というか、「立ち消え」を憂う。

 経済界の支援を背景とした自民党政権にあって、経済界の目先の利益とは相反する消費者保護を行おうとするならば、リーダーが自分でモノを考えハッキリとした姿勢を示さなければならない。それ以外に無い。

 その点で、福田総理は今までの総理には無いことを言ってきた。
 消費者重視を前面に出し、消費者庁の創設。
 モラル無き利益優先の経済活動を許さない、という方針である。
 これはもしそれを本当にやるならば、今まで自民党議員を色んな形で支援してきた金の力に逆らうということなのだから、本当にそれをしたときには自民党自体が有力な支持基盤を失うことにもなりかねないような、そういうすごいことを言っていたのだ。
 これこそ「自民党をぶっこわす!」ことに匹敵する。
 福田総理が本当の意味でそこまで分かって、そこまでの覚悟をして言っておられたのかどうかは、分からない。
 だが、「消費者目線で」などという、(自民党の立場からすれば)革命的なすごいことを言っている、そのことには注目してきた。

 福田総理は、辞任するに当たって、消費者庁については法案をまとめたから後の人が・・・などと言ったという。
 だが、それじゃあ無理だ。
 「後の人」が、金を持っている企業相手に覚悟なり信念を持って、対峙することはできないだろう。
 もちろん、福田総理だって、限界があっただろうが、「言いだしっぺとして譲れない」という立場もあって、その「言いだしっぺ力」にささやかな期待を私はしていた。
 「後の人」「次の人」じゃ、形だけになりかねない。

 経済界に対して、「消費者軽視なり、野放図な規制外しなどは、確かに短期的な企業利益にはなるかもしれないが、幾多の不祥事事件を起こした企業がそうであるように、結局長続きしない。中長期的な利益をはかるには、消費者保護を行い、国民の安心安全を重視するのが一番堅実なやり方だ。」ということを説ける国のリーダーが他にいるのか。
 
 思いつくのは、高金利撤廃のときに熱く燃えた後藤田正純議員くらいか。消費者庁創設には、並々ならぬ思いを持っている、とも言っていた。だが、現実的には後藤田氏が次期総理にはならないだろう。

 私は、福田政権について、全般を支持していたわけでは決してない。
 だが、福田総理が、消費者政策推進のリーダーたる立場をここで投げ出したこと、これは本当に残念でならない。

 自民党の次の総裁がそれをやれるのか。是非やってほしいが。
 もし、やれないというのなら、選手交代して、野党が「消費者政策推進」を乗っ取ってしまうのがいい。

 ともかく、「消費者目線での政治」構想を立ち消えにしてはならない。