きっと元気になる!「微分」の魔法~新・高校生の皆さんへ [「微分」の魔法]
春です。
ということで,唐突ですが,いよいよこの春から高校生,という方に向けこの記事を書きます。
ジャスト高1でなくても,中高生,大学生の方がこの記事を見つけて読んで下さったとき,
きっと,読む前よりも元気が出る!
自分は大丈夫だ!
と思えるように,学生の皆さんに私が伝えたいことを書いてみたいと思います。
《1》 はじめに
中高大の学生時代というのは,初恋や部活での感動体験など,そのときにしかないような素敵なこともたくさんありますが,日々の暮らしはかなり大変な時期です。
何が大変か,というと,
他の子のことが気になって仕方がない
ということ,「他人との比較」です。
一言で言えば,本当は,
他人との比較は幸福の敵
です。
なので,自分と他人を比較しないのが幸せに暮らすコツなのですが,いやでも「他人と比較」してしまうことがいっぱいです。
学校の成績,模試の成績はモロに「他人との比較」です。
部活も,試合やレギュラー争い,文化部なら「コンクール」など,あらゆるところに「他人との比較」の要素だらけです。
恋愛もそう。「あの子を狙っている男の中で,一番になれるか?」「あの子にふさわしい自分か?」気になれば,もう「他人との比較」です。
先に言っておくと,
こういうことを気にしない
俺(私)は俺(私)でいい
という人は素晴らしい。そのままで何の問題も無いと思います。
でも,どうしても「他人と比較」してしまって苦しくなることが多い,凹んでしまうことが多い人に向けの「魔法」があります。
この「魔法」を知って欲しい,というのが今日の記事です。
その「魔法」の正体は,高校で勉強する「数学」の中にあります。
2017年現在の過程では「数学Ⅱ」~に入っている
微分
です。
「微分・積分」の「微分」です。
私は今でも「微分」に救われています。
《2》 「微分」は「心の魔法」
日頃,こんなことが気になりませんか?
・ ○○さんはあんなに成績が良い。それに比べて点数が低い自分はダメだ。
・ あいつはイケメンでモテモテ。それにひきかえ自分は・・・
・ チームメイトは野球がめちゃくちゃ上手い。自分は毎日練習しても・・・
・ ○○さんは「女子力」が高く,すごくおしゃれ。なのに,私は・・・
こういうことが「憂鬱」の原因になるとき,
「微分」
の考え方を使うのです。
そうすれば,かなり苦痛は和らぎ,人によっては元気が出てきます。
多くの新高校1年生の方は「微分」を知らないでしょう。
2年生くらいで学習することが多いと思いますが,「微分」は簡単に言えば,
今,誰かに負けていたとしても大丈夫
ということが分かる「数学」です。
よく「微分・積分」といえば「理系」「数学」の「頭が痛くなる」分野だと紹介されますが,それで食わず嫌いになるのはもったいないです。
できれば教科書やチャート式で「微分」を勉強して欲しいですが,将来の進路などによっては,数学をそこまで勉強しない人もいると思います。
文系であまり数学をやらなくていい,という人でも,
ストーリー(お話し)としての微分
だけでも知って,「他人との比較」の苦痛から出来るだけフリーになって,楽しく生きてもらえたら,と思います。
「微分」を知らない人にも分かるように説明します。
たとえば,私が高校一年生。
部活で(これまで経験のない)バスケットボールを始めた,としましょう。
スラムダンクの桜木花道みたいな感じです。
そのとき,当然チームメイトには新入生でもバスケ経験者がいます。
能力値をゲームみたいに数値で表しましょう。
最初の時点で
私 10
チームメイト(新入生だけど経験者) 200
部活のキャプテン(スラムダンク「ゴリ」みたいな人) 1000
NBA選手 2000
だったとします。
この時点だけみると絶望的な力の差ですし,練習をしたとしても,自分が試合に出るレベルではない状態はしばらく続きます。
たとえば,真面目に部活をやって1ヶ月,2ヶ月経っても,「経験者」との差は簡単には埋まらないし,おそらく「試合には使えねえ」レベルには違いないでしょう。
これがスラムダンクの桜木花道の例ではほどなくスタープレーヤーになるわけですが,普通,そうではありません。
