投資被害あれこれ [消費者事件]
悪質投資被害が後を絶ちません。
国内公設の商品先物取引被害は、規制強化によって、ずいぶん減りました。
しかし、「ロコ・ロンドン金取引」とか、「海外先物取引」、「CFD取引」など、色んな名前の投資話から悪質投資被害に繋がる勧誘がたくさんあります。
また、銀行・証券会社が販売する商品の中にも、商品の性格や、外務員の販売方法について私からみて疑問のあるものもあります。
日々相談をお受けし、訴訟等もしていますが、業者が倒産したり、悪質勧誘員が姿を消したりするケースも増えており、一旦お金を取られたあとになっては、状況によっては(仮に、後日勝訴判決=「お金を返しなさい」という判決を取っても)現実にお金を取り戻すことが出来ないこともあります。
単純に言って、「美味しい話はない」「儲け話には乗らない」ことが肝要です。
お金を渡さない、ことが何より大切です。
今現在、投資トラブルとしてどんなものがあるか、以下に、昨年末、私が消費生活センターの相談員さん向けにお話ししたレジュメの内容(一部改変)を載せておきますので、興味のある方は、参考にして頂ければと思います。
「金融商品被害について」
弁護士 村上英樹
1 商品取引所法改正(平成21年)の概要
① 名称変更
商品取引所法 → 商品先物取引法
② 改正内容
別紙のとおり
※ 注意1 「不招請勧誘の禁止」は国内公設含め全体に及ぶことになった。
※ ロコ・ロンドン取引やCFD(まがい)取引にも適用あり
新法で参入規制(許可制)導入
→悪質業者の駆逐につき期待できる。但し、「駆け込み被害」の恐れも。
2 金融商品被害の実際的対処方法
① 通常の悪質商法被害と異なる点
書面不備等のクーリングオフ主張によって解決することは稀。
金融商品取引の多くは適用除外(特商法26条1項8号イ、金融商品取引法37条の6第1項、同法施行令16条の3。投資顧問契約のみ10日間のクーリングオフ)。
また、既に業者に渡った被害金を回復するのでなければ解決できないため、契約解除・取消等の主張だけで解決できない(実際的問題)。
② 相談窓口で可能な被害食い止め
取引中止、手仕舞い、仕切等により取引を終わらせることにより、さらなる損害を食い止めることは出来る(もちろん本人の意向次第であるが)。
最重要事項=本人が、さらなる入金(証拠金や担保の追加等)をしようとしている場合は何としても止めたい。
※ 但し、判断に迷うケースは、弁護士相談を勧めることが無難と思われる。
③ 特別法の知識について
窓口で直接的に使えるケースは稀(クーリングオフ等の解決が難しい。上述。)であるし、また、知識がなければ対処できないというわけではない。
知っているに越したことはないにせよ、事案を見たときの、素朴な感覚を大切にして処理をしてよい。
また、実際の訴訟では、直接的には業法ではなく、民法709条の不法行為に基づく損害賠償問題として処理されている。
ゆえに、仮に、業法が存在しない(あてはまらない)取引類型であっても、「法律がないから違法ではない」ということになることはない。
銀行・証券会社等の複雑な金融商品について
→ 適合性原則
説明義務
の問題が主
… 相談者が「よくわかっていない」、または、相談者にとって「無理」「不向き」な取引であれば、法的責任追及の可能性がある問題として考えて良い。
悪質業者の金融商品
→ 詐欺の疑いが極めて大
(訴訟等に進んだ場合の戦略上の主張が、「適合性原則」
や「説明義務」等であり、その根拠が「商品先物取引法」「金融商品販売法」「金融商品取引法」等であったりするが、事案の本質は詐欺。)
… 相談者が「騙されている」のではないか?という疑いを抱けば、法的責任追及の可能性が大きい問題として考えて良い。
相談窓口で、「商品先物取引法○条に違反するか」等のことを判断する必要はない。(「○○法×条違反の疑いがある」程度のことが分かれば最高であるが、そうでなくとも処理は可能。)
3 金融商品あれこれ
① 株式 (証券会社等)
現物株式そのものは問題になることは比較的少ないかもしれない。
しかし、断定的判断提供や過当取引(顧客が外務員の言いなり。多数回多量の取引で手数料稼ぎ。)の問題により訴訟となったケース、判例あり。
