「なぜ、エリートですらバブルと暴落に踊らされてしまうのか?」という帯のこの本。
予測不可能な出来事については、基本的に予測を「当てる」ことを期待できない。
そうである以上、個々の「当たる」「当たらない」に一喜一憂したり、過剰な意味づけをすることなく、「期待値」で物事を判断するしかないし、「起こりえる最悪」が致命傷にならないだけの備えをしておくしかない。
引いた牌が何かを当てることは基本的にできない「麻雀」なんかも、まさにこの考えで行くのが最善なのですが…
ただ、実際には、「エリートですらバブルと暴落に踊らされてしまう」し、偶然によってもたらされた成功について過剰な意味づけ(「自分の力だ」というような)をして失敗することがある。
むしろ、そのような失敗をしやすい性質が人間には備わっている。それには理由がある。
…といったことなどが、分かりやすく書かれている本です。
不確実なことに満ちている世界で、いかにして、自分のコントロールできることとできないことを区別し、コントロールできることに最善を尽くすか、また、そのための心がけや、気をつけるべきことはどんなことかを教えてくれる本でした。
少し前、「勉強」の記事でも書いたことに通じます。
・ 学校でテストの点数をとる → 不確実性を考えずに、基本的に努力でできる。
・ 社会で起こる出来事に対処する、仕事する → 不確実性への対処を避けられない。
ですので、生きるのに必要な力としては、社会に出れば、「学校のテストで点数をとる」ような考え方とは別の頭の働きが必要になってきます。(もちろん、「答えのある」問題を正解できる、ということは間違いなく一つの「強さ」そのものなのですが、しかし、それだけでは全ての課題に対処できないということです。)
それが「不確実性」への対処であって、そういう意味で、多くの人にとって興味深い内容なのではないか、と思います。
神戸シーサイド法律事務所 弁護士 村上英樹