何ヶ月経っても,2年生になっても,やっぱり中学以前の「経験者」たちからレギュラーを奪えない・・・
ということはあり得ることです。
「いつかは」と思っても,発展途上で「自分が誰かに劣っている」と思ってしまうときは,
永遠にこの状態が続くのではないか
とさえ思えるのです。
ここで魔法を使います。
「微分」は,
今この瞬間の「伸び率」
を「見える化」する「数学」です。
バスケの例で「微分」をすると,例えば,
私(の伸び率,以下同じ) 5
チームメイト 3
キャプテン 2
NBA選手 1
だ,ということが明らかになります(今この瞬間,上の数字の勢いで伸びている,ということが見えます)。
文章で言えば,
「バスケをやっている人はみんなそれぞれに頑張っているから,私以外も少しずつ上手くなっている。
でも,この瞬間,一番『伸び』ているのは私だ。」
ということです。
このとき,数値でも文章でも,
元々の実力差
は消えています。
そう,「微分」すると,
元々の量がどれだけ大きいか小さいか
の要素は消えるのです。
そして,
今この瞬間,どれだけ増えているか,減っているか
だけが残るのです。
今の時点での「他人との比較」が気になったとき,私は「微分」を使います。
「微分」は魔法です。
「微分」した瞬間,野球で言えば,私とイチロー選手の「実力差」は一瞬にして消えて見えなくなります。
今この瞬間,私のほうがイチロー選手よりも,上達度合いが高ければ,
私>イチロー選手
となります。
どうです?
「微分」した世界では,頑張れば,すぐに,今日にでも,「イチロー選手や大谷選手を超えている」状態が目に見えるのです。
言葉で言えば,
「今の実力差など気にするな!少しでも『伸びている』自分であればそれでいいんだよ」
ということなのですが,
「そう言われても,そんな気になれないんだよなあ…」
という人は多いでしょう。
しかし,「微分」は上の言葉と同じことををもっとクリアな形で見せてくれます。
学生諸君みんなが,「微分」を使って,
「今,この瞬間『自分を磨いている』のなら,私は,イチローにも大谷にも,福山雅治にも,羽生結弦にも負けない」
と思って自信を持って生きていけます。
魔法です。
《3》 「頑張っても上達しない」悩みには2回の「微分」
さて,「微分」すれば,
実力差は関係なく,「伸び率」だけの問題になる
と言いました。
でも,次はこんな悩みが出てきます。
私は,(勉強,スポーツ,音楽など)やってもやっても「伸び」ない
○○さんはものすごいスピードで上達しているのに
という悩みです。
「伸び率」「上達」度合いも他人とついつい比較してしまいます。
何事にも,人には色んなタイプがあって,
何でもやり始めるとすぐにある程度上達してしまう人
最初の段階に時間がかかり,それを乗り越えてから上達のペースが上がる人
などあります。
この場合,2回「微分」の魔法を使います。
1回目の微分 「実力差」は消えて,「伸び率」がみえる。
2回目の微分 「伸び率」も消えて,「『伸び率』の『伸び率』」がみえる。
「『伸び率』の『伸び率』」ではちょっと分かりにくいので,ちょっと「たとえ」を使って,
「エンジンの掛かり具合」
と表現しましょう。
2回「微分」すると,
「他の人が自分よりグングン伸びているけれどもそれは気にしない。
自分は今どんどん『エンジンがかかって』きている。」
ということになります。
スロースターターの人でも大丈夫!です。
《4》 もっと「微分」!~応用編
以上は,数学の「微分」の考え方に割と忠実な捉え方です。
が,「心の魔法」としての「微分」はもっと緩やかに考えても良いと思います(数学でいう厳密な意味とは少し違ってきますが,ものの「たとえ」として考え方を応用します)。
「今の実力」
↓ 微分
「伸び」「上達」「成長」の度合い
↓ 微分
「がんばり」「努力」
↓ 微分
「向上心」「上手くなりたい気持ち」
↓ 微分
「心の栄養」「元気」
なお,「微分」とセットになっているのが「積分」です。
これは「微分」と逆方向の矢印になります。
心の魔法としての「微分」の使い方は次の通りです。
1 「今の実力」で○○さんに負けていることが気になれば,「微分」する。