信用取引の場合、適合性原則、説明義務の問題が重要になる。
適合性原則 = 顧客の知識、経験、財産の状況、金融商品取引契約を締結する目的に照らして、不適当な勧誘を行ってはならない原則
(金融商品取引法40条等)
② 未公開株式 (悪質業者が大半)
極めて問題が多い。
詐欺である可能性が極めて高い。
判例多数。勝訴率も極めて高い。但し、賠償額回収=被害回復の困難性。
③ 投資信託 (銀行、証券会社等)
説明義務(リスクの程度等について)や適合性原則が問題。
cf 60代の寡婦に外国投資信託を勧誘した事件で適合性原則違反を認定した例(大阪高判平成13.1.31)。
④ 社債(転換社債、新株予約権付社債等含む)
(証券会社 or 悪質業者。考え方区別。)
社債は、会社に対する貸付であるから、発行会社の信用リスクが問題。
cf 東京地判h15.4.9 マイカル債事件
信用リスク説明義務(金融商品販売法3条1項2号)違反認定し損害賠償請求を認める。
※ このように、具体的には、発行会社が破綻した場合に、相談に持ち込まれるケースが多い。
しかし、最近、そもそも詐欺であると思われるタイプの被害相談も寄せられている(国民生活センターHP参照)。
⑤ 日経平均オプション (証券会社等)
判例多数有り
適合性原則違反、過大なリスクについての助言義務などが問題となる。
cf 京都地判H11.9.13
オプション取引が多くの個人投資家には適合せず…という判示。高齢主婦の例。
⑥ 通貨オプション (証券会社)
相談が増加していると思われる。
(週刊ダイヤモンド 抜粋「為替仕組商品の罠」)
オプションはデリバティブの一種であるが、それを組み合わせることにより、為替が予想と反対方向に動いた場合、無限定な損害が出る危険な商品であった。
※ 特に、オプションの売主の立場に顧客が立つことにより、莫大な損害が出る危険性を当初から有している商品である。
適合性原則が問題
→ 本来は、一定のレートでの外貨調達をする必要がある事業者や、外貨建てで債務を有している事業者等のリスクヘッジのためにある商品。
当該外国通貨と全く無関係の事業者や個人に対して、勧誘すべき商品ではない。
説明義務の問題
→ 大きなリスク、複雑な仕組み、担保金の制度(為替相場状況が悪くなると多大な追加担保金を要求される)等について
現在、訴訟係属中のものあり。
⑦ 仕組債、仕組預金 (証券会社、銀行)
仕組債 … 1998年金融システム改革法による規制緩和~
EB(他社株式償還条件付社債)、日経平均リンク債等
【問題点】
オプションの「売り」を組み込んだ複雑なもの
業者側と顧客の利害が対立する構造
(株価操作の誘惑が常に業者側にある)
価格(金利設定)が消費者に不利でも消費者に判断する術はない
仕組預金 … 通貨のプットオプションの売りを組み合わせた預金
途中解約できず期間延長権限を銀行に与えた仕組み預金も
適合性原則や説明義務が問題となる。損害賠償を命じた判例あり。
cf EB説明義務違反事件 大阪地判H15.11.4
判例時報1844号97頁
⑧ 変額生命保険、変額年金保険 (保険会社)
変額生命保険は、1989年から91年ころにかけ、「1円もかからない相続対策商品」等として高齢者らに大量勧誘販売されたもの。判決は、92年からの10年間で400件を超える。錯誤無効、適合性原則違反、説明義務違反、断定的判断の提供等が争点となる。
cf 東京高判H8.1.30判例タイムズ921号247頁
近年は、変額年金保険の相談のほうが増加傾向か。
→ ほとんど投資商品といえるもの。
適合性原則違反、説明義務違反、断定的判断提供、不実告知等が問題になる。
⑨ 商品先物取引(国内公設市場) (先物会社)
長年深刻な被害が発生してきた。
判例多数。
証拠金取引であり、元手となる金の数十倍の規模の取引を行うため、リスクは極めて大きい。
しかも、適格のない顧客(高齢者、主婦らに代表される)に殆ど無差別に勧誘し、わけのわからぬままに、外務員の言いなりに、複雑な取引を頻繁かつ大量にさせられる。
業者の手数料稼ぎが長らくはびこってきた。
