訴訟は本人で出来るか? [法律案内]
私が司法修習生のころ、指導担当をしていただいた弁護士の方から勧められて読んだ本(の最新版。初版は20年以上前だと思われる)です。
民事訴訟の手続について、とても分かりやすく書かれた本です。
司法修習生はプロの卵なのに、「素人向け」の本なんか読んでいるのか!と思われるかも知れません。
が、しかし、弁護士になる前の司法修習生が読んでもとても勉強になる、というより、通常の民事訴訟の手続きを解説したプロ向けの本よりも短時間で読めて、かつ、ポイントは押さえてある、という良書です。
今でも、司法修習生の方や、民事訴訟の手続の大筋について勉強したい法律事務所事務員の方などにもオススメできる本だと思います。
「法律の『プロ』『セミプロ』でも、まずはこの本から」という感じです。
もちろん、実際に、弁護士が「この本を見ながら仕事をする」なんてことはまずないでしょう。
仕事をするときにはもっと「格式張った」専門書を参照することになります。
仕事をするときに参照するのは、その仕事に関係する部分だけですので、「分厚い本」の一部分を読むことになります。
一方、まだ具体的な仕事以前の段階での勉強ならば、「一部分を参照する」のではなく、「全体を読む」ことになるでしょうから、これくらい「噛み砕いた本」でもいいですし、「分厚い本」よりも「薄い本」のほうが取り組みやすいですね。
まとめると、
仕事用 → 分厚い本が良い
勉強用 → 薄い本が良い
ことが多いですね。これはどの分野でも言えることでしょう。
さてさて、今日のブログのタイトルの問い「訴訟は本人で出来るか?」の答えは、紹介した本のタイトル通り、
訴訟は本人で出来る
でOKだと思います。
ただし、この答えは、
パソコンは自分で作れる
家は自分で建てられる
コーヒーは自分でいれられる
受験勉強は塾や予備校に行かなくてもできる
などと同じような意味です。
訴訟も自分で出来ないことではないので、状況によって「自分で」「弁護士をつけずに」やるという選択肢はあります。
そのメリットは、
・ (誰に意見されることもなく)自分の思うとおりにやることができる
・ 弁護士費用がかからない
という点です。
デメリットは、
・ 書面を作成するなど、手間暇がかかる。
・ 訴訟のルールなどを勉強しなければならない。
訴訟のルールなどを知らないために不利になることもある。
・ 裁判の期日に自分で出て、連絡は直接自分が受けるのでストレスが大きい。
・ やっていることがおかしくても、(弁護士のアドバイスがないので)気づきにくい。
・ 孤独な戦いになる。
という点です。
これを裏返すと「弁護士に事件を依頼することの意味」になります。
・ 訴訟対応を弁護士に任せて、自分は本来の仕事などに専念できる。
・ 弁護士が事件に関する連絡「窓口」になる。紛争の相手と直接話をせずに済む。
・ 方針について、弁護士のアドバイスが得られる。
・ 専門家と一緒に話し合い、作戦を立てて戦える。
これらのことがあなたにとって重要かどうか、「費用を支払ってでも弁護士に依頼する」値打ちがあるかどうか?を考えるということになります。
ということですから、私たち弁護士は、
・ 「この人になら任せられる」という存在(事件を解決する能力、人格などが関係する)
・ 「この人となら一緒に戦っていける」という存在(コミュニケーション能力、色んな人の立場を理解する力・想像力などが関係する)
であることに値打ちがあるということになります。
弁護士は、こういう存在であるように日々研鑽し続ける必要がある、良い心身のコンディション作りをし、法律関係はもちろん社会に関する色んな面の勉強をし続けなければならない、ということになります。
先日司法試験の記事を書きましたが、試験にパスして資格を得たら「依頼する値打ちのある弁護士」になれるわけではありません。
試験にパスしてから、「依頼する値打ちのある弁護士」になるように、また、そういう弁護士であり続けるようにいつまでも努力し続けなければならない、というのが弁護士の仕事です。
以上は、私が司法修習生のときからずっと考えていることですが、初心忘るべからずで、これからも努力を続けていきたいと思っています。
神戸シーサイド法律事務所 弁護士 村上英樹