「今の実力」は関係なく,自分がどれだけ「成長している」かだけが見える。
「自分は確実に成長している」と思えたらOK。大丈夫。
「成長しているんだろうか?」と疑問が湧き元気になれなければ,2へ。
2 2回目の「微分」をする。
「成長」のもととなる,「がんばり」が姿をあらわす。
「今,自分は,『がんばっている』」と思えたらOK。
その「がんばり」は「成長」に,「実力」向上につながるはず。
「がんばりが足りないなあ」「がんばれてないなあ」という場合は3へ。
3 3回目の「微分」をする。
今「がんばれ」ているかどうかは関係なくなります。
「向上心」「上手くなりたい気持ち」にスポットが当たります。
「向上心」「上手くなりたい気持ち」はある,なら大丈夫。
その気持ちがあれば「努力をする」ことができる。
もしかしたら,「向上心」はあるけど「努力の仕方がわからない」のかも知れません。
大丈夫です。
「気持ち」があればスピードはゆっくりでも「何を努力したら良いか」を学びます。
例えば,「歌が上手くなりたい」と思っていたら,「歌うま」情報にアンテナを張りますから。
でも「向上心」「上手くなりたい気持ち」も足りないなあ…という人は4へ。
4 4回目の「微分」
今「向上心」が湧いているかどうか? は度外視。
「心の栄養」「元気」にスポットを当てます。
俺は元気だ!というなら大丈夫。
いろんなきっかけで「向上心」も湧いてきますよ。
「心の栄養」「元気」が足りないなあ…という場合は,さらに「微分」ですが,ここは対処法を書いてしまいましょう。
やっぱり,睡眠とか,(体の)栄養とか,自分の「心の栄養」「元気」になるような毎日を心掛けるということになります。
一気に「向上心」ある自分,「がんばれ」る自分に変わろうと考えても,そうなるわけではありません。
毎日,自分の状態が良くなるように「心の栄養」を大切に生きてみましょう。
それが,積み重なれば(「微分」の反対の「積分」で),いずれ「向上心」に,「努力」に,「成長」に,そして「実力」につながります。
どんな状態の人でも,自分が何を心掛ければ良いか分かるまで「微分」すればいいのです。
そうすれば「俺はダメだ」という気持ちは消えて,「未来のために自分が今できること」が見えてきます。
他人との比較に囚われていた気持ちは,1回目の「微分」で消えて無くなります。
《5》 私は毎日「微分」を使っています!
私は,一応「文系」に分類される仕事をしていますから,日頃「微分,積分」そのものを仕事そのもので使うことは滅多にありません。
しかし,考え方のうえで「微分」「積分」は毎日使っています。
「微分」「積分」の考え方で自分を整え,思い描くものをどうやって実現するかを考えています。
特に「微分」は,他人との比較にとらわれず,「今自分がどうあるべきか?」を見定めることに役に立ちます。
計算としての「微分」「積分」などは,特にAIも発達しますますコンピューター社会になるこれから,人間がわざわざ身につける必要もない,といわれるかも知れません。
しかし,それでも,私は,理系・文系や進路,大学入試の科目選択がどうであっても,できるだけ全ての高校生が,
「微分」「積分」というのを自分でやってみる(勉強する)
ことはすごく意味があると思います。
それは,数学の点数ということではなくて,生きる上で勇気が湧く「心の魔法」になるからです。
このたび,大きな本屋さんで,「微分・積分」について,読み物として読める,分かりやすい本がないかなあ…と探してみると,こんな本がありました。
この本なら,新・高校生でも,パラパラ読んで(分からない部分は余り気にせずに読み進めて),「だいたい微分積分ってこんなもんかあ」と思えそうです。
他にも,易しい「微分積分」の本は色々あると思います。
さて,「微分」すれば,私とイチロー選手の野球の実力差も消える,といいました。
その通りなのですが,もっと言えば,イチロー選手のような「『すごい』中でも『すごい』人」は,「微分」しても,「微分」しても「すごい」。それが本当にすごい,と分かるのも「微分」です。
どういうことかと言えば,
「今,メジャーであれだけの成績を残している」
