橋下氏も、この条例案には問題があると述べ、この条例案は撤回になりました。

 この条例案を作った人だって、その人なりの信念では良かれと思って作ったのだろうと思います。
 しかし、その信念にある「思い込み」が激しすぎて、非科学的な記述がそのまま入っていまい、しかも、少なくない人を傷つける内容になってしまった。

 条例案を作った人の「良かれ」という点をいえば、

親が子に対して十分な愛情を注げる世の中になるように

ということであろうと思います。その意図は私も共有します。

 ただ、その目的のための手段として、

上から目線で、親に「こうあるべき」像を規定する

かのようなやり方では成功しないと思います。
 

 もちろん条例には、「上から」とは書いていませんが、私は、この条例騒動については、作成者に(自覚してか、無自覚かわかりませんが)「上から目線」の要素があり、それが思わぬ発想の「横着」を招き、大きなミスを招いたのだと思います。


 もっと、子供たち、それと共に生きる親たちに丁寧に寄り添うバックアップの仕方があると思います。
 
「こうあるべき」をいうのではなく、人間本来の自然の愛情を発揮しやすい状況を整えていく

そういう環境整備を行っていく

これが子育て支援の政治の役割であることを確認して欲しいと願います。
 
 そうすれば、今回の条例提案者の「良かれ」の願い(きっと、=「親が子に対して十分な愛情を注げる世の中になるように」)が実現に近づくはずです。

村上英樹(弁護士、神戸シーサイド法律事務所


http://news.so-net.ne.jp/article/detail/700824/

(引用開始)
維新市議団、条例案を白紙撤回…保護者ら反発で
2012年 05月07日 21時35分 提供元:読売新聞  大阪維新の会(代表・橋下徹大阪市長)大阪市議団が市議会に提案予定だった「家庭教育支援条例案」に、子どもの発達障害の原因を親の愛情不足とする記述があり、保護者でつくる13団体が7日、「偏見を助長する」と、同市議団に提案見送りを要請した。
 市議団は同日、条例案の白紙撤回を決めた。
 同条例案は児童虐待が後を絶たない中で、家庭教育支援や親に保護者としての自覚を促すことなどが目的で、市議団が1日、記者団に公表。その中で児童虐待を発達障害と関連づけて、「愛情不足が症状を誘発する大きな要因」と指摘し、「わが国の伝統的子育てで予防・防止できる」と記述していた。
 これに対し、「大阪自閉症協会」(大阪市)などが問題視。この日、同市議団など5会派に条例案の提案見送りと、専門家を交えた勉強会開催を求める要望書を提出した。
 市議団の美延映夫(みのべてるお)幹事長は「手違いがあった」と団体側に謝罪し、条例案撤回を約束。橋下市長も同日、記者団に「発達障害を抱える子を持つ母が愛情欠如(している)というのは違う」と述べた。
 発達障害に詳しい山崎晃資・臨床児童精神医学研究所所長は「医学的に発達障害は中枢神経系の機能障害とされている。愛情不足とは関係がなく、条例が成立すれば親がいわれのない差別を受ける」と話している。
(引用終わり)