【5完】高校への出前授業「18歳選挙権」行ってきました~その5 [だから,今日より明日(教育)]
※ このシリーズ中に「スマホで読みにくい」という指摘を受け、レイアウト変更しました。
スマホでも読みやすくなりました(横幅が一画面におさまってくれました)。
出前授業続きです。
この記事でレポ終わりです。
「主権者教育」は始まったばかり。まだ、試行錯誤の段階です。
これから、弁護士会も私も「主権者教育」をやっていくだろうし、もっともっといいやり方がないかを探求していくと思います。また、学校の先生も「主権者教育」の研究・準備を始められていると思います。
今回の私の経験が、私自身の、また、「主権者教育」に関わるどなたかにとって、何らかの役に立てばうれしいと思って書きました。
また、中高生、大学生、10代、20代の方がこのレポ記事を見つけて、「選挙について、同年代の人たちはこんなことを考えているのか。自分だったらこうだな・・・」という風に読み進めてもらえたら、最上の喜びです。
(ここまで)
その1 http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16
その2 http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16-1
その3 http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2016-12-17
その4 http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2016-12-17-1
最初の選挙どうする?の話、民主主義と少数意見の話などをしてきました。
最後は、実際の政治テーマ2つについて考えてもらいました。
政治テーマ その1 大学授業料を無償にする政策
Q1 シンプルに、「大学授業料を無償にする政策」に賛成か反対か?
を最初にききました。
賛成が大多数。
大学進学を予定している生徒さんが多いこともあるし、これ自体は良いことに違いありませんね。
しかし、問いを次のように変えてみると・・・
Q2 「大学授業料を無償にする」+「消費税を8%→12%に上げる」
今度は、反対のほうが多数派になりました。
賛成の方も一定数いました。
訊いてみると・・・
反対意見
「大学進学するので自分はありがたいけど、進学しない人にとっては損では」
「自分でお金を払っているからこそちゃんと勉強しようと思う」
賛成意見
「大学教育を受けられる人が多くなることは社会のためになると思う」
どれも、それぞれに理由のある意見。
政治問題というのは、絶対の正解があるわけではなく、どちらにも理由がある、というものだとわかります。
その中で、「自分は何を重要視したいか」を考えて、自分の意見を言う、というものです。
政治問題を考えることは、自分の価値観と向き合うことでもあります。
政治に参加する人(主権者)としては、次の2つがどちらも必要です。
自分と違う考え、価値観があることを認める(反対の意見も尊重する)。
自分の意見を言う。
補足すると、「どれだけ高い税金を取るか」と「教育、福祉にどれくらい国がお金を出してくれるか(自己負担が減るか)」はかなりリンクしています。
北欧(フィンランド、スウェーデンなど)のように「税金は高いが教育・医療はほとんどタダ」という国
アメリカのように「税金は安いが教育・医療は自己負担」という国
という「国のデザインの仕方の違い」に関係します。北欧、アメリカの中間のデザインの国が多いのですが、その中でもどっちの色合いが濃いか、国によって様々です。
この大学授業料の話も、深く考えると、日本が「国のデザインの仕方」としてどういう国を目指すのがいいのか、という大きなテーマに関係してきます。
政治テーマ その2 カジノ解禁?
正直言って、この出前授業の企画をはじめたころ(11月初旬)には、私は「カジノ法案」が今国会で成立するということを全く考えていませんでした。
ところが、何と、この出前授業を行った15日未明に「カジノ法案」(カジノを中心とした統合型リゾート施設(IR)整備を推進する法案)が国会で成立した、というすごいタイミングになりました。
質問 今まで「賭博」として違法とされていたカジノを合法化する政策に賛成ですか?
