サラ金の利率29%は高すぎるし,殆どの場合法律が「とってよい」とする条件を満たしていないので,利息制限法の18%以上は「取りすぎ」になる。けれども,刑罰がないので,実際には,高利が取られていることについて, 以前の記事 http://blog.so-net.ne.jp/h-m-d/2006-06-20 で述べました。
そりゃおかしい!ということで,当初,与党(自民党,公明党)も有識者の集まりも,利息制限法の利息(18%)かそれよりちょっと上くらいを限度にして,それ以上利息を取ったら刑罰の対象になる,という見直しをしようとしました。
しかし,おそらく,サラ金業界ががーーっと圧力をかけてきたのでしょう。結果,金融庁は,
最大9年間はグレーゾーン金利が存続するとともに、「少額短期特例」、「事業者向け特例」として、いずれも年利28%を認める
というような,「見直し」案を出してきてしまった。これ,「改善」になりません。今の法律では,基本的には年利28%など認められていないのですから,実質的には,逆に今より悪くなるという,本末転倒の金融庁の案です。
そんな中で,後藤田さんは「もう責任が持てない。ヤメる。」と言われたのです。
私は,こう言う後藤田さんには,
「そのポストにいる以上,また,消費者保護の信念があるのならば,辞めずに最後の最後まで闘って欲しい。だって,消費者は消費者をやめることはできないんだから。」
と言いたい気持ちですが,後藤田さんはそういうことも重々よく考えた上で,それでも,「もうどうしようもない。辞めるしかない。辞めて抗議の意思を示すしかない。」と考えたのだ,と思います。
サラ金業界は,高利の貸金について
消費者の選択の幅を広げる
自由主義,自己責任だ
と言います。
ものは言いようです。が,もともとお金のない人が年利28%の金利で50万円一年の短期でお金を借りるとしたら,毎月返済しても約5万円返済になるのです。毎月5万の支払って,普通のサラリーマンでも増えたらキツいですよね。お金に困っている人ならなおさら。で,月末足りなくなって,他からも借りたら,すぐ返済額は月10万,20万…。返済不能です。
蟻地獄とはよく言ったものです。借り主がこういう風に蟻地獄にはまっていくことを,承知の上で貸しているのが,業界です。
お金がないならお金をつかっちゃいけない=借金はダメ
というのは,ごく当たり前で,多くの人が親から何度も言われてきたことでしょう。
でも,お金がないという人の苦境に付け込んで,「つかっていいよー」と甘い声でお金を貸して,高利でお金儲けをする業界が今まで野放しでした。
そしやって,人々の金銭感覚をおかしくして,上記の「親からの言いつけ」を破るように勧めてきた業界には,社会的に大きな責任がある,と思います。
「私は借金なんかせーへんから関係ないもん!」っていうアナタ!
それは本当にあなたに関係ないでしょうか?
お金に困った人が起こす犯罪(強盗,強盗殺人,ひったくり,万引き,空き巣,車上荒らし,横領,詐欺…)が世の中にどれほど多いか?その被害にあなたや家族が遭わないと言いきれますか?実際に被害の話ききませんか?(私も去年車上荒らしに遭って,クルマの窓ガラスを木っ端微塵に割られました。小銭数百円をとるためにクルマを破壊されました。犯人はつかまっていません。)
犯罪ではなくても,何かというとすぐお金・お金と要求してくる人の裏に「サラ金からの借金」があって,みんな迷惑するというケースも非常に多い。要は,社会がおかしくなっちゃう一つの要因なのですね。
貧しい者をますますどん底に突き落とすシステム(高利金貸し)に厳しい規制を!そして,弱者を,社会を守ろう!お金のことについて健全な社会にしよう!と後藤田さんは考えたのでしょう。
でも,お金儲けの味を知る人たちの抵抗は予想外に激しく…という人間ドラマが垣間見えそうな気のするニュースでした。
もし,この件について,エラい人たちに,何か言ってやろう!と思う人は↓
ここから「自民党に物申す」ことができます。
http://meyasu.jimin.or.jp/cgi-bin/jimin/meyasu-entry.cgi
(私も,「例外を認めず,金利を厳しく規制してください!業界ではなく,弱者を含めた国民個人個人の利益を守るのが,国民の多数の支持を集める政党の責任です。」ともの申してみました。すると,すぐ返信メールが来ます。この返信メールの文章にちょっと感動します。)注*この記事は特に自民党を支持する趣旨の記事ではありません。できれば全政党に物申したいですが,やはり政権党に送るのが一番か,と思いました。それでも,こういう「御意見箱」を設けているのはいいことだ,と思います。