灘校土曜講座「インターネット社会の法秩序~君のtweetは大丈夫?」 [だから,今日より明日(教育)]
6月19日に、母校の総合学習の講師に行ってきました。
タイトルの通りの内容で90分お話をしてきました。
今回のテーマは、先生が生徒にアンケートをして希望が多かったものを選んだものです。
1 YouTubeなどの著作権の話
2 インターネット上の誹謗中傷
3 法が現実にあわない度合いが拡大していること
の話をしました。
1 著作権の話
まず、今はメジャーデビューしているUruさんの昔の動画を題材に考えました。
作詞作曲中島みゆきさんの「糸」を歌った人気動画ですが、コレはそもそもOKなのか。
なぜOKなのか。
Uruは中島みゆきに電話をかけて「歌わしてもらっていいですかね?」と断りを入れたのか。
もちろん中高生でもこんなことは良く知っている人も多くいて、
・ アーチストがJASRACに著作権の管理委託をしている。
・ YouTubeがJASRACと包括して契約して、JASRAC管理の楽曲を使用できるようにしている。
というわけなのですが、「著作権」が存在して、それがどのようにして利用許諾されているのか、一つ一つにはちゃんとした根拠づけがあるということから話しました。
それから、
・ 許される「引用」の話
・ 二次創作の話
をして、著作物の利用についてグレーな部分も多いが、大切なことは、著作者へのリスペクトと関係する人々への想像力ということを。
2 インターネット上の誹謗中傷
木村花さんの事件、伊藤詩織さんの裁判の話を導入にしました。
伊藤詩織さんが受けた誹謗中傷については、伊藤さんの記者会見で語られたことを紹介し、ネット上の誹謗中傷はネット上にとどまらずリアルに生活を脅かしてくることを感じてもらうようにしました。
表現の自由の価値について、やや時間をとって深めます。
表現の自由には「自己実現」と「自己統治」の価値があり、これは民主主義社会にとっての礎であり、それがゆえに、最大限の保障が必要。
個人の幸福追求としての「自己実現」。
これは自由な校風で育つ灘校生にとって最も得意とするところ。
私が訪問したとき、ちょうど、生徒会役員選挙のポスターが貼りだされていました。
国政選挙などのポスター風にアレンジしながら、見事に個性豊かな面白いポスターばかりありました。
これに言及すると、もう説明不要でした。
「自己統治」の意味合いは、
・ 戦争を止めるにも
・ 災害時に命を守る情報を伝達するにも
・ 新型コロナについての知見を行き渡らせるにも
何をするにも言論の自由(表現の自由)がすべての前提になる、ということ。
さて、そんな中でも、人を極限まで追い詰めるネット上の誹謗中傷やヘイトスピーチをどう考えるか。
「自己実現」「自己統治」の価値に照らしてどうか?
価値を生み出す言葉ではなく、「石を投げる」暴力行為と変わらないのではないか?
またその「線引き」は?
この分析と問題提起をして、考えていくきっかけとしてもらうようにしました。
タイトルの「インターネット社会の法秩序~君のtweetは大丈夫?」については、
・インターネット社会でのルールは、実は「リアル」社会でのルールと全て同じ
権利侵害はダメ(著作権、プライバシー権、名誉、生命・身体 すべて同じ)
・ ただ、破壊的な伝播力 「世界中に発信している」こと に特徴がある
・ 「渋谷スクランブル交差点のど真ん中で、実名をあげて、コレを叫んでいる、プラカードを上げている」
それでもオッケーか? を自分に問えば、アウトかセーフか分かるはず。
とまとめました。
ほかにも小ネタをはさみ色んな話をさせていただきましたが、これをきっかけに中高生のみなさんが、ネットの向こうに居る人の「権利」さらには「心」を意識することの助けになり、ネット上の活動も通じて、より活き活きとワクワクするような活動ができるように、と願っています。
法のルールを知ることは窮屈になるということではなく、法の考え方から理解することにより、より自由にリラックスして活動できるようになります。
そういうことが次世代の灘校生に上手く伝わっていればよいな、と思いました。
そんな感じの母校訪問でしたが、ついでに、文化祭でバンドのライブをやった「大講堂」にも行き、またそのころの友人にも久しぶりに再会するなどして、自分が高校生のとき何を感じて生きていたのかも色々思い出しました。
記憶というものは色々塗り替わるもので、忘れていたことも多かった。
やはり、高校生のときは、色んな事に敏感で、感性は豊かで、豊かすぎてしんどいことも多かった。
社会のルールと大人の在り方との矛盾にもすぐ反応するし、社会を支配している思想の矛盾なども。
やっていることと自分の感性との違和感も、それがあれば身体が痛いくらいに感じていた。
ただ、それだけ豊かな感覚を表現する、活かすチャンスを持っている時代でもある。
学べば身につくスピードも物凄いし、自分の脳も心もいかようにも作っていける。
大人はその環境をしっかり作り、応援するのみ。
灘校生に限らずですが、次世代がまた新しい感性で世界を創造していってくれる。
その希望に私たちは賭けていく、それが花開くように、上の世代がもっているものを提供していく。
「教育」という熟語のイメージが合っているのかよくわかりませんが、世代間でできるものを提供しあって、助け合う、そして一緒に生きる時代を作っていく。
そういう気持ちになり、私のエネルギーもまたチャージされた感じがしました。
タイトルの通りの内容で90分お話をしてきました。
今回のテーマは、先生が生徒にアンケートをして希望が多かったものを選んだものです。
1 YouTubeなどの著作権の話
2 インターネット上の誹謗中傷
3 法が現実にあわない度合いが拡大していること
の話をしました。
1 著作権の話
