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ベルーナ展示会商法ニュースと特商法・割賦販売法改正 [消費者事件]

 今日は、電話勧誘販売、ローン販売についての記事です。

 まずはこのニュースから。ベルーナという会社が、販売目的を言わずに「展示会」に誘い、来た人に営業員が数人がかりで2、3時間取り囲むなどして高額な呉服などを買わせていた、というニュースです。

(朝日ニュースより引用)
「ベルーナ」展示会商法、業務停止6カ月 悪質売り付け 2008年7月9日19時5分

 カタログ通販業ベルーナ(東証1部上場、本社・埼玉県)が、悪質な展示会商法で高齢者らに高額な呉服などを売ったのは特定商取引法違反(勧誘目的の不明示、迷惑勧誘など)に当たるとして、経済産業省は9日、同社に対し、展示会販売事業を6カ月停止するよう命じた。

 東証1部上場会社が特定商取引法違反で業務停止命令を受けるのは、06年7月のシロアリ駆除業サニックス(福岡市)に次いで2例目。

 経産省によると、ベルーナはカタログ通販で呉服や宝飾品など高額商品を買った「お得意様」のリストを作成。電話で「イベントに遊びに来てください」と販売目的を隠して誘い出し、展示会場で営業員が数人がかりで2、3時間取り囲むなどして高額商品を購入させていたという。  

 展示会商法自体は違法ではないが、売り方をめぐって消費者トラブルが多発している。同社は07年度だけで全国で約370回の展示会を開催。00年からの累計で約3万人が商品を購入していた。

 同社の展示会をめぐっては、各地の消費生活センターにここ数年100件前後の苦情が寄せられていた。このため、経産省が一部を調べたところ、認知症ぎみの60代の女性が総額1千万円の呉服類を買わされるなど65歳以上の女性の被害が目立ったという。

 強引に購入契約を結ばされても、法定書面を受け取ってから8日以内、法定書面を受け取っていなければいつでも解約できる。しかし、同社は解約を申し出た人に「有名な先生の着物なので解約できない」とうそをつき、解約をあきらめさせることもマニュアル化していたという。

 経産省は全体の被害額を特定していないが、解約をさせないなど同社の手口が悪質だとして処分に踏み切った。

 同社は「今回の処分を厳粛に受け止め、第三者調査委員会を設置するとともに、グループ全体として再発防止の取り組みを進める」とコメントしている。同社の顧客数は約1200万人で、07年度の連結売上高は1251億円。そのうち、展示会販売事業の割合は2.6%だった。
                                                     (引用終わり) 
 電話で、「展示会にきてください」と誘って、実は販売目的であった、ということは何に違反するか。

特定商取引に関する法律 というのがありまして、 その 「第四節 電話勧誘販売」の中に、

第16条
 販売業者又は役務提供事業者は、電話勧誘販売をしようとするときは、その勧誘に先立つて、その相手方に対し、販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称及びその勧誘を行う者の氏名並びに商品若しくは権利又は役務の種類並びにその電話が売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げなければならない

という条文があります。(訪問販売に関する同法3条も同じ意味の内容です。)
 販売目的を隠して電話勧誘して販売をしてはならないのですが、上のニュースによればこの業者は違反していることになります。

 
 また、クーリングオフについてもニュースに書いてありますね。
 これも上の「特定商取引に関する法律」の24条に、一定の書面を客が受け取ってから8日間はクーリングオフが可能、と書いてあります。(訪問販売について、同法の9条も同じです。)
 なのに、「有名な先生の着物なので解約できない」といって客のクーリングオフをさせないようにするのは、もちろん違法なことです。

 ここの「一定の書面を客が受け取ってから8日間は」というのは、一定の書面(これは法律で決められている。結構、厳しく決められているので、業者の中で、ちゃんと法律の求める書面を交付していない業者は多数ある。上のニュースによれば、ベルーナも不十分であったように思われる。)を客が受け取った日がスタートで、そこから8日間を超えたらクーリングオフできなくなる、というものです。
 つまり、もし書面をちゃんと受け取っていなかったら、8日間のカウントはスタートしていないから、いつまででもクーリングオフできるのです。

