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相続の各種手続を楽に~「法定相続情報証明制度」H29年5月より [法律案内]

 経験されたことのある方はよくおわかりだと思いますが,

相続が起こった後の,不動産・預金などの各種手続は,全く「もめていない」相続でもなかなか煩わしいもの

です。

 というのが,例えば,お母さん(Aさん)が亡くなったとして,相続人は,お父さん(Bさん)と2人の子ども(Cさん,Dさん)だったとしましょう。

 この場合,

Aさん → B,C,Dさん

という風に,不動産の登記や預金の名義を移すわけです。

 で,このときの相続関係について

Aさんの生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本(婚姻などで,戸籍が変わっている分全て)

で証明することになります。

 この戸籍謄本の束を,

不動産登記
各銀行
農協
郵便局
各証券会社

に提出して回るということになります。
 各手続で戸籍謄本は「原本」を提出するよう求められます。
 戸籍謄本を役所から発行してもらうにもお金が掛かるので,「原本」を何通も発行してもらうことは余りなく,戸籍謄本の束をもって,X銀行,次は,Y銀行,次はZ銀行と回っていくということになります。

 これは「一仕事」です。

 私たち弁護士事務所であれば,こういった手続業務には慣れています,日頃やっていることです。
 が,それでも,資産の種類が多い方の相続については手続だけでも「それなりの事務作業量」という感じがします。

 とすると,こういうことに慣れていない人(大半の人がそうでしょう)がこの作業をやると,本当に「一仕事」です。

 
 で,この各種手続を随分楽にしてくれる制度が「法定相続情報証明制度」です。

 今年の5月からすでに始まっています。

 詳しくは,法務省のページ↓
 http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html
  
 
 これは,相続のための各種手続にいちいち戸籍謄本の束をもっていかなくてもよいようにする,という制度です。

 まず,法務局に,一回だけ

被相続人(亡くなった方)の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本等

を提出します。
 それによって,法務局で登記官が,

文書認証⽂付きの法定相続情報⼀覧図の写し

必要な数だけ,無料で交付してくれます。

 そうすると,この「一覧図の写し」を必要な数だけ使って,亡くなった方の取引のあった銀行,証券会社等の全てに,同時に,相続の手続ができるというわけです。

 世の中で人を苦しめるものの一つが「必要以上に煩わしい」という不合理ですが,これを制度の進歩によって合理的にすることは,「人への愛」そのものだと思います。
 この制度はとてもよい制度だと思います。

 相続は誰しも関係があるので,新しく始まったこの制度のことを多くの方に知って頂ければと思います。
                                   


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