裁判所と弁護士会の共同企画~交通事故研修会 [法律案内]
先日(3月末),私が所属する兵庫県弁護士会で
交通事故訴訟の研修会
がありました。
弁護士向けの研修会です。
私は,この研修会のパネルディスカッションで,「被害者側弁護士」の立場でパネリストを務めました。
この企画は,弁護士会と裁判所が共同して企画したものです。
神戸地方裁判所の交通事故担当の部(というのがあります)の裁判官が弁護士会に来られて,
裁判官が,訴訟で重視するポイント
などを解説する。
そして,実務経験がある「被害者側弁護士」と「加害者側弁護士」とが,それぞれ,
自分の立場で欠かすことのない主張立証活動は何か
をしゃべる。
だいたいこんな企画でした。
もともと,裁判官と弁護士との間,「被害者側弁護士」と「加害者側弁護士」との間,というのは実に微妙な関係です。
何が微妙かと言えば,
・ それぞれの立場がある。したがって,「なあなあ」で馴れ合うのは良くない。
しかし,
・ 裁判という「同じ土俵」で活動する以上,基本的なことの「共通認識」が必要。
・ 円滑にコミュニケーションができなくては困る。
という間柄です。
裁判官と弁護士との間,相手方になる弁護士同士は,「喧嘩」するのはよくありませんが,「適度な緊張感」があるべきものです。
ですので,弁護士会が,研修をするときに裁判官に来てもらう,という機会は余りないのです。
今回は,裁判所の交通部の裁判官も非常に積極的に企画を後押しして下さり,開催することになったのです。
参加者は100数十名でした。
弁護士会で何かの研修をすることはしょっちゅうありますが,参加者が100名を超えることは滅多にありません。
弁護士が勉強熱心ではない,ということではなくて,最近は,「ライブ」で研修を受けなくても,ビデオや動画で「補講」を受ける手段があるから,研修会の場に来ない人が増えているのです。
今回の企画は,弁護士の「内輪」ではなくて,
裁判官が日頃何を考えて訴訟を行っているか
を知るチャンスだったので,多くの人が集まった,というわけです。
交通事故がテーマですが,特に,
1 後遺障害について
神経症状が残る事案で14級と12級との違いをめぐっての争い
高次脳機能障害
関節の可動域制限の問題
2 休業損害・逸失利益(事故で働けなくなった分の損害)について
後遺症はあるが給料が減っていない場合にどう考えるか
自営業などで収入が把握しにくい場合どうするか
などについて,裁判所,被害者側弁護士(私),加害者側弁護士とそれぞれの立場で発表をしました。
私が,私自身の弁護士としてのスキルアップをすることは当たり前で日々努力しなければならないのです。
ですが,(一弁護士である)私が良ければそれで良い,となると,弁護士に依頼する人々にとって「弁護士のあたりはずれ」の問題がつきまとうことになります。
これはいけません。
こういう研修を通じて,弁護士全体(被害者側も加害者側も)が,処理する事件(交通事故訴訟など)についての考え方・基礎知識をしっかり身につけているという状態に近づく,ということがとても大切なことです。
こういう研修会で前でしゃべる機会をもらえたことは,とにかく人前で話すことが好きな私にとってはそれだけでもうれしいことですが,それだけでなく,
この機会で私が色々しゃべった内容が他の弁護士の先生方の参考になって,他の弁護士の仕事ぶりが更に良くなることに繋がってくれたらいいな
という思いです。
以前,「相手方に弁護士がつくのは不利なこと?」というブログ記事でも書いたのですが,
双方の弁護士が両方ともちゃんと仕事をする
ということが,双方の当事者にとって,世の中にとって,一番良いことなのです(ただ,この点は少し「深い」話ですが)。
そうそう。
この研修会は,参加者への配付資料と,講演中,パネルディスカッション中にプロジェクターで映したパワーポイントの内容が,とても素晴らしかったのです。
その準備をして下さったのは,知る人ぞ知る兵庫県弁護士会の鬼才,中村真先生でした。
中村先生のブログ↓
http://nakamuramakoto.blog112.fc2.com/
(このブログは面白いし,絵がたくさんあります。これをリンクしてしまうと,ほとんど字ばっかりの私のブログにだれも戻ってこないのではないか,と危惧しますが,それならそれでやむを得ないことです)
中村先生,ブログはユーモアに富んで面白いですが,仕事ぶりはすごく真面目な先生で,研修会のテーマについて,とても分かりやすく見やすい,そして核心をズバッと突いた資料・パワーポイントを用意して下さいました。
とまあ,こういうわけで,(意外と)珍しい裁判所と弁護士会の交流(研修会)というのは,
裁判をより円滑にするため
裁判所と弁護士との間・弁護士同士との間で,「行き違い」「誤解」をなくして,事件の真の姿に近づけるようにするため
ひいては
交通事故の被害に遭われた方が適正な賠償額を,早く得ることができるようになるため
に,有意義な機会だと思います。
私としては,こういう研修会を定期的に続けられたらいいな,と思っています。
神戸シーサイド法律事務所 弁護士 村上英樹
交通事故訴訟の研修会