適合性原則違反、説明義務違反、手数料稼ぎの違法、仕切拒否(やめさせてもらえない)などの色々な面において違法行為が存在する。
※ ただし、H16商品取引所法改正後の規制強化により、被害は縮小し、それにともない業者は収益が激減し、破綻したものが多数。
被害案件の処理においても、損害賠償請求につき判決を得ても、回収できない恐れを考える必要あり。
⑩ 海外商品先物取引 (悪質業者)
単に「のみ行為」であるものが多数。
詐欺的被害が殆どである。
それをさておくとしても、国内公設の商品先物取引以上に分かりにくく、一般顧客に不向きな取引である。ゆえに、適合性原則違反等の疑いはさらに濃くなる。
⑪ 海外商品先物オプション (悪質業者)
上同様である。
海外商品先物取引の複雑さ+オプションの仕組みの複雑さ
→ 適合性原則違反、説明義務違反等の疑いがさらにさらに濃く。
⑫ CFD取引 (証券会社)
CFDまがい取引 (悪質業者)
流行した「ロコ・ロンドン取引」もこの一種。
CFDとは、差金決済契約(Contract for differece)の略。証拠金を業者に預託し、減資さんとなる国内外の株価や金価格など、金融商品の価格や指数を参照して差金決済による通貨の売買を行う取引。
相対取引(それ自体では、顧客と業者との間で利益相反)
→ 但し、証券会社は海外CFD業者を通じてカバー取引をしており、市場に取り次ぎしているのとほぼ同様に意味合いとなる。
例 ひまわり証券 → SAXO Bank(デンマーク)
→ 悪質業者(CFDまがい取引)はカバー取引をしていない。
単に、数ヶ月後に被害者に対し、相場で損失が出たかのような報告書を見せて、預託した証拠金を被害者には一切返還せずその全てを取り組もうとする。
証拠金取引である
従って、元手に比して遙かに大きいリスクがある。
(このことは、「まがい」でなくとも、変わらない。)
適合性原則違反、説明義務違反、断定的判断の提供、「まがい」であればそもそも詐欺である等の理由により、損害賠償請求を行うことが考えられる。
※ 上記1記載のとおりh21.7.3成立の商品先物取引法により規制される。
主務大臣の許可が必要となる。h22秋ころから許可申請を受ける予定といわれている。駆け込み被害のおそれ(かつて、外国為替証拠金取引がそうであったように)。
⑬ 新しい金融商品の外見を装った投資話 (悪質業者)
ファンド、不動産投資○○、匿名組合への出資など
単なる詐欺であることが圧倒的に多い。
以 上
国内公設の商品先物取引被害は、規制強化によって、ずいぶん減りました。
しかし、「ロコ・ロンドン金取引」とか、「海外先物取引」、「CFD取引」など、色んな名前の投資話から悪質投資被害に繋がる勧誘がたくさんあります。
また、銀行・証券会社が販売する商品の中にも、商品の性格や、外務員の販売方法について私からみて疑問のあるものもあります。
日々相談をお受けし、訴訟等もしていますが、業者が倒産したり、悪質勧誘員が姿を消したりするケースも増えており、一旦お金を取られたあとになっては、状況によっては(仮に、後日勝訴判決=「お金を返しなさい」という判決を取っても)現実にお金を取り戻すことが出来ないこともあります。
単純に言って、「美味しい話はない」「儲け話には乗らない」ことが肝要です。
お金を渡さない、ことが何より大切です。
今現在、投資トラブルとしてどんなものがあるか、以下に、昨年末、私が消費生活センターの相談員さん向けにお話ししたレジュメの内容(一部改変)を載せておきますので、興味のある方は、参考にして頂ければと思います。
「金融商品被害について」
弁護士 村上英樹
1 商品取引所法改正(平成21年)の概要
① 名称変更
商品取引所法 → 商品先物取引法
② 改正内容
別紙のとおり
※ 注意1 「不招請勧誘の禁止」は国内公設含め全体に及ぶことになった。
※ ロコ・ロンドン取引やCFD(まがい)取引にも適用あり
新法で参入規制(許可制)導入
→悪質業者の駆逐につき期待できる。但し、「駆け込み被害」の恐れも。
2 金融商品被害の実際的対処方法
① 通常の悪質商法被害と異なる点
書面不備等のクーリングオフ主張によって解決することは稀。