会場の答えは賛否分かれました。
生徒さんは反対のほうが多かったでしょうか。
壇上の人に聞いてみました。
反対意見
「治安が悪くなる。ギャンブル依存症が心配。」
賛成意見
「うまくいけば経済活性化につながる。ギャンブル依存症対策をしっかりやれば大丈夫だと思う。」
これは、今回の国会での賛成意見・反対意見とも同じです。大人とそん色ない議論。
ここで「議論の切り口」「頭の整理の仕方」のテクニックを2つ紹介しました。
切り口1 「目的と手段」
これを意識して議論する。
カジノ反対意見の生徒さんに、この切り口で意見を述べてもらいました。
「経済振興、外国人客を呼び込みたい、という目的は分かる。
しかし、その手段として、何もカジノのような危険なものでなくてもよいのではないか。
日本の『おもてなし精神』をさらに活かす、観光資源を活かすなどの方法で目的を達成できると思う。」
こうなると普通レベルの大人の意見よりも洗練された感じがします。
切り口2 「必要性と許容性」
これは、どちらかいえば、賛成派とか、何か政策などを提案する人向けかも知れません。
カジノ賛成、推進意見として、
「今、経済活性化の起爆剤が必要だ」 ・・・ 必要性
「治安の悪化、ギャンブル依存症が心配されるが、それにはこういう対策があるから大丈夫」 ・・・ 許容性
という論じ方をする、ということです。
上の賛成意見の生徒さんは、議論の組み立て方として、初めからこの「必要性と許容性」に触れてくれています。組み立てがしっかりできる、というのは論理力があるということですから、とても頼もしいです。
今回は討論してくれた生徒さん全員の発言のレベルの高さには本当に感心しました。高校生にはこれだけの論理力・表現能力が備わっているのだな、と改めて感じました。
また、「必要性と許容性」は「説得」のテクニックというよりも、何かの政策をやろうとする人のチェックポイントという意味もあります。
何らかのアイデア(ここではカジノ)があったとして、「必要性」があるか、「許容性」があるかを両方ともしっかり検討して提案するかどうかを決める、というチェックポイントです。
このチェックが甘いと、提案しても、みんなに賛成してもらえなかったり、痛いところを突かれるとボロボロになってしまったりします。
上のように政治テーマ2つを考えてもらいました。本当はもっとじっくりやりたかったですが、時間が押していたので短時間になってしまいました。
最後に、
質問 友達同士で政治の話をしますか?
これは、ほとんど「しない」という人(ブルーの札)が圧倒的多数でした。
これは今の大人も近い状況なのだと思います。
しかし、今回の授業、討論でやったように、政治について
「しゃべることは、考えること」
です。
確かに、政治の話は価値観の話でもあるので、自分の正直な価値観をそのまま出すのは抵抗がある場面もあります。
将来、母親になって、子供同士が幼稚園で一緒のいわゆる「ママ友」同士の付き合いの中で、
何党を支持しているのか
などの話題は避ける人が多いでしょう。
できれば、政治に対する考えは違っても親友は親友、という付き合いが理想です。私には、親友でありながら、政治に対する発想は正反対で、2人で飲んだらつい議論してしまう、という人もいます。
ただ、そういう付き合いができる人ばかりでもないし、集団によって「多数派」が違ったりして、どうしても政治の話題は避けたほうがいい、と考えることも実際ありますね。
学校で、政治テーマについての議論(ディスカッション)をするとき、「自分の政治思想を明らかにすることに抵抗がある」場合には、次のような方法があります。
例えば、「憲法9条を改正して、軍隊を保持することを明記することに賛成か、反対か」というくらい主義主張が分かれるテーマについて、
教室の右半分 賛成派
教室の左半分 反対派
と役割を決めて、(自分も元々の考えは別として)その役割になりきって議論する、というやり方です。
外国の学校ではこういうディスカッション形式の学びをたくさんやっているそうです。
自分の意見を言うトレーニング
理屈を考えるトレーニング
反対側の意見の理由、発想を想像するトレーニング
何が対立点か見極めるトレーニング
になると思います。
今、高校では、「主権者教育」(生徒が政治の担い手になれるようにする教育)をしなければならないと言われていますが、同時に教育は「政治的中立」であるようにも求められています。
先生が一方の意見を押し付けてはならない、ということですが、政治のテーマを深く掘り下げるならば、どうしても何らかの価値観が出てくるし、ときに現状の政治の批判になることもあると思います。
ここが、現場の先生方を悩ませることではないか、と思います。
そんな中でも、上に紹介したような、役割を決めての「ディスカッション」という方法は、高校などの教育現場で取り入れやすい方法ではないでしょうか(すでに取り入れられている先生方も多くおられるでしょう)。
生徒はどちら側の意見も自由に言いやすいし、先生もコメントしやすいと思います。
とにかく、政治テーマについて(他の何ごとも本質は同じですが)、
しゃべることは考えること
です、ということをお伝えして時間になりました。
(このレポート記事結び)
神戸鈴蘭台高校
90分 全校生徒 1000人 体育館
の弁護士会からの出前授業「18歳選挙権」は以上のとおりでした。
このレポート記事のうち【4】【5】は、実際にしゃべったことに、文章での解説をかなり足しています。