がありました。
弁護士向けの研修会です。
私は,この研修会のパネルディスカッションで,「被害者側弁護士」の立場でパネリストを務めました。
この企画は,弁護士会と裁判所が共同して企画したものです。
神戸地方裁判所の交通事故担当の部(というのがあります)の裁判官が弁護士会に来られて,
裁判官が,訴訟で重視するポイント
などを解説する。
そして,実務経験がある「被害者側弁護士」と「加害者側弁護士」とが,それぞれ,
自分の立場で欠かすことのない主張立証活動は何か
をしゃべる。
だいたいこんな企画でした。
もともと,裁判官と弁護士との間,「被害者側弁護士」と「加害者側弁護士」との間,というのは実に微妙な関係です。
何が微妙かと言えば,
・ それぞれの立場がある。したがって,「なあなあ」で馴れ合うのは良くない。
しかし,
・ 裁判という「同じ土俵」で活動する以上,基本的なことの「共通認識」が必要。
・ 円滑にコミュニケーションができなくては困る。
という間柄です。
裁判官と弁護士との間,相手方になる弁護士同士は,「喧嘩」するのはよくありませんが,「適度な緊張感」があるべきものです。
ですので,弁護士会が,研修をするときに裁判官に来てもらう,という機会は余りないのです。
今回は,裁判所の交通部の裁判官も非常に積極的に企画を後押しして下さり,開催することになったのです。
参加者は100数十名でした。
弁護士会で何かの研修をすることはしょっちゅうありますが,参加者が100名を超えることは滅多にありません。
弁護士が勉強熱心ではない,ということではなくて,最近は,「ライブ」で研修を受けなくても,ビデオや動画で「補講」を受ける手段があるから,研修会の場に来ない人が増えているのです。
今回の企画は,弁護士の「内輪」ではなくて,
裁判官が日頃何を考えて訴訟を行っているか
を知るチャンスだったので,多くの人が集まった,というわけです。
交通事故がテーマですが,特に,
1 後遺障害について
神経症状が残る事案で14級と12級との違いをめぐっての争い
高次脳機能障害
関節の可動域制限の問題
2 休業損害・逸失利益(事故で働けなくなった分の損害)について
後遺症はあるが給料が減っていない場合にどう考えるか
自営業などで収入が把握しにくい場合どうするか
などについて,裁判所,被害者側弁護士(私),加害者側弁護士とそれぞれの立場で発表をしました。
私が,私自身の弁護士としてのスキルアップをすることは当たり前で日々努力しなければならないのです。
ですが,(一弁護士である)私が良ければそれで良い,となると,弁護士に依頼する人々にとって「弁護士のあたりはずれ」の問題がつきまとうことになります。
これはいけません。
こういう研修を通じて,弁護士全体(被害者側も加害者側も)が,処理する事件(交通事故訴訟など)についての考え方・基礎知識をしっかり身につけているという状態に近づく,ということがとても大切なことです。
こういう研修会で前でしゃべる機会をもらえたことは,とにかく人前で話すことが好きな私にとってはそれだけでもうれしいことですが,それだけでなく,
この機会で私が色々しゃべった内容が他の弁護士の先生方の参考になって,他の弁護士の仕事ぶりが更に良くなることに繋がってくれたらいいな
という思いです。
以前,「相手方に弁護士がつくのは不利なこと?」というブログ記事でも書いたのですが,
双方の弁護士が両方ともちゃんと仕事をする
ということが,双方の当事者にとって,世の中にとって,一番良いことなのです(ただ,この点は少し「深い」話ですが)。
そうそう。
この研修会は,参加者への配付資料と,講演中,パネルディスカッション中にプロジェクターで映したパワーポイントの内容が,とても素晴らしかったのです。
その準備をして下さったのは,知る人ぞ知る兵庫県弁護士会の鬼才,中村真先生でした。
中村先生のブログ↓
http://nakamuramakoto.blog112.fc2.com/
(このブログは面白いし,絵がたくさんあります。これをリンクしてしまうと,ほとんど字ばっかりの私のブログにだれも戻ってこないのではないか,と危惧しますが,それならそれでやむを得ないことです)
中村先生,ブログはユーモアに富んで面白いですが,仕事ぶりはすごく真面目な先生で,研修会のテーマについて,とても分かりやすく見やすい,そして核心をズバッと突いた資料・パワーポイントを用意して下さいました。
とまあ,こういうわけで,(意外と)珍しい裁判所と弁護士会の交流(研修会)というのは,
裁判をより円滑にするため
裁判所と弁護士との間・弁護士同士との間で,「行き違い」「誤解」をなくして,事件の真の姿に近づけるようにするため
ひいては
交通事故の被害に遭われた方が適正な賠償額を,早く得ることができるようになるため
に,有意義な機会だと思います。
私としては,こういう研修会を定期的に続けられたらいいな,と思っています。
神戸シーサイド法律事務所 弁護士 村上英樹
2017-04-14 19:07
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