民事訴訟の手続について、とても分かりやすく書かれた本です。
司法修習生はプロの卵なのに、「素人向け」の本なんか読んでいるのか!と思われるかも知れません。
が、しかし、弁護士になる前の司法修習生が読んでもとても勉強になる、というより、通常の民事訴訟の手続きを解説したプロ向けの本よりも短時間で読めて、かつ、ポイントは押さえてある、という良書です。
今でも、司法修習生の方や、民事訴訟の手続の大筋について勉強したい法律事務所事務員の方などにもオススメできる本だと思います。
「法律の『プロ』『セミプロ』でも、まずはこの本から」という感じです。
もちろん、実際に、弁護士が「この本を見ながら仕事をする」なんてことはまずないでしょう。
仕事をするときにはもっと「格式張った」専門書を参照することになります。
仕事をするときに参照するのは、その仕事に関係する部分だけですので、「分厚い本」の一部分を読むことになります。
一方、まだ具体的な仕事以前の段階での勉強ならば、「一部分を参照する」のではなく、「全体を読む」ことになるでしょうから、これくらい「噛み砕いた本」でもいいですし、「分厚い本」よりも「薄い本」のほうが取り組みやすいですね。
まとめると、
仕事用 → 分厚い本が良い
勉強用 → 薄い本が良い
ことが多いですね。これはどの分野でも言えることでしょう。
さてさて、今日のブログのタイトルの問い「訴訟は本人で出来るか?」の答えは、紹介した本のタイトル通り、
訴訟は本人で出来る
でOKだと思います。
ただし、この答えは、
パソコンは自分で作れる
家は自分で建てられる
コーヒーは自分でいれられる
受験勉強は塾や予備校に行かなくてもできる
などと同じような意味です。
訴訟も自分で出来ないことではないので、状況によって「自分で」「弁護士をつけずに」やるという選択肢はあります。
そのメリットは、
・ (誰に意見されることもなく)自分の思うとおりにやることができる
・ 弁護士費用がかからない
という点です。
デメリットは、
・ 書面を作成するなど、手間暇がかかる。
・ 訴訟のルールなどを勉強しなければならない。
訴訟のルールなどを知らないために不利になることもある。
・ 裁判の期日に自分で出て、連絡は直接自分が受けるのでストレスが大きい。
・ やっていることがおかしくても、(弁護士のアドバイスがないので)気づきにくい。
・ 孤独な戦いになる。
という点です。
これを裏返すと「弁護士に事件を依頼することの意味」になります。
・ 訴訟対応を弁護士に任せて、自分は本来の仕事などに専念できる。
・ 弁護士が事件に関する連絡「窓口」になる。紛争の相手と直接話をせずに済む。
・ 方針について、弁護士のアドバイスが得られる。
・ 専門家と一緒に話し合い、作戦を立てて戦える。
これらのことがあなたにとって重要かどうか、「費用を支払ってでも弁護士に依頼する」値打ちがあるかどうか?を考えるということになります。
ということですから、私たち弁護士は、
・ 「この人になら任せられる」という存在(事件を解決する能力、人格などが関係する)
・ 「この人となら一緒に戦っていける」という存在(コミュニケーション能力、色んな人の立場を理解する力・想像力などが関係する)
であることに値打ちがあるということになります。
弁護士は、こういう存在であるように日々研鑽し続ける必要がある、良い心身のコンディション作りをし、法律関係はもちろん社会に関する色んな面の勉強をし続けなければならない、ということになります。
先日司法試験の記事を書きましたが、試験にパスして資格を得たら「依頼する値打ちのある弁護士」になれるわけではありません。
試験にパスしてから、「依頼する値打ちのある弁護士」になるように、また、そういう弁護士であり続けるようにいつまでも努力し続けなければならない、というのが弁護士の仕事です。
以上は、私が司法修習生のときからずっと考えていることですが、初心忘るべからずで、これからも努力を続けていきたいと思っています。
神戸シーサイド法律事務所 弁護士 村上英樹
2017-03-08 09:22
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