今回の出前授業までの準備(講師である私に関するもの)は次の通りでした。
10月ころに企画が決まる。
11月下旬 高校での打ち合わせ 私と先生、(当日壇上で討論する)生徒さん 1時間半くらい
この打ち合わせに基づいて、当日の計画、テーマ設定を決める。
12月5日ころ 私の作成した「事前課題」プリントを全校生に配布してもらう。
「事前課題」は、 2016参院選での投票率(18,19歳、そのほかの世代)調査など。
12月13日ころ 当日のテーマに関する登壇予定の生徒さんたちの意見を、担当の先生から伝えてもらう。 表にまとめて、私にメール送付していただきました。
これは、構想を練るうえで、非常にありがたかったです。
12月15日 出前授業実施
以上から分かるとおり、私の準備に対応して、学校側、先生、生徒さんに精力的な準備をしていただけたからこそ、90分でこのレポート記事(その1~その5)のような多数のテーマを扱うことができました。
この授業の様子を録音、録画したものを見返しました。
生徒さんの発言、先生の発言などが、授業全体の流れをうまく形作っています。
一方で、今思うと、私のトークについて、「ここでこういう風に話したほうが良かった(盛り上がった)なあ」などと気づくこともたくさんあります。
とにかく、18歳選挙権も、高校での主権者教育も、今始まったばかりなので、私のレポートした試みのほか、同じように、全国で行われているであろういろんな試みの情報が集まって、よりよい授業、学びのあり方が産まれるよう願っています。
今回の出張授業は私にとって非常に貴重な経験(普段の弁護士業務とはまた違った経験)であり、こんな機会を与えて下さった神戸鈴蘭台高校に大変感謝しています。
これで、レポート記事は終わりです。
この長い記事を読んでくださった読者の皆さん、ありがとうございました。
神戸シーサイド法律事務所 弁護士 村上英樹
スマホでも読みやすくなりました(横幅が一画面におさまってくれました)。
出前授業続きです。
この記事でレポ終わりです。
「主権者教育」は始まったばかり。まだ、試行錯誤の段階です。
これから、弁護士会も私も「主権者教育」をやっていくだろうし、もっともっといいやり方がないかを探求していくと思います。また、学校の先生も「主権者教育」の研究・準備を始められていると思います。
今回の私の経験が、私自身の、また、「主権者教育」に関わるどなたかにとって、何らかの役に立てばうれしいと思って書きました。
また、中高生、大学生、10代、20代の方がこのレポ記事を見つけて、「選挙について、同年代の人たちはこんなことを考えているのか。自分だったらこうだな・・・」という風に読み進めてもらえたら、最上の喜びです。
(ここまで)
その1 http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16
その2 http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16-1
その3 http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2016-12-17
その4 http://h-m-d.blog.so-net.ne.jp/2016-12-17-1
最初の選挙どうする?の話、民主主義と少数意見の話などをしてきました。
最後は、実際の政治テーマ2つについて考えてもらいました。
政治テーマ その1 大学授業料を無償にする政策
Q1 シンプルに、「大学授業料を無償にする政策」に賛成か反対か?
を最初にききました。
賛成が大多数。
大学進学を予定している生徒さんが多いこともあるし、これ自体は良いことに違いありませんね。
しかし、問いを次のように変えてみると・・・
Q2 「大学授業料を無償にする」+「消費税を8%→12%に上げる」
今度は、反対のほうが多数派になりました。
賛成の方も一定数いました。
訊いてみると・・・
反対意見
「大学進学するので自分はありがたいけど、進学しない人にとっては損では」
「自分でお金を払っているからこそちゃんと勉強しようと思う」
賛成意見
「大学教育を受けられる人が多くなることは社会のためになると思う」
どれも、それぞれに理由のある意見。
政治問題というのは、絶対の正解があるわけではなく、どちらにも理由がある、というものだとわかります。
その中で、「自分は何を重要視したいか」を考えて、自分の意見を言う、というものです。
政治問題を考えることは、自分の価値観と向き合うことでもあります。
政治に参加する人(主権者)としては、次の2つがどちらも必要です。
自分と違う考え、価値観があることを認める(反対の意見も尊重する)。
自分の意見を言う。
補足すると、「どれだけ高い税金を取るか」と「教育、福祉にどれくらい国がお金を出してくれるか(自己負担が減るか)」はかなりリンクしています。
北欧(フィンランド、スウェーデンなど)のように「税金は高いが教育・医療はほとんどタダ」という国
アメリカのように「税金は安いが教育・医療は自己負担」という国
という「国のデザインの仕方の違い」に関係します。北欧、アメリカの中間のデザインの国が多いのですが、その中でもどっちの色合いが濃いか、国によって様々です。
この大学授業料の話も、深く考えると、日本が「国のデザインの仕方」としてどういう国を目指すのがいいのか、という大きなテーマに関係してきます。
政治テーマ その2 カジノ解禁?