金融商品取引の多くは適用除外(特商法26条1項8号イ、金融商品取引法37条の6第1項、同法施行令16条の3。投資顧問契約のみ10日間のクーリングオフ)。
また、既に業者に渡った被害金を回復するのでなければ解決できないため、契約解除・取消等の主張だけで解決できない(実際的問題)。
② 相談窓口で可能な被害食い止め
取引中止、手仕舞い、仕切等により取引を終わらせることにより、さらなる損害を食い止めることは出来る(もちろん本人の意向次第であるが)。
最重要事項=本人が、さらなる入金(証拠金や担保の追加等)をしようとしている場合は何としても止めたい。
※ 但し、判断に迷うケースは、弁護士相談を勧めることが無難と思われる。
③ 特別法の知識について
窓口で直接的に使えるケースは稀(クーリングオフ等の解決が難しい。上述。)であるし、また、知識がなければ対処できないというわけではない。
知っているに越したことはないにせよ、事案を見たときの、素朴な感覚を大切にして処理をしてよい。
また、実際の訴訟では、直接的には業法ではなく、民法709条の不法行為に基づく損害賠償問題として処理されている。
ゆえに、仮に、業法が存在しない(あてはまらない)取引類型であっても、「法律がないから違法ではない」ということになることはない。
銀行・証券会社等の複雑な金融商品について
→ 適合性原則
説明義務
の問題が主
… 相談者が「よくわかっていない」、または、相談者にとって「無理」「不向き」な取引であれば、法的責任追及の可能性がある問題として考えて良い。
悪質業者の金融商品
→ 詐欺の疑いが極めて大
(訴訟等に進んだ場合の戦略上の主張が、「適合性原則」
や「説明義務」等であり、その根拠が「商品先物取引法」「金融商品販売法」「金融商品取引法」等であったりするが、事案の本質は詐欺。)
… 相談者が「騙されている」のではないか?という疑いを抱けば、法的責任追及の可能性が大きい問題として考えて良い。
相談窓口で、「商品先物取引法○条に違反するか」等のことを判断する必要はない。(「○○法×条違反の疑いがある」程度のことが分かれば最高であるが、そうでなくとも処理は可能。)
3 金融商品あれこれ
① 株式 (証券会社等)
現物株式そのものは問題になることは比較的少ないかもしれない。
しかし、断定的判断提供や過当取引(顧客が外務員の言いなり。多数回多量の取引で手数料稼ぎ。)の問題により訴訟となったケース、判例あり。
信用取引の場合、適合性原則、説明義務の問題が重要になる。
適合性原則 = 顧客の知識、経験、財産の状況、金融商品取引契約を締結する目的に照らして、不適当な勧誘を行ってはならない原則
(金融商品取引法40条等)
② 未公開株式 (悪質業者が大半)
極めて問題が多い。
詐欺である可能性が極めて高い。
判例多数。勝訴率も極めて高い。但し、賠償額回収=被害回復の困難性。
③ 投資信託 (銀行、証券会社等)
説明義務(リスクの程度等について)や適合性原則が問題。
cf 60代の寡婦に外国投資信託を勧誘した事件で適合性原則違反を認定した例(大阪高判平成13.1.31)。
④ 社債(転換社債、新株予約権付社債等含む)
(証券会社 or 悪質業者。考え方区別。)
社債は、会社に対する貸付であるから、発行会社の信用リスクが問題。
cf 東京地判h15.4.9 マイカル債事件
信用リスク説明義務(金融商品販売法3条1項2号)違反認定し損害賠償請求を認める。
※ このように、具体的には、発行会社が破綻した場合に、相談に持ち込まれるケースが多い。
しかし、最近、そもそも詐欺であると思われるタイプの被害相談も寄せられている(国民生活センターHP参照)。
⑤ 日経平均オプション (証券会社等)
判例多数有り
適合性原則違反、過大なリスクについての助言義務などが問題となる。
cf 京都地判H11.9.13
オプション取引が多くの個人投資家には適合せず…という判示。高齢主婦の例。
⑥ 通貨オプション (証券会社)
相談が増加していると思われる。
(週刊ダイヤモンド 抜粋「為替仕組商品の罠」)
オプションはデリバティブの一種であるが、それを組み合わせることにより、為替が予想と反対方向に動いた場合、無限定な損害が出る危険な商品であった。
