「とにかく私は専門家なのだから、あなたは何も考えず、私に従いなさい。」は良くない。
ただ、たまに「考えすぎて苦しんでいる人」がいて、そういう人には、「ある程度、『考えること』を専門家に委ねて楽になったら?」というアドバイスをすることはあります。
弁護士 対 依頼者
上司 対 部下
先生 対 生徒
夫婦間、友達間、先輩後輩…
あらゆることにあてはまりますね。
「私はあなたより優位」であることを確定したいために、相手の能力を下げるような行動はいけない。
自分も相手も、それでは成長しない。
自分も、相手も、より良い状態になって、高めあえるようなコミュニケーションが大切。
大事なことを確認させてもらいました。
2011-07-06 10:34
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コメント(8)
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集団ストーカーの被害は知り合いから始まっている様です。
こういう場合、現在は離れたとしても最初に加担していれば共犯という形になるのでしょうか?
現在も生活が困難な程被害は拡大しています。
何年振りかの知り合いに連絡して確かめましたがとぼけられました。
by NO NAME (2011-07-06 12:36)
「目処がついたら辞任する」と言って、内閣不信任案を否決してもらった菅さんなんかに任命されてもやる気になれなかったのかな…
なんてことを思ってしまいましたが。。。
by 心如 (2011-07-06 19:55)
内田樹のその記事は私も読みました。
私は少し前から「話し合うことの意義と目的」ということを考えていています。いくつかテーマはあるのですが、その中に、
・話し合いは勝ち負けを競うものではない
・話し合いには勝ち負よりも高次元の目的がある
というのがあります。内田氏の記事で私が「そうか!」と思ったのは、威圧や暴言を受けて知性がアップする人間などいない、そういうことをされると相手の知的パフォーマンスは低下するということ。これを議論の場に持ち込むと、威圧的な態度や論点ずらしや相手の発言を遮ったりという行為は、相手の集中力や思考力を妨害し、議論のレベルは下がるが勝ちやすくはなると。
本来話し合いというのは「三人寄れば文殊の知恵」的な効果が期待できるもののはずなんですが、勝ち負けが目的になると、足を引っ張り合って、頭に血が上って頭が回転してない低能集団のバトルに成り下がるわけです。当然、結論はレベルの低いものに落ち着かざるを得ないわけで。
by shira (2011-07-06 22:01)
こんにちは。
私もある程度専門的な分野にいるものですから、大変参考になりました。トラブルが発生すると、現場の職員がパニックを起こすことはままありますので、その際はトラブルの(現時点で分かる範囲の)原因を、ゆっくりと簡潔に伝えてパニックを除去するよう努めています。
「とにかく私は専門家なのだから、あなたは何も考えず、私に従いなさい。」はよくないですね。思ったのですが、これは原発事故関連の専門家の態度そのものですね。
by Mosel (2011-07-07 06:55)
いい内容ですね。これを実行するのは簡単じゃないかもしれないけど時々振り返り見つめたいです。
うちのいう意味の「相手の話を聞く」もhm
さんの今回のと共通するとこがありそうです。
ただ情報発信・コミュニケーション問題も考えると報道の範囲では??という感じです。
誰とどういう関係で、
どういうふうにしたくて
どういう距離で
どういう空気で
どういうやりとりで
これらも気になります。
後言葉の選択です。誤字脱字のおおいうちには思うこと伝えきれないと感じることがあります。
笑えないジョークhttp://life-ayu.blog.so-net.ne.jp/2010-12-14
騒ぎすぎかもhttp://life-ayu.blog.so-net.ne.jp/2011-02-08
これをうまく立ち回れる某知事・某大統領などとそこまで気が回らない?人たち???
歩いていてぶつかるのと自動車でぶつかるのとではとんでもない違いです。情報が一人歩きしているんでしょうか?
人がついていけない http://life-ayu.blog.so-net.ne.jp/2011-02-10のかも?
原発同様人が作る情報は制御できないのかも??
by ayu15 (2011-07-07 09:55)
>心如さん
ナイス・コメントありがとうございます。
就任した際の姿勢に関して、もしかして、そういう面があったのかも知れませんね。
>shiraさん
ナイス・コメントありがとうございます。
話し合いの意義、まさにその通りだと思います。
ネット上の議論や、メール(メーリングリストなどの場合が多い)議論の場合に、余計に、議論の「勝ち負け」に拘る弊害が出やすい傾向にありますね。
>moselさん
ナイス・コメント有り難うございます。
「とにかく私は専門家なのだから、あなたは何も考えず、私に従いなさい。」
これは、専門家なら、思わず言いたくなる場面多いのですよね。現実には。
でも、それを言わず、事の本質をかみ砕いて、相手が素人の人でも頭で考えて分かってもらえるようにする、という努力を心がけないといけないなあ、という自分への戒めを含めた記事でした。
原発問題も。鋭いご指摘だと思います。このような緊急事態だからこそ、専門家には基本に忠実で丁寧な態度が必要ですよね。
>ayuさん
おっしゃるとおり。
良いことなのですが、
言うは易く 行うは難し
という面のあることです。
でも、きっと、相手を落とさず、互いに高めるコミュニケーションを心がけた方が自分にとっても利益になるはず、と思えば、努力できそうに思えます。
by hm (2011-07-07 14:13)
再コメントすみません。
関連すると思えるのでhttp://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110707/221349/
自分が上だ!自分の言うことを相手が利くべきだ!聞かないやつは許さん!
でなく・・・。
by ayu15 (2011-07-20 21:37)
ayuさん
ありがとうございます。
日経ビジネスオンライン、時々すごく良い記事載せることがありますよね。
紹介して頂いた記事も大変勉強になりました。
by hm (2011-07-21 09:54)