正直言って、この出前授業の企画をはじめたころ(11月初旬)には、私は「カジノ法案」が今国会で成立するということを全く考えていませんでした。
ところが、何と、この出前授業を行った15日未明に「カジノ法案」(カジノを中心とした統合型リゾート施設(IR)整備を推進する法案)が国会で成立した、というすごいタイミングになりました。
質問 今まで「賭博」として違法とされていたカジノを合法化する政策に賛成ですか?
会場の答えは賛否分かれました。
生徒さんは反対のほうが多かったでしょうか。
壇上の人に聞いてみました。
反対意見
「治安が悪くなる。ギャンブル依存症が心配。」
賛成意見
「うまくいけば経済活性化につながる。ギャンブル依存症対策をしっかりやれば大丈夫だと思う。」
これは、今回の国会での賛成意見・反対意見とも同じです。大人とそん色ない議論。
ここで「議論の切り口」「頭の整理の仕方」のテクニックを2つ紹介しました。
切り口1 「目的と手段」
これを意識して議論する。
カジノ反対意見の生徒さんに、この切り口で意見を述べてもらいました。
「経済振興、外国人客を呼び込みたい、という目的は分かる。
しかし、その手段として、何もカジノのような危険なものでなくてもよいのではないか。
日本の『おもてなし精神』をさらに活かす、観光資源を活かすなどの方法で目的を達成できると思う。」
こうなると普通レベルの大人の意見よりも洗練された感じがします。
切り口2 「必要性と許容性」
これは、どちらかいえば、賛成派とか、何か政策などを提案する人向けかも知れません。
カジノ賛成、推進意見として、
「今、経済活性化の起爆剤が必要だ」 ・・・ 必要性
「治安の悪化、ギャンブル依存症が心配されるが、それにはこういう対策があるから大丈夫」 ・・・ 許容性
という論じ方をする、ということです。
上の賛成意見の生徒さんは、議論の組み立て方として、初めからこの「必要性と許容性」に触れてくれています。組み立てがしっかりできる、というのは論理力があるということですから、とても頼もしいです。
今回は討論してくれた生徒さん全員の発言のレベルの高さには本当に感心しました。高校生にはこれだけの論理力・表現能力が備わっているのだな、と改めて感じました。
また、「必要性と許容性」は「説得」のテクニックというよりも、何かの政策をやろうとする人のチェックポイントという意味もあります。
何らかのアイデア(ここではカジノ)があったとして、「必要性」があるか、「許容性」があるかを両方ともしっかり検討して提案するかどうかを決める、というチェックポイントです。
このチェックが甘いと、提案しても、みんなに賛成してもらえなかったり、痛いところを突かれるとボロボロになってしまったりします。
上のように政治テーマ2つを考えてもらいました。本当はもっとじっくりやりたかったですが、時間が押していたので短時間になってしまいました。
最後に、
質問 友達同士で政治の話をしますか?