 ここのところは余りよく知られていないことです。
 ○日間はクーリングオフが可能、という場合、モノを勝ってから○日間たったら絶対クーリングオフできないように思っておられる消費者は多いとおもいますが、それは正確ではないのです。
 ちゃんとした法律が決めた書面をもらっていない場合○日間たってもクーリングオフが可能な場合が多いのです。

 
 さて、残念ながらこのニュースのように、電話勧誘などをきっかけとした消費者被害はたくさん発生しつづけています。

 そんななか、6月に閉会した通常国会で、「ねじれ」国会ですが、衆議院・参議院とも全会一致で改正になった重要なものがあります。

特定商取引に関する法律と割賦販売法の改正

です。

 いくつか項目がありますが、主なところは次のような部分です。

・ 電話勧誘販売等の規制の対象の商品が、以前は(政令で指定する)一部のものに限られていたのですが、今回の改正で、基本的に全商品・サービスに規制が及ぶようになった。

・ 訪問販売で、日常生活に通常必要とされる分量を著しく超える商品の売買(「過量販売」)は、客が撤回できるようになった。
例 おばあちゃんが、高級布団を何枚も何枚も買わされてしまうケースなど、撤回が出来る。

・ クレジット販売の場合。
  クレジット会社は、顧客の支払い能力を調査しなければならないことが明記された。
 うそのことを言われて販売されたものについて、クレジットで支払いをしていた場合、客は売買の取消が出来、クレジット会社に対してもその後の支払いを拒否できるのはもちろん、既に支払ったものも返すように請求できる場合がある。

というところです。

 私の説明では難しいところもあるとおもいますが、要は、訪問販売や電話販売などで不本意な契約をさせられてしまったという場合に救済される幅がひろがったということです。

 なので、「つい強引な勧誘に負けて・・・」とか、「ひとりぐらしのおばあちゃんが、悪い勧誘にあってこんなことに・・・」という場合は、泣き寝入りする前に、各地の消費生活センター http://www.kokusen.go.jp/map/ncac_map28.html や弁護士に相談してみてください。

後日註  ベルーナニュースについて、訪問販売に関する条文の違反が行政処分(http://www.meti.go.jp/policy/commerce/aaa/asahiasetto-shobun.pdf)の理由になっていますので、その条文を付け加えました。

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コメント 4

shira

>もし書面をちゃんと受け取っていなかったら、8日間のカウントはスタートしていないから、いつまででもクーリングオフできるのです。
 おお、これはいい情報を。知りませんでした。
by shira (2008-07-12 16:43) 

hm

shiraさん

 ナイス・コメントありがとうございます。
 ちなみに、あやしい勧誘方法を行う業者のほとんどは、法定書面に書くべき内容を完全に網羅できていません。
 詳細に見ていくと、大概何か抜けていて、「いつまでもクーリングオフが可能」のケースが大半です。

ということも覚えておいていただければ・・・
 それゆえ、各自治体の消費生活センターの相談員の方々は、契約書など、交付された書面を詳細に見ることを日々行っておられるのです。そして、大抵「この業者はここを書いていません」というのをキッチリ見つけておられます。
by hm (2008-07-14 14:57) 

ayu15

いろんな商品が販売されてもうわけわからないです。いつだまされるか不安です。


大田さんのお話だと環境権の売買が増えるそうです。対応できるように勉強しなければと言ってました。
近い将来、環境権契約トラブルがどんどんでるかも??

by ayu15 (2008-07-27 10:40) 

hm

ayuさん

 新しい商売、新しい商品が生み出されると、それに伴って必ず悪徳業者、詐欺商法がついてきますね。
 環境権詐欺?ありそうですね。
by hm (2008-07-28 13:17) 

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