↓ 微分
「今なお成長し続けている」
↓ 微分
「毎日トレーニングを欠かさない」「集中を欠かさない」
↓ 微分
「どこまでも,という向上心」
↓ 微分
「熱い魂」
という感じです。
これをみて,「やっぱりイチローは違うわ」と思う人もいるかも知れませんが,一番上の「今の成績」はともかく,その下の部分は誰しもが,少なくとも「見習う」ことは可能です。
だから,「微分」は,雲の上にいる「すごい人」の在り方に近づく「魔法」ともいえます。
《6》 最後に
高校生くらいだと,勉強の成績,スポーツの実力などそのものも気になるかも知れませんが,もっと,根本的には,
自分がどれだけ魅力的な存在か
(かっこいい,かわいい,という言葉も大体同じ意味で使われることが多いですね)
ということが気になるのではないでしょうか。
やはり,それを他人と比較してしまって悩んだりするのではないでしょうか。
分かりやすく言えば,15~18歳でテレビに出ているアイドルなどに比べて「自分は地味だなあ」と感じてしまったり…
努力しても,その人の「顔かたち」が今日寝て明日起きたときに劇的に変わっているということはないでしょう。
しかし,やっぱりこれも「微分」して,
今日を,より魅力的な自分になるために過ごす
ことを心掛けていけばいいだけのことです。
そして,それができる時間は,高校生の年齢からすればものすごく長いのです。
この私,41歳でも,「まだまだこれから,毎日の努力の積み重ね」と思って暮らしています。
皆さんと同い年くらいでテレビに出ている,かっこよく見えるアイドルだって,人生一直線ではいかないのです。
皆さんが,「今の他人との比較」を「微分」によって消し去って,「今の自分の成長」に集中して毎日を過ごせば,いずれ必ず,今からは想像もつかないくらい「とても魅力的な人」になれます。
「微分」すれば,
焦らなくてもいい
いつでも,進歩することに集中していたらいい
ということが,頭の中にクリアに見えてきます。
「クリアに見えている」ことの効果は,実はものすごいです。
春なので,新・高校生向けに書きましたが,中高生,大学生,社会人その他どなたでも,読んで頂いた方が,「微分」の考え方を使って,前向きな生活を送り,元気になってもらえれば幸いです。
神戸シーサイド法律事務所 弁護士 村上英樹
ということで,唐突ですが,いよいよこの春から高校生,という方に向けこの記事を書きます。
ジャスト高1でなくても,中高生,大学生の方がこの記事を見つけて読んで下さったとき,
きっと,読む前よりも元気が出る!
自分は大丈夫だ!
と思えるように,学生の皆さんに私が伝えたいことを書いてみたいと思います。
《1》 はじめに
中高大の学生時代というのは,初恋や部活での感動体験など,そのときにしかないような素敵なこともたくさんありますが,日々の暮らしはかなり大変な時期です。
何が大変か,というと,
他の子のことが気になって仕方がない
ということ,「他人との比較」です。
一言で言えば,本当は,
他人との比較は幸福の敵
です。
なので,自分と他人を比較しないのが幸せに暮らすコツなのですが,いやでも「他人と比較」してしまうことがいっぱいです。
学校の成績,模試の成績はモロに「他人との比較」です。
部活も,試合やレギュラー争い,文化部なら「コンクール」など,あらゆるところに「他人との比較」の要素だらけです。
恋愛もそう。「あの子を狙っている男の中で,一番になれるか?」「あの子にふさわしい自分か?」気になれば,もう「他人との比較」です。
先に言っておくと,
こういうことを気にしない
俺(私)は俺(私)でいい
という人は素晴らしい。そのままで何の問題も無いと思います。
でも,どうしても「他人と比較」してしまって苦しくなることが多い,凹んでしまうことが多い人に向けの「魔法」があります。
この「魔法」を知って欲しい,というのが今日の記事です。
その「魔法」の正体は,高校で勉強する「数学」の中にあります。
2017年現在の過程では「数学Ⅱ」~に入っている
微分
です。
「微分・積分」の「微分」です。
私は今でも「微分」に救われています。
《2》 「微分」は「心の魔法」
日頃,こんなことが気になりませんか?