これは、ほとんど「しない」という人(ブルーの札)が圧倒的多数でした。
これは今の大人も近い状況なのだと思います。
しかし、今回の授業、討論でやったように、政治について
「しゃべることは、考えること」
です。
確かに、政治の話は価値観の話でもあるので、自分の正直な価値観をそのまま出すのは抵抗がある場面もあります。
将来、母親になって、子供同士が幼稚園で一緒のいわゆる「ママ友」同士の付き合いの中で、
何党を支持しているのか
などの話題は避ける人が多いでしょう。
できれば、政治に対する考えは違っても親友は親友、という付き合いが理想です。私には、親友でありながら、政治に対する発想は正反対で、2人で飲んだらつい議論してしまう、という人もいます。
ただ、そういう付き合いができる人ばかりでもないし、集団によって「多数派」が違ったりして、どうしても政治の話題は避けたほうがいい、と考えることも実際ありますね。
学校で、政治テーマについての議論(ディスカッション)をするとき、「自分の政治思想を明らかにすることに抵抗がある」場合には、次のような方法があります。
例えば、「憲法9条を改正して、軍隊を保持することを明記することに賛成か、反対か」というくらい主義主張が分かれるテーマについて、
教室の右半分 賛成派
教室の左半分 反対派
と役割を決めて、(自分も元々の考えは別として)その役割になりきって議論する、というやり方です。
外国の学校ではこういうディスカッション形式の学びをたくさんやっているそうです。
自分の意見を言うトレーニング
理屈を考えるトレーニング
反対側の意見の理由、発想を想像するトレーニング
何が対立点か見極めるトレーニング
になると思います。
今、高校では、「主権者教育」(生徒が政治の担い手になれるようにする教育)をしなければならないと言われていますが、同時に教育は「政治的中立」であるようにも求められています。
先生が一方の意見を押し付けてはならない、ということですが、政治のテーマを深く掘り下げるならば、どうしても何らかの価値観が出てくるし、ときに現状の政治の批判になることもあると思います。
ここが、現場の先生方を悩ませることではないか、と思います。
そんな中でも、上に紹介したような、役割を決めての「ディスカッション」という方法は、高校などの教育現場で取り入れやすい方法ではないでしょうか(すでに取り入れられている先生方も多くおられるでしょう)。
生徒はどちら側の意見も自由に言いやすいし、先生もコメントしやすいと思います。
とにかく、政治テーマについて(他の何ごとも本質は同じですが)、
しゃべることは考えること
です、ということをお伝えして時間になりました。
(このレポート記事結び)
神戸鈴蘭台高校
90分 全校生徒 1000人 体育館
の弁護士会からの出前授業「18歳選挙権」は以上のとおりでした。
このレポート記事のうち【4】【5】は、実際にしゃべったことに、文章での解説をかなり足しています。
今回の出前授業までの準備(講師である私に関するもの)は次の通りでした。
10月ころに企画が決まる。
11月下旬 高校での打ち合わせ 私と先生、(当日壇上で討論する)生徒さん 1時間半くらい
この打ち合わせに基づいて、当日の計画、テーマ設定を決める。
12月5日ころ 私の作成した「事前課題」プリントを全校生に配布してもらう。
「事前課題」は、 2016参院選での投票率(18,19歳、そのほかの世代)調査など。
12月13日ころ 当日のテーマに関する登壇予定の生徒さんたちの意見を、担当の先生から伝えてもらう。 表にまとめて、私にメール送付していただきました。
これは、構想を練るうえで、非常にありがたかったです。
12月15日 出前授業実施
以上から分かるとおり、私の準備に対応して、学校側、先生、生徒さんに精力的な準備をしていただけたからこそ、90分でこのレポート記事(その1~その5)のような多数のテーマを扱うことができました。
この授業の様子を録音、録画したものを見返しました。
生徒さんの発言、先生の発言などが、授業全体の流れをうまく形作っています。
一方で、今思うと、私のトークについて、「ここでこういう風に話したほうが良かった(盛り上がった)なあ」などと気づくこともたくさんあります。
とにかく、18歳選挙権も、高校での主権者教育も、今始まったばかりなので、私のレポートした試みのほか、同じように、全国で行われているであろういろんな試みの情報が集まって、よりよい授業、学びのあり方が産まれるよう願っています。
今回の出張授業は私にとって非常に貴重な経験(普段の弁護士業務とはまた違った経験)であり、こんな機会を与えて下さった神戸鈴蘭台高校に大変感謝しています。
これで、レポート記事は終わりです。
この長い記事を読んでくださった読者の皆さん、ありがとうございました。
神戸シーサイド法律事務所 弁護士 村上英樹
2016-12-18 09:41
nice!(6)
コメント(2)
トラックバック(0)
授業うけれた高校生がうらやましいです。
by ayu15 (2017-01-31 16:19)
ayuさん そう言って頂けると大変うれしいです。
by hm (2017-02-09 19:13)