※ 特に、オプションの売主の立場に顧客が立つことにより、莫大な損害が出る危険性を当初から有している商品である。
適合性原則が問題
→ 本来は、一定のレートでの外貨調達をする必要がある事業者や、外貨建てで債務を有している事業者等のリスクヘッジのためにある商品。
当該外国通貨と全く無関係の事業者や個人に対して、勧誘すべき商品ではない。
説明義務の問題
→ 大きなリスク、複雑な仕組み、担保金の制度(為替相場状況が悪くなると多大な追加担保金を要求される)等について
現在、訴訟係属中のものあり。
⑦ 仕組債、仕組預金 (証券会社、銀行)
仕組債 … 1998年金融システム改革法による規制緩和~
EB(他社株式償還条件付社債)、日経平均リンク債等
【問題点】
オプションの「売り」を組み込んだ複雑なもの
業者側と顧客の利害が対立する構造
(株価操作の誘惑が常に業者側にある)
価格(金利設定)が消費者に不利でも消費者に判断する術はない
仕組預金 … 通貨のプットオプションの売りを組み合わせた預金
途中解約できず期間延長権限を銀行に与えた仕組み預金も
適合性原則や説明義務が問題となる。損害賠償を命じた判例あり。
cf EB説明義務違反事件 大阪地判H15.11.4
判例時報1844号97頁
⑧ 変額生命保険、変額年金保険 (保険会社)
変額生命保険は、1989年から91年ころにかけ、「1円もかからない相続対策商品」等として高齢者らに大量勧誘販売されたもの。判決は、92年からの10年間で400件を超える。錯誤無効、適合性原則違反、説明義務違反、断定的判断の提供等が争点となる。
cf 東京高判H8.1.30判例タイムズ921号247頁
近年は、変額年金保険の相談のほうが増加傾向か。
→ ほとんど投資商品といえるもの。
適合性原則違反、説明義務違反、断定的判断提供、不実告知等が問題になる。
⑨ 商品先物取引(国内公設市場) (先物会社)
長年深刻な被害が発生してきた。
判例多数。
証拠金取引であり、元手となる金の数十倍の規模の取引を行うため、リスクは極めて大きい。
しかも、適格のない顧客(高齢者、主婦らに代表される)に殆ど無差別に勧誘し、わけのわからぬままに、外務員の言いなりに、複雑な取引を頻繁かつ大量にさせられる。
業者の手数料稼ぎが長らくはびこってきた。
適合性原則違反、説明義務違反、手数料稼ぎの違法、仕切拒否(やめさせてもらえない)などの色々な面において違法行為が存在する。
※ ただし、H16商品取引所法改正後の規制強化により、被害は縮小し、それにともない業者は収益が激減し、破綻したものが多数。
被害案件の処理においても、損害賠償請求につき判決を得ても、回収できない恐れを考える必要あり。
⑩ 海外商品先物取引 (悪質業者)
単に「のみ行為」であるものが多数。
詐欺的被害が殆どである。
それをさておくとしても、国内公設の商品先物取引以上に分かりにくく、一般顧客に不向きな取引である。ゆえに、適合性原則違反等の疑いはさらに濃くなる。
⑪ 海外商品先物オプション (悪質業者)
上同様である。
海外商品先物取引の複雑さ+オプションの仕組みの複雑さ
→ 適合性原則違反、説明義務違反等の疑いがさらにさらに濃く。
⑫ CFD取引 (証券会社)
CFDまがい取引 (悪質業者)
流行した「ロコ・ロンドン取引」もこの一種。
CFDとは、差金決済契約(Contract for differece)の略。証拠金を業者に預託し、減資さんとなる国内外の株価や金価格など、金融商品の価格や指数を参照して差金決済による通貨の売買を行う取引。
相対取引(それ自体では、顧客と業者との間で利益相反)
→ 但し、証券会社は海外CFD業者を通じてカバー取引をしており、市場に取り次ぎしているのとほぼ同様に意味合いとなる。
例 ひまわり証券 → SAXO Bank(デンマーク)
→ 悪質業者(CFDまがい取引)はカバー取引をしていない。
単に、数ヶ月後に被害者に対し、相場で損失が出たかのような報告書を見せて、預託した証拠金を被害者には一切返還せずその全てを取り組もうとする。
証拠金取引である