・ ○○さんはあんなに成績が良い。それに比べて点数が低い自分はダメだ。
・ あいつはイケメンでモテモテ。それにひきかえ自分は・・・
・ チームメイトは野球がめちゃくちゃ上手い。自分は毎日練習しても・・・
・ ○○さんは「女子力」が高く,すごくおしゃれ。なのに,私は・・・
こういうことが「憂鬱」の原因になるとき,
「微分」
の考え方を使うのです。
そうすれば,かなり苦痛は和らぎ,人によっては元気が出てきます。
多くの新高校1年生の方は「微分」を知らないでしょう。
2年生くらいで学習することが多いと思いますが,「微分」は簡単に言えば,
今,誰かに負けていたとしても大丈夫
ということが分かる「数学」です。
よく「微分・積分」といえば「理系」「数学」の「頭が痛くなる」分野だと紹介されますが,それで食わず嫌いになるのはもったいないです。
できれば教科書やチャート式で「微分」を勉強して欲しいですが,将来の進路などによっては,数学をそこまで勉強しない人もいると思います。
文系であまり数学をやらなくていい,という人でも,
ストーリー(お話し)としての微分
だけでも知って,「他人との比較」の苦痛から出来るだけフリーになって,楽しく生きてもらえたら,と思います。
「微分」を知らない人にも分かるように説明します。
たとえば,私が高校一年生。
部活で(これまで経験のない)バスケットボールを始めた,としましょう。
スラムダンクの桜木花道みたいな感じです。
そのとき,当然チームメイトには新入生でもバスケ経験者がいます。
能力値をゲームみたいに数値で表しましょう。
最初の時点で
私 10
チームメイト(新入生だけど経験者) 200
部活のキャプテン(スラムダンク「ゴリ」みたいな人) 1000
NBA選手 2000
だったとします。
この時点だけみると絶望的な力の差ですし,練習をしたとしても,自分が試合に出るレベルではない状態はしばらく続きます。
たとえば,真面目に部活をやって1ヶ月,2ヶ月経っても,「経験者」との差は簡単には埋まらないし,おそらく「試合には使えねえ」レベルには違いないでしょう。
これがスラムダンクの桜木花道の例ではほどなくスタープレーヤーになるわけですが,普通,そうではありません。
何ヶ月経っても,2年生になっても,やっぱり中学以前の「経験者」たちからレギュラーを奪えない・・・
ということはあり得ることです。
「いつかは」と思っても,発展途上で「自分が誰かに劣っている」と思ってしまうときは,
永遠にこの状態が続くのではないか
とさえ思えるのです。
ここで魔法を使います。
「微分」は,
今この瞬間の「伸び率」
を「見える化」する「数学」です。
バスケの例で「微分」をすると,例えば,
私(の伸び率,以下同じ) 5
チームメイト 3
キャプテン 2
NBA選手 1
だ,ということが明らかになります(今この瞬間,上の数字の勢いで伸びている,ということが見えます)。
文章で言えば,
「バスケをやっている人はみんなそれぞれに頑張っているから,私以外も少しずつ上手くなっている。
でも,この瞬間,一番『伸び』ているのは私だ。」
ということです。
このとき,数値でも文章でも,
元々の実力差
は消えています。
そう,「微分」すると,
元々の量がどれだけ大きいか小さいか
の要素は消えるのです。
そして,
今この瞬間,どれだけ増えているか,減っているか
だけが残るのです。
今の時点での「他人との比較」が気になったとき,私は「微分」を使います。
「微分」は魔法です。
「微分」した瞬間,野球で言えば,私とイチロー選手の「実力差」は一瞬にして消えて見えなくなります。
今この瞬間,私のほうがイチロー選手よりも,上達度合いが高ければ,
私>イチロー選手
となります。
どうです?
