マイナンバー制度がいよいよ始まる、というのですが、何がどう始まるかも分からないという人がまだ大半の状況だと思います。
 恥ずかしながら、私もそれに近い状態だったところ、昨日は、ある勉強会で、自治体のマイナンバー担当の方の詳しい解説を聞くことが出来ました。これからのスケジュールの流れや、マイナンバー制度の全体像など知りたい情報を分かりやすく伝えてもらえました(感謝)。

 まず、一番至近に迫っていること。

・ マイナンバーの通知カードは10月1日以降(11月末ころまでに)住民票の住所地に送付される。

ということだそうです。
 で、「住民票の住所地」というところが大事で、色々な事情で住民票と実際の居場所が違う人も居ると思います(単身赴任、入院・施設入所中、何かから避難している、など)。
 その場合は、9月25日まで(着。シルバーウィーク明けてすぐ!)に、市役所等に、「自分の居所に郵送して下さい」という申請を出す必要があるのだそうです。以下、総務省HPご参照http://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/08.html

 平成28年1月以降の税金や社会保険の各種の手続の際に、マイナンバーを記入する等の必要が出てきますから、マイナンバーの通知カードを受け取らないと不都合が起きることになります。

 今後、マイナンバーにより、各個人の、社会保険、税の情報や、預金、不動産登記、自動車登録等様々な情報について、「同一人の情報だ」ということが番号で特定されるようになります。
 
 だから、「マイナンバーで個人情報が丸裸」ということが心配されるわけです。

 12月頃には、各地の弁護団がマイナンバーの施行を止めるべく訴訟を提起すると見込まれています。個人のプライバシー侵害の危険がある、という主張になると思われます。
(弁護士会も、マイナンバー制度導入時に、やはり危険性が否定できないとして反対・慎重などの意見を出していました。)

 これに対して、マイナンバー性とは、公務員が誰でも、個人の全ての情報を一覧できるような仕組みにはなっておらず、法律の定めた目的や範囲においてしか情報は使われないという制度にはなっています。
 暗号化などの技術を駆使して、情報漏洩も防ぐための工夫を何重にも行っている、とのことだそうです。
 個人のプライバシーがマイナンバーのせいで漏洩することを防ぐということについては、国も自治体も、細心の注意を払っている、ということは、その通りのようです(そうでなければこの制度を実現できるわけがありませんから、これは当然でしょう)。

 ただし、人が作ったセキュリティが人に破られないか、ということは、まさに「技術的戦い」のようなものです。
 この「技術的戦い」において政府が構築するシステムが盤石のものといえるかどうか、が非常に重要だと思われます。
 この点は、これからマイナンバーについて起こるであろう裁判では間違いなく重要な争点になると思います。
 それと、情報を不正に取得することや不正に利用するには厳しい罰則が定められていますが、その「抑止力」によって、危険がどの程度まで防げると評価されるか、というあたりも同様に重要な争点になると思われます。
 
 そんなこんなで、これからどうなるか流動的な部分のあるマイナンバー制度ですが、差し当たって番号通知カードはちゃんと受け取れなければ困ることになるようです。
 制度的にどうか?どうあるべきか?も今後しっかり見極めて、その用いられ方についても国民の立場から必要な意見を言ったりもしなければならない問題だ、と思っています。
                                            
                      弁護士 村上英樹(神戸シーサイド法律事務所