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夏の読書感想文!~オシムの言葉 [スポーツ!!]

 最近の私は超読書家です。
 面白い本いっぱいですね,世の中には。
 で,話題のこの本読んでみました。
オシムの言葉―フィールドの向こうに人生が見える

オシムの言葉―フィールドの向こうに人生が見える

  • 作者: 木村 元彦
  • 出版社/メーカー: 集英社インターナショナル
  • 発売日: 2005/12
  • メディア: 単行本
 
 考えてみれば,私は,「はきはきしすぎ」と良く言われます。
 昨日の記事「夏休みありますか?」だって,頭ポリポリかきながら「いやー,夏休み取りたいんですけど,ついついとりそびれちゃうんですよねー」というのが日本人的。「私に夏休みはありません」って即答は,笑われちゃうよなぁ…。
 で,オシム新監督の含蓄の深い言葉に迫りたい,と思って…
 
 読んで,オシムの選手育成法は一言で言って,選手に対し,
 
「教わる」から「学ぶ」へ
 
の転換を促すことにはじまっていた!!と思いました。
 
 今までの枠にとらわれない練習法で,選手の「学び」のやり方を作ってゆく,そのなかで必要な働きかけをしてゆく,という,「人そだて」の極意のようなものを感じました。
 
 私も,ロースクールで一応院生を指導する立場なわけですが,本当に参考になりました。
 もう今までにも増して「『教え』へんぞー」という心意気を新たにしました(笑)
 
 しかし,「教えない」「学ばせる」ということは,実は,何か決まったことを「教え込む」ことよりも,頭を使います。
 やり方を練ることも,選手(生徒)の様子をよく観察することも,その場その場の判断力も。
 オシムは本当にすばらしい頭脳の持ち主なんだ,と感動しました。
 
 また,オシムの故郷のこと,本当に考えさせられました。
 オシムの故郷サラエボが戦場となり,家族はそこから出られない。結局,オシムはユーゴスラビアの監督を辞任せざるを得なくなった。
 色んなところでの報じられ方のなかには,紛争の中にあった彼の人生がオシムという人の深さを作ったかのような評もある。
 けれども,私は,オシムは,家族を愛し,スポーツを愛し,故郷を愛し,そのすべてを壊す戦争という破壊行為を憎んだんだ,と感じました。
 戦争の中で人が何かを身につけたとしても,それは「やむなく身につけたもの」であって,それをたとえば「進歩」「成長」といった風に肯定的にとらえることは戦争そのものが「必要であった」ということにつながるから,そうは言ってはならない。言いたくない。
 オシムはそういう意味の言葉を述べていますが,これが戦争の中に生きる人(いや,不幸にして命を落とす人も含めて)の偽らざる心でしょう。
 
 ところで,世の中に,「戦争を憎む」「平和は尊い」ということを言うと,「左翼的」とか,そういう意味をこめた「平和主義者」という風にレッテルを貼る人がいる。
 でも,私は,こういう,
「素朴に,戦争を憎み平和を愛する心」
は,「左翼」も「右翼」もない,ただ自分や他人に対する情愛があれば誰でも持っていて自然な感情だと思う。
 自然な感情に対して,小難しい理屈をつけて,ヘンテコに変形させる必要はない,と思うのです。
 
 各国で,日本で,何党が政権を担当しようとも,国の舵取りをする人は,人並み外れて聡明なオシムが
 
どう理屈をつけようとも,戦争を肯定できない
 
と言う意味のことを心から素直に述べていることの深さを,決して忘れてはならない,と思うのです。
 
 

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コメント 3

omoiyari

いやー、いい事言うね。オシムさん。
読みたくなりました。
っていうか、いつも nice! な日記ですが、
今回の日記は特にいいですね。前向きでいいです。本当。
時々ねえ、戦争もしょうがない、とか言う人いるんだよね。
人類がいる限り、望もうが望むまいが、関係無しに戦争が起こるのは必須だとか、言う人がいるから、猛反論すると、なんだかこっちが偽善者だとか
左翼的だとか、言われちゃう。
でもねえ、実際に戦争体験してない人間がそんなこと、言う権利無いと私は思っているし、そういう風にしょうがない、ってビジネスライクに片してしまおうとする人間って、嘘臭いし、あんまり物事真剣に考えてないと思うのです。
地震に遭って分かったことだけど、本当、怖いし、面倒だし、ブルーだし、
気の毒なことがいっぱいだし、平和が一番です。
どうもね、クールにいこうぜ、クールに。そう、熱くなりなさんな、っていう
風潮があると思うのだけれども、アツクなってなんぼのもんじゃい!と近頃思うのです。かっこ悪くてもいいので、自分が正しいと思ったことは、
健全な方法で頑張り倒したらいいと思いますね。
いやー、オシムジャパン、そろそろメンバー発表ですね。
楽しみです。
by omoiyari (2006-07-31 10:42) 

ゆう

本、持って帰ってきてしまいましたね・・。
早く読んでhamamihoさんにも渡します。(逆の方がいいかも?)
>しかし,「教えない」「学ばせる」ということは,実は,何か決まったことを「教え込む」ことよりも,頭を使います。
私も転勤した上司でこういう人がいました。
教職も持ってたけど、本当結果的に教え上手だった。絶対分からない筈の資料とか、ばーんって渡される。
でも分かりませんじゃなくて、一度読んで、ここが分からない、どういうことかっていうのを、考えさせるんだよね。
慣れないうちは、めっちゃ時間かかるし、残業も増えるし、なんだよー泣、っていう感じだったけど、結果的にその時覚えたものは、絶対に忘れない。身につくんだよね。簡単に教えてもらってないから。

話それましたが、、
>自然な感情に対して,小難しい理屈をつけて,ヘンテコに変形させる必要はない,と思うのです
ですね~。村上さんいいこといいはりますね♪

中田の引退についても今頃読みましたよ。。
私の意見は自分のとこで書いたけど、本当に崇高な魂を感じたよ。
これからのことで胸がワクワクしてる筈っていう、村上さんの表現を見て、
そうか、ワクワクか~と思いました。
そうカズみたいな一途さも、美しいですしね。
「私だけに」ですね・・☆☆
倖田来未の歌詞、いいですね。とっても素敵だと思います。
by ゆう (2006-08-01 00:00) 

hm

>>omoiyariさん
 ホント,熱くなってなんぼ,だと私もおもいます。
 情熱や愛や,そういったものを,そのときそのときにストレートに表現して生きている人は素敵だなぁって思いますよね。
 平和を求めるっていうのは,「何も起こらないこと」を求めているのではなくて,
>本当、怖いし、面倒だし、ブルーだし、
>気の毒なことがいっぱいだし、
っていう状態に苦しめられずに,自分のやりたいこと,恋愛や子育てや仕事やスポーツ,芸術など色んな人生の喜びを楽しむことを求める,というそういうことなんだと思いますね。

>>ゆうさん
 ゆうさんの上司の方も,包容力のある根気のある素晴らしい方なんだろうなぁーと思いました。
 そう,根気がいるんですよねー。教えず,学ぶのを見守るってのは。
 そういう人間的な懐の深さっていうものそのものも,ちょっとずつしか身に付いていかないしなぁ…と,自分自身の成長についても焦ってもしゃあない,と思い思い生きています。
by hm (2006-08-02 15:32) 

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