「微分」した世界では,頑張れば,すぐに,今日にでも,「イチロー選手や大谷選手を超えている」状態が目に見えるのです。
言葉で言えば,
「今の実力差など気にするな!少しでも『伸びている』自分であればそれでいいんだよ」
ということなのですが,
「そう言われても,そんな気になれないんだよなあ…」
という人は多いでしょう。
しかし,「微分」は上の言葉と同じことををもっとクリアな形で見せてくれます。
学生諸君みんなが,「微分」を使って,
「今,この瞬間『自分を磨いている』のなら,私は,イチローにも大谷にも,福山雅治にも,羽生結弦にも負けない」
と思って自信を持って生きていけます。
魔法です。
《3》 「頑張っても上達しない」悩みには2回の「微分」
さて,「微分」すれば,
実力差は関係なく,「伸び率」だけの問題になる
と言いました。
でも,次はこんな悩みが出てきます。
私は,(勉強,スポーツ,音楽など)やってもやっても「伸び」ない
○○さんはものすごいスピードで上達しているのに
という悩みです。
「伸び率」「上達」度合いも他人とついつい比較してしまいます。
何事にも,人には色んなタイプがあって,
何でもやり始めるとすぐにある程度上達してしまう人
最初の段階に時間がかかり,それを乗り越えてから上達のペースが上がる人
などあります。
この場合,2回「微分」の魔法を使います。
1回目の微分 「実力差」は消えて,「伸び率」がみえる。
2回目の微分 「伸び率」も消えて,「『伸び率』の『伸び率』」がみえる。
「『伸び率』の『伸び率』」ではちょっと分かりにくいので,ちょっと「たとえ」を使って,
「エンジンの掛かり具合」
と表現しましょう。
2回「微分」すると,
「他の人が自分よりグングン伸びているけれどもそれは気にしない。
自分は今どんどん『エンジンがかかって』きている。」
ということになります。
スロースターターの人でも大丈夫!です。
《4》 もっと「微分」!~応用編
以上は,数学の「微分」の考え方に割と忠実な捉え方です。
が,「心の魔法」としての「微分」はもっと緩やかに考えても良いと思います(数学でいう厳密な意味とは少し違ってきますが,ものの「たとえ」として考え方を応用します)。
「今の実力」
↓ 微分
「伸び」「上達」「成長」の度合い
↓ 微分
「がんばり」「努力」
↓ 微分
「向上心」「上手くなりたい気持ち」
↓ 微分
「心の栄養」「元気」
なお,「微分」とセットになっているのが「積分」です。
これは「微分」と逆方向の矢印になります。
心の魔法としての「微分」の使い方は次の通りです。
1 「今の実力」で○○さんに負けていることが気になれば,「微分」する。
「今の実力」は関係なく,自分がどれだけ「成長している」かだけが見える。
「自分は確実に成長している」と思えたらOK。大丈夫。
「成長しているんだろうか?」と疑問が湧き元気になれなければ,2へ。
2 2回目の「微分」をする。
「成長」のもととなる,「がんばり」が姿をあらわす。
「今,自分は,『がんばっている』」と思えたらOK。
その「がんばり」は「成長」に,「実力」向上につながるはず。
「がんばりが足りないなあ」「がんばれてないなあ」という場合は3へ。
3 3回目の「微分」をする。
今「がんばれ」ているかどうかは関係なくなります。
「向上心」「上手くなりたい気持ち」にスポットが当たります。
「向上心」「上手くなりたい気持ち」はある,なら大丈夫。
その気持ちがあれば「努力をする」ことができる。
もしかしたら,「向上心」はあるけど「努力の仕方がわからない」のかも知れません。
大丈夫です。
「気持ち」があればスピードはゆっくりでも「何を努力したら良いか」を学びます。
例えば,「歌が上手くなりたい」と思っていたら,「歌うま」情報にアンテナを張りますから。
でも「向上心」「上手くなりたい気持ち」も足りないなあ…という人は4へ。
4 4回目の「微分」
今「向上心」が湧いているかどうか? は度外視。
「心の栄養」「元気」にスポットを当てます。
俺は元気だ!というなら大丈夫。
いろんなきっかけで「向上心」も湧いてきますよ。
「心の栄養」「元気」が足りないなあ…という場合は,さらに「微分」ですが,ここは対処法を書いてしまいましょう。
やっぱり,睡眠とか,(体の)栄養とか,自分の「心の栄養」「元気」になるような毎日を心掛けるということになります。
一気に「向上心」ある自分,「がんばれ」る自分に変わろうと考えても,そうなるわけではありません。
毎日,自分の状態が良くなるように「心の栄養」を大切に生きてみましょう。
それが,積み重なれば(「微分」の反対の「積分」で),いずれ「向上心」に,「努力」に,「成長」に,そして「実力」につながります。
どんな状態の人でも,自分が何を心掛ければ良いか分かるまで「微分」すればいいのです。
そうすれば「俺はダメだ」という気持ちは消えて,「未来のために自分が今できること」が見えてきます。
他人との比較に囚われていた気持ちは,1回目の「微分」で消えて無くなります。
《5》 私は毎日「微分」を使っています!