従って、元手に比して遙かに大きいリスクがある。
(このことは、「まがい」でなくとも、変わらない。)
適合性原則違反、説明義務違反、断定的判断の提供、「まがい」であればそもそも詐欺である等の理由により、損害賠償請求を行うことが考えられる。
※ 上記1記載のとおりh21.7.3成立の商品先物取引法により規制される。
主務大臣の許可が必要となる。h22秋ころから許可申請を受ける予定といわれている。駆け込み被害のおそれ(かつて、外国為替証拠金取引がそうであったように)。
⑬ 新しい金融商品の外見を装った投資話 (悪質業者)
ファンド、不動産投資○○、匿名組合への出資など
単なる詐欺であることが圧倒的に多い。
以 上
2010-02-02 16:17
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コメント(4)
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専門知識のいる分野なので素人のうちにはむずかしいんですが、丁寧にまとめてかかれてそうですね。
素人疑問
こういうはめになれば弁護士に頼る事になりますが、そもそも取引が適正か素人には判断しにくいです。消費者センターでも、具体的事実がないと相談はむずかしいです。一部モデルケースは注意よびかけのチラシなどがあるようですが・・。
誰か死なないと対策とれない社会ですから(苦笑)
トラブル防ぐ相談はむずかしそうですね。
by ayu15 (2010-02-02 20:02)
『一知半解、無知にも劣る』という言葉がありますが、中途半端な知識を持っていると反って被害に遭いそうだと感じました。まあ、貧乏人には縁のない話ですが…
by 小父蔵 (2010-02-03 09:03)
>ayuさん
そうですね。
まあ、単純に言って、内容が良く分からない金融商品に手を出さないことが一番だ、ということです。
また、自分がやっている金融商品が良く分からない場合、又は、なんか納得いかない場合というのは、何らかの法的問題が隠れている場合がありますから、消費生活センターや弁護士に相談してみることがオススメである、ということだと思います。
トラブルを防ぐ相談は難しいですね。基本的に被害が発生した後にしか、相談しようとは誰も思わないでしょうから。
小父蔵さん
ナイスありがとうございます。
基本的に、普通は、リスク商品に手を出す必要は全くないので、よっぽど好きで例え損しても悔いがないと心から思う人以外は、投資・投機などしないのが一番だと思います。
by hm (2010-02-03 10:25)
国内の超低金利にしびれを切らし、個人投資家の海外投資が増えています。ヘッジファンドなどは、実際に年利回り10%を超えるようなファンドがあるので魅力的です。ただし、海外のオフショアファンドに投資する業界でも、それを仲介する違法業者による営業問題が深刻なようです。以下のような違法業者が跋扈しているためです。
―無免許で営業
―インターネットや書籍で海外金融商品の固有名詞を出し、公衆に宣伝・勧誘する
―事前の投資助言契約を締結しないまま、営業マンが商品説明を行い商品勧誘する
―紹介者・仲介者を連鎖式に組織する
―香港IFA経由でしか海外金融商品は買えないと虚偽説明をする
―無償で業者を紹介します、香港ツアーに案内しますと集客する
(参考:「みんなの海外投資」http://www.minkaigai.com/archives/category/anshin)
ただし、これらの業者は業界地図では〝トカゲのしっぽ〟。どうやらその親玉は香港のIFAで、その傘下でねずみ講のように組織化されているようです。金融庁も目を光らせていますので、いつ逮捕されるかわかりません(5年以下の懲役、法人の場合は罰金1億円)。また、それが保険商品である場合は、投資家自身も罪を問われる可能性があります。
これらの業者が逮捕された場合、投資家が受ける被害は甚大です。合法的な商品を合法的に助言している国内業者もちゃんとありますので、違法業者には関わり合わないように注意しましょう。
by BURTON (2011-08-24 18:31)