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「語り合おう憲法~9条と自衛隊・イラク戦争」弁護士会イベントお知らせ [法律案内]

 今週土曜日 10月20日 午後1時~ 兵庫県弁護士会館で,こんなイベントをやります。

 私は,兵庫県弁護士会の憲法問題対策委員会の副委員長(副って4人いますが)で,イベント担当なのです。

 このイベントは,

憲法9条について,変えるべきか?変えないべきか?

自衛隊の在り方や活動をどうするべきか?

を市民の皆さんと一緒に考えるというものです。

 私は,護憲派と改憲派を交えたパネルディスカッションのコーディネーターをやります。

 護憲派論客(井上正信弁護士)と改憲派論客(徳永信一弁護士)に,みんなが気になるポイントを聞くぞ!という役回りです。

 また,暴力によらない平和づくりをテーマに活動されている奥本京子准教授(平和学,大阪女学院大学)には,武力を用いずに紛争を転換させていく方法はどんなものがあるか?それにはどういう可能性および苦労があるか?ということを聞いてみたいと思います。

 去年11月にやった教育基本法シンポジウムでは,私はコーディネーターながら自分の考えもたくさんしゃべりまくってしまいましたが,今回は,「聞きたいことがいっぱい!」なので「質問チャン」に徹します。

 

 

 内容の目玉は二つ。

1 イラクで起こっている戦争被害の実態のDVD上映(フリージャーナリスト 西谷文和さん取材)

2 憲法9条改憲派 と 護憲派 の討論 パネルディスカッション

です。

 私自身,戦争のない世界を実現してゆくことは何よりも大切なことだと考えていて,その念願を書いた憲法9条に込められた思想は極めて重く,重要なことだと思っています。

 ただし一方で,現実には,自衛隊という軍隊らしきものが存在することにも,それがいいか悪いかは別として,現実の必要性を多くの国民が感じているものでしょう。

 9条に書いてある文字通りでスッキリ,とはいかないのも現実。

 そういう中で,憲法9条と自衛隊,イラク戦争をはじめ国際的な紛争への関わりをどうしていったらいいのか,ということは,みんなでよく考えなければならないテーマだと思います。

 護憲派ばっかり集まってばかりでも,改憲派ばっかり集まってばかりでも,また,互いに主張を言いっぱなしでも,議論は深まらないだろう。やっぱり,考えの違う人同士が,紳士的に議論をしていく場もなければ…。

 そして,憲法9条,つまり日本と軍隊,戦争への関わり方については,私は,善悪とか理念とかそういうレベルだけで捉えられるものではなくて,私たち自身の生き死に,つまり現実の問題として,何がいいのかということを考えていかなければならないんだ,と思っています。

 なので,今回,私たち兵庫県弁護士会では,

護憲派と改憲派の論客を呼んで,どっちもに聞いてみたいことを聞いてみる!

という企画にしました。

 きっと今までにはない興味深い話が出てくるのじゃないでしょうか。

 

 憲法9条について,私は正直に言って,いろいろな本を読んで勉強していても,いわゆる「典型的なタイプの」護憲派にも,また逆に改憲派にもなりそうにありません。

 憲法9条と現状の矛盾をどう説明するか?このままで良いのか?自衛隊は軍隊ではないのか?などの問題については,スッキリしません。また,今までの政府の解釈のように,9条があるけど自衛権もあるから…とか,自衛隊は軍隊ではない…という理屈は,すごいジレンマの産物で,また微妙なバランスを醸し出している知恵だとは思うけど,詭弁ちゃうか?と言われればかなり苦しく感じます。 

 ですが一方で,私自身の今のところの考えは,少なくとも,アメリカ追従の軍事行動が拡大するような文脈のなかでの憲法9条改正は,世界の平和・秩序安定や日本の安全にとって良いことかは極めて疑わしい,という風に思っています。

 強大な軍事力を持ったアメリカが,その力と見合うだけの理性をもった舵取りがなされている国かどうかについて,やっぱり不信の思いが強いからです。イラク戦争はその典型のように思えます。

 

 私は,今のところは大体,憲法9条について上のように考えており,「スッキリ護憲」ではありませんが,アメリカ追従が続く現状の中での9条改正には賛成できない気持ちでいます。(でも,アメリカへの不信より,北朝鮮への警戒,中国とのパワーバランスの心配が強い人もいるし,そういう人ならば,9条改憲への気持ちが強くなることも十分理解はできます。問題は,どっちが上手くいくだろうか?ですね。)

 その他の文脈での9条改正があるとすればどうか?については,9条をどう変えるか,また変えた場合にどんな効果が見込まれ,どういう未来が待っているか,ということを慎重に見極めなければ賛否が言えません。やっぱりここでも「改憲慎重派」でしょうか。 

 

 そんな感じの迷える(?)私の想いも込めて,

護憲派パネリストには,私の9条スッキリしない部分を聞いてみたい!

改憲派パネリストには,アメリカにますます軍事的に追従しちゃうんじゃない?大丈夫なの?または,それがいいことなの?という点をズバリ聞いてみたい!

と思います。

 

 土曜の昼間,ということで,色々予定もおありでしょうが,今回は,改憲派も護憲派も真面目に「語り合い,考え,深める」きっかけができる集会になるのではないか,と考えていますので,多数の市民の皆さんのご参加をお待ちしています。

 そうやって議論することによって,少なくとも,議論なきままのムードや多数決ごり押しなどによって,戦争と平和に関わる問題が,私たち国民の不本意な方向に流れていくことのないように,逆に,私たち国民が知恵を出し合って高めあって納得して進んでいけるように,そんなことの一助になれば,という思いで集会を開催します。

 どうぞ宜しくお願いします。


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コメント 4

心如

憲法第9条を遵守するなら、戦力である自衛隊は存在してはおかしい
自衛のために最低限度の戦力は必要と認めるのであれば、それを憲法に明記すべきです
解釈改憲なんてものを認めていたら、解釈次第でなんでもありになってしまいます
そんなことをして、法治国家といえるのかが疑問です
by 心如 (2007-10-17 20:54) 

hm

小父蔵さん

 仰る部分が,まさに,私の言うところの「9条スッキリしない」部分ですね。
 これからの憲法論議,そういう「スッキリしない」ところを,ややこしいから触らず放っておくのではなくて,その部分にも向き合った上で,じゃあどうするのが現実の私たちの生き方として最善かを考えていくのが必要だと感じます。
by hm (2007-10-18 13:40) 

 いい企画ですねえ。
 やっぱり、「語り合う」ってことに価値がありますよ。潰し合い・罵り合い・排除し合い・攻撃し合い(テロとか)じゃあ、結局ダメなんですよ。
 例えば、私は小父蔵さん↑とは常に意見が一致するわけじゃないのですが、小父蔵さんと意見交換するのは大好きです。
 世の中を1ミリの何十万分の1でも進歩させる原動力は、自由な言論による議論だろうと私は思います。というか、これ確信です。
by (2007-10-19 19:17) 

hm

shiraさん
 ありがとうございます。
 もう明日のことなんですが、今になって、ヒートアップしそうな改憲護憲議論のコーディネートをやる、ということで、なかなか気が重くなってきました 笑
 でも、どんな議論になるか楽しみです。
 
by hm (2007-10-19 22:21) 

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