私は,一応「文系」に分類される仕事をしていますから,日頃「微分,積分」そのものを仕事そのもので使うことは滅多にありません。
しかし,考え方のうえで「微分」「積分」は毎日使っています。
「微分」「積分」の考え方で自分を整え,思い描くものをどうやって実現するかを考えています。
特に「微分」は,他人との比較にとらわれず,「今自分がどうあるべきか?」を見定めることに役に立ちます。
計算としての「微分」「積分」などは,特にAIも発達しますますコンピューター社会になるこれから,人間がわざわざ身につける必要もない,といわれるかも知れません。
しかし,それでも,私は,理系・文系や進路,大学入試の科目選択がどうであっても,できるだけ全ての高校生が,
「微分」「積分」というのを自分でやってみる(勉強する)
ことはすごく意味があると思います。
それは,数学の点数ということではなくて,生きる上で勇気が湧く「心の魔法」になるからです。
このたび,大きな本屋さんで,「微分・積分」について,読み物として読める,分かりやすい本がないかなあ…と探してみると,こんな本がありました。
この本なら,新・高校生でも,パラパラ読んで(分からない部分は余り気にせずに読み進めて),「だいたい微分積分ってこんなもんかあ」と思えそうです。
他にも,易しい「微分積分」の本は色々あると思います。
面白いほどよくわかる微分積分―微分積分の理解こそ数学的センスを磨くために役立つ! (学校で教えない教科書)
- 作者:
- 出版社/メーカー: 日本文芸社
- 発売日: 2004/10
- メディア: 単行本
さて,「微分」すれば,私とイチロー選手の野球の実力差も消える,といいました。
その通りなのですが,もっと言えば,イチロー選手のような「『すごい』中でも『すごい』人」は,「微分」しても,「微分」しても「すごい」。それが本当にすごい,と分かるのも「微分」です。
どういうことかと言えば,
「今,メジャーであれだけの成績を残している」
↓ 微分
「今なお成長し続けている」
↓ 微分
「毎日トレーニングを欠かさない」「集中を欠かさない」
↓ 微分
「どこまでも,という向上心」
↓ 微分
「熱い魂」
という感じです。
これをみて,「やっぱりイチローは違うわ」と思う人もいるかも知れませんが,一番上の「今の成績」はともかく,その下の部分は誰しもが,少なくとも「見習う」ことは可能です。
だから,「微分」は,雲の上にいる「すごい人」の在り方に近づく「魔法」ともいえます。
《6》 最後に
高校生くらいだと,勉強の成績,スポーツの実力などそのものも気になるかも知れませんが,もっと,根本的には,
自分がどれだけ魅力的な存在か
(かっこいい,かわいい,という言葉も大体同じ意味で使われることが多いですね)
ということが気になるのではないでしょうか。
やはり,それを他人と比較してしまって悩んだりするのではないでしょうか。
分かりやすく言えば,15~18歳でテレビに出ているアイドルなどに比べて「自分は地味だなあ」と感じてしまったり…
努力しても,その人の「顔かたち」が今日寝て明日起きたときに劇的に変わっているということはないでしょう。
しかし,やっぱりこれも「微分」して,
今日を,より魅力的な自分になるために過ごす
ことを心掛けていけばいいだけのことです。
そして,それができる時間は,高校生の年齢からすればものすごく長いのです。
この私,41歳でも,「まだまだこれから,毎日の努力の積み重ね」と思って暮らしています。
皆さんと同い年くらいでテレビに出ている,かっこよく見えるアイドルだって,人生一直線ではいかないのです。
皆さんが,「今の他人との比較」を「微分」によって消し去って,「今の自分の成長」に集中して毎日を過ごせば,いずれ必ず,今からは想像もつかないくらい「とても魅力的な人」になれます。
「微分」すれば,
焦らなくてもいい
いつでも,進歩することに集中していたらいい
ということが,頭の中にクリアに見えてきます。
「クリアに見えている」ことの効果は,実はものすごいです。
春なので,新・高校生向けに書きましたが,中高生,大学生,社会人その他どなたでも,読んで頂いた方が,「微分」の考え方を使って,前向きな生活を送り,元気になってもらえれば幸いです。
神戸シーサイド法律事務所 弁護士 村上英樹
2017-03-24 16:50
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