先日、選挙権年齢について18歳からとする、という法改正がなされました。

 18歳からがいいのか、20歳からがいいのかは、私も正直よく分かりません。

 ただ、この法改正が良い方向へのきっかけになればよいな、と思います。

 一昨年まで大学で講義していたときに選挙が近づけば必ず学生さんに次のように言っていました。

「何党の言っていることが正解かが分からない、という人が多いかも知れません。
 実は、それ、僕もそうなんです。
 20歳やから分からないというのではなく、30歳でも、40歳でも、正解はわからへんのです。
 ただ、自分の今の時点の考えに近い政党や候補者に投票するしかない。
 または、『一番マシやな』と思える人でもよい。
 それでも、投票して参加することをオススメします。」

「投票するとニュースの見方が変わります。
 自分が投票した政党や、候補者の行動がニュースで報道されると気になるようになります。
 それで、『やっぱりあの一票は正解だった』と思えればそれでよし、『あの一票は間違いだった』と思えばまた次の選挙で違う人に入れれば良い。
 とにかく、いっぺん投票すると、政治のニュースに興味を持てるようになる。
 この0か1かの違いはかなり大きい。」

「なので、選挙権のある人は、ともかく選挙に1回行ってみる、ということをオススメします。」

 
 とにかく、現代ではどうも政治家への世間的印象がいまいち「かっこいい」というものではありません。
 確かに、汚職とか、よくない行動をする政治家もいるのは事実なのですが、基本的には、選挙に出たりするということは大変なことで、それだけで尊敬に値すると思います。
 それが何党であれ、私は本当にそう思います。

 選挙に出れば、プライバシーもない、寒くても雨でも朝早くから辻立ちしなければならない、なのに通りすがる人の中には露骨に嫌そうにする人もいる、それでもめげずにビラ配り・街頭演説をしなければならない。

 普通に考えたら大変なことです。
 ハッキリ言って、真面目に政治を考える人でも、現実面を考えたらまず「立候補なんて無理」ということが大多数なのは当然です。

 立候補する方はこんなに大変なわけですから、それに比べて、一票を投じるだけであれば労力はどれほど小さいことでしょう!
 
 マスコミの皆さんにも、政治家に厳しくするというだけではなく、「立候補して頑張っている」ことそのものへのリスペクトを有権者がもっと持てるような、明るい前向きな報道をより行って頂ければ、と思います。
 
 ただ、その意味では、18歳、たとえば高校3年とか、高校出たてのフレッシュな気持ちの中で、「まずは一票で参加する」という経験を持てるようになることが、その後、「政治に参加する」大人が増えることに繋がることを期待したいと思います。

                                  弁護士 村上英樹(神戸シーサイド法律事務所