私は、交通事故の損害賠償請求事件を多く受任しています。
 
 殆どは、被害者側の弁護です。

 交通事故に遭った場合、相手(加害者)が保険に入っていてくれることは基本的にありがたいことです。入っていなければ、加害者にお金がなければ、補償を受けられないこともありますから。

 しかし、加害者側保険会社の提示額が、低すぎるために裁判をしなければならない、というケースが多いのです。そういう事件を多く担当しています。
 「低すぎる」というのは、例えば、事故の状況が真実はどうであったのか?ということに争いがある、と言うような場合は仕方ないのですが、事実関係等に全く争いのない場合であっても、裁判での平均水準と保険会社の提示額が大きく違うということがあるのです(実際は多いのです)。

 ですから、裁判をしないということが即、明らかに「泣き寝入り」である、という事故・事件が多数あります。
 
 
 こういう事件を取り扱ってそれを収入にしている身ではありますが、私は、保険会社が裁判前から「裁判水準」で呈示をするべきだと思っています。
 そうすれば、多くの人が裁判をせずに早く損害賠償金をもらえます。事故からの立ち直りも早くなります。
 
 私の仕事は減りますが、仕方ないでしょう。不要な紛争はないのが合理的な社会です。もっと言えば、社会にシステム的な不合理がなくなって、弁護士なんて今の半分もいらなくなれば、それは良い社会です。弁護士が倍に増えて大活躍する社会なんて、そこで暮らすこと自体、私はマッピラです。
 交通事故だけでなくて、色んな分野で、そんな合理的な良い社会が実現でき、弁護士が不要になったら、私は喜んで廃業して、小学生のための算数教室でも開いて暮らそうと思っています。

 
 話がそれました。
 この交通事故の問題、しかし、実は、保険会社が悪いというだけの問題ではないと思っています。というか、保険会社が黒幕ではない、と思います。
 これは社会全体の在り方の問題です。
 一言で言えば「前がかりの無責任クルマ社会」の問題です。