まず、今はメジャーデビューしているUruさんの昔の動画を題材に考えました。
作詞作曲中島みゆきさんの「糸」を歌った人気動画ですが、コレはそもそもOKなのか。
なぜOKなのか。
Uruは中島みゆきに電話をかけて「歌わしてもらっていいですかね?」と断りを入れたのか。
もちろん中高生でもこんなことは良く知っている人も多くいて、
・ アーチストがJASRACに著作権の管理委託をしている。
・ YouTubeがJASRACと包括して契約して、JASRAC管理の楽曲を使用できるようにしている。
というわけなのですが、「著作権」が存在して、それがどのようにして利用許諾されているのか、一つ一つにはちゃんとした根拠づけがあるということから話しました。
それから、
・ 許される「引用」の話
・ 二次創作の話
をして、著作物の利用についてグレーな部分も多いが、大切なことは、著作者へのリスペクトと関係する人々への想像力ということを。
2 インターネット上の誹謗中傷
木村花さんの事件、伊藤詩織さんの裁判の話を導入にしました。
伊藤詩織さんが受けた誹謗中傷については、伊藤さんの記者会見で語られたことを紹介し、ネット上の誹謗中傷はネット上にとどまらずリアルに生活を脅かしてくることを感じてもらうようにしました。
表現の自由の価値について、やや時間をとって深めます。
表現の自由には「自己実現」と「自己統治」の価値があり、これは民主主義社会にとっての礎であり、それがゆえに、最大限の保障が必要。
個人の幸福追求としての「自己実現」。
これは自由な校風で育つ灘校生にとって最も得意とするところ。
私が訪問したとき、ちょうど、生徒会役員選挙のポスターが貼りだされていました。
国政選挙などのポスター風にアレンジしながら、見事に個性豊かな面白いポスターばかりありました。
これに言及すると、もう説明不要でした。
「自己統治」の意味合いは、
・ 戦争を止めるにも
・ 災害時に命を守る情報を伝達するにも
・ 新型コロナについての知見を行き渡らせるにも
何をするにも言論の自由(表現の自由)がすべての前提になる、ということ。
さて、そんな中でも、人を極限まで追い詰めるネット上の誹謗中傷やヘイトスピーチをどう考えるか。
「自己実現」「自己統治」の価値に照らしてどうか?
価値を生み出す言葉ではなく、「石を投げる」暴力行為と変わらないのではないか?
またその「線引き」は?
この分析と問題提起をして、考えていくきっかけとしてもらうようにしました。
タイトルの「インターネット社会の法秩序~君のtweetは大丈夫?」については、
・インターネット社会でのルールは、実は「リアル」社会でのルールと全て同じ
権利侵害はダメ(著作権、プライバシー権、名誉、生命・身体 すべて同じ)
・ ただ、破壊的な伝播力 「世界中に発信している」こと に特徴がある
・ 「渋谷スクランブル交差点のど真ん中で、実名をあげて、コレを叫んでいる、プラカードを上げている」
それでもオッケーか? を自分に問えば、アウトかセーフか分かるはず。
とまとめました。
ほかにも小ネタをはさみ色んな話をさせていただきましたが、これをきっかけに中高生のみなさんが、ネットの向こうに居る人の「権利」さらには「心」を意識することの助けになり、ネット上の活動も通じて、より活き活きとワクワクするような活動ができるように、と願っています。
法のルールを知ることは窮屈になるということではなく、法の考え方から理解することにより、より自由にリラックスして活動できるようになります。
そういうことが次世代の灘校生に上手く伝わっていればよいな、と思いました。
そんな感じの母校訪問でしたが、ついでに、文化祭でバンドのライブをやった「大講堂」にも行き、またそのころの友人にも久しぶりに再会するなどして、自分が高校生のとき何を感じて生きていたのかも色々思い出しました。
記憶というものは色々塗り替わるもので、忘れていたことも多かった。
やはり、高校生のときは、色んな事に敏感で、感性は豊かで、豊かすぎてしんどいことも多かった。
社会のルールと大人の在り方との矛盾にもすぐ反応するし、社会を支配している思想の矛盾なども。
やっていることと自分の感性との違和感も、それがあれば身体が痛いくらいに感じていた。
ただ、それだけ豊かな感覚を表現する、活かすチャンスを持っている時代でもある。
学べば身につくスピードも物凄いし、自分の脳も心もいかようにも作っていける。
大人はその環境をしっかり作り、応援するのみ。
灘校生に限らずですが、次世代がまた新しい感性で世界を創造していってくれる。
その希望に私たちは賭けていく、それが花開くように、上の世代がもっているものを提供していく。
「教育」という熟語のイメージが合っているのかよくわかりませんが、世代間でできるものを提供しあって、助け合う、そして一緒に生きる時代を作っていく。
そういう気持ちになり、私のエネルギーもまたチャージされた感じがしました。
2021-06-27 12:13
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コメント(1)
いい内容ですね。
考えさせられます。
2 インターネット上の誹謗中傷
についてだけふれると現行法(バーチャルでなく現実実在でネット上でないもの)で問題なものはネットでも問題。
じゃあ私たちは現行法(ネット社会以前からあるもの)を理解しているのか自問してみました。
記事にはあまり触れておられませんが受け手の側に興味があります。
発信側の発言が同じ言葉だとしてもツールや環境によって受け手に大きい影響の変化を及ぼす気がします。
機会あればそういうお話を含めて2を掘り下げたお話に触れられたらうれしいです。
by ayu15 (2021